くみ泡 第七話「久美と良二の温泉旅行 」その10

 
久美:
例え良くんが望んでも、良家の出でなく戸籍も仮の久美を良くんのお父様がお許しなるはずが…

良二:
父からは承諾を貰った。

久美:
あの堅物のお父様からどうやって?! すいません失礼な事を…

良二:
実際に堅物で怖いけどね。 しかし…ボクを舐めないでもらえるかな? 簡単に言うと脅したのさ。

久美:
脅した?

良二:
もし久美との結婚を認めないと誠二兄さんのように駆け落ちして、ボクは保坂家の継承権を放棄して保坂の敵にまわるってね。 すると保坂家は律子姉さんしかいなくなる。 最終的に保坂家は自動的に律子姉さんが嫁ぐ鹿苑寺家に吸収されることになる。

久美:
えっ…誠二お兄さんって加奈先輩と実の兄妹でスコットランドへ駆け落ちして、結婚、いま継承権を盾にして実家と紛争中…ひぃっ!

解説:
山科誠・加奈 兄妹。
えんぱいあな日々・萌鈴日々 を参照。 加奈は萌鈴のヒロインの一人で、萌香・鈴奈の親友。 加奈は兄の誠二と実の姉妹で禁断の恋をし、鈴佳や瑠莉、鹿苑寺卿、楓などの協力を得てスコットランドへ駆け落ち。 アイルランドで関係者の祝福を得て結婚式を挙げる。
その後、スコットランドに居住し山科グループの経営権と山科家の継承権を盾に実家と結婚を認めるように紛争中。 

良二:
誠二兄さん達みたいに各国の法律で明確な犯罪行為である兄妹婚よりは、仮とはいえ戸籍があり合法であるメイドとの結婚の方がずっと認めやすいのにそれを拒否するなら、ボクだって誠二お兄さん達と同じようにすると、父に律子お姉さんと一緒に、西園寺剛史兄さん、鹿苑寺信久兄さん、櫻糀瑠莉オーナー、栗田楓姉さん、フランソア姉さん、紅葉姉さん、さらにエステル・ヌヴェール女史、栗田源蔵閣下など個人と企業のCEOとしての全部のサインが列挙されたリストを提出したのさ。 結婚をみとめ、さらに結婚した時には当主兼をボクに渡せと。

久美:
それ…まさに脅迫だよね? それも保坂家とかじゃなくて小国なら経済攻撃や軍事的攻撃でダース単位で潰せるレベルの! 

良二:
久美覚えておいて、ボクはヤルとなったら最大の力で徹底的にヤル主義だから。

久美:
うん…覚えておく。

久美:
(お父様…ゴメンなさい久美の為に…お気の毒に…どういう顔してお会いすればいいのか…わからない)

久美:
そんなにしてまで久美と結婚したんですか? ご主人様

良二:
そうでないとそこまでして保坂家を恐喝しないと思うけど?

久美:
久美はとんでもないご主人様にお仕えしたのかもしれませんね。
(左手を差し出す)

良二:
やっと気づいたのかい? 遅いよ。
(婚約指輪をはめる)

久美:
愛してますご主人様…

良二:
うん愛してるよ久美ちゃん…

CHU…♪


久美:
指輪のサイズがぴったりだ。 久美は指輪しないから、自分でも知らないのになんで良くんがサイズ知ってるの? というかこの指輪いつから用意してたの?

良二:
まず指輪のサイズは麗奈が調べた。寝てるときに。 あと承諾うんぬんを父から最終承諾を得たのが去年だから、去年には指輪を用意してたよ

久美:
去年?

良二:
麗奈達には次に久美とデートした時に必ずプロポーズするって約束したんだけど…デートをいつも久美ちゃんは…受けてくれなかったし、ボクも忙しかったし…

久美:
もしかして、今回の視察旅行を陽菜乃が持ってきたのって…

良二:
業を煮やしたみんなが全部おぜん立て? こうでもしないとデートに行かないだろうと?用意したみたいな?

久美:
ということは…久美以外、全員、良くんがプロポーズするのを知ってるってこと?

良二:
まあアレだけの人を巻き込んで父を説得したからね…それは当然?

久美:
これってクラブに帰ったら囲まれる展開?

良二:
麗奈に報告したら、この旅行中は静かにしてくれるという約束だけど… 
旅行中は楽しもうか…帰ったら‥うっ考えてたくない

久美:
ひぃ!

その11へつづく