くみ泡 第七話「久美と良二の温泉旅行 」その9
久美:
あのどこに行くの? 暗いし怖いし…
良二:
久美ちゃんはボクのメイドなんだからご主人様のボクについてくればいい。でも足元が危ないからしっかり掴まって。
久美:
(良くんいつもは怖い顔しないのに…やっぱり夕食前に久美が言った事で怒ってるのかな?…そしたら山につれていくって…宿だと問題になるから山の中で怒鳴るつもり?)
良二:
久美ちゃん着いたよ。
久美:
滝だ! 夜の滝っていうのも神秘的…
良二:
それに…夜じゃないと…こっちきて
久美:
夜景…綺麗!
良二:
剛史お兄さんに教わってね、ここからなら白森町が見えるんだって。
良二:
あの山の上にある明かりがClub Forest だからそれが月城山、そこから下へだとっていくと光が集まっている所が白森町、だからあの高いビルが栗田ビルだから、そこの下くらいにClub WhityGarden があるね。みえるとは思うけどちょっとわかりづらいかな。でもアレだよね?
久美:
うん! 見える! 私達のクラブが…ここからでも見えるよ!
これを良くんは久美に見せたかったんだ…。 ありがとう!
良二:
まあ、それもあるんだけど…
久美:
それも?
良二:
久美ちゃん。 ボクと結婚してくれ。
久美:
えっ…指輪…それって…そ…
久美:
そ…それは出来ません。 御断りします。
良二:
なんで? いや今すぐ結婚するってわけじゃないんだ、学園を卒業してからでいい! だから婚約だけなんだけど…
久美:
結婚の約束自体をお断りします。 いや久美は結婚できせん。
良二:
なんで! 久美はボクの事を愛してないの? ボクはキミの事を愛しているのは知ってるでしょ?
久美:
そういう問題じゃないんです。 良くんの事は愛しています。 でも良くんの妻になるってことは保坂家に入るということです。 久美にはその資格がありません。
良二:
資格って! 久美はボクのクラブのメイド長でボクにとっては掛け替えのない女性で!
久美:
だからそういう問題じゃないんです。
私には戸籍がありません。 エンパイアクラブに仮の戸籍があるだけ。
どこの誰かも自分でもわからない。 記憶だって保全機関に入れられてからの記憶しかありません。
でもメイドとして新しい人生をもらって、仕るべきご主人様である良くんをいただけただけで久美は幸せ者です。
良くんはちゃんとした女性を保坂家に迎えるべきです。
良二:
久美ちゃん! そんなことは最初から全部解ってるよ。 今更なに? それを全部承知でボクはキミを自分のメイドにして、そしてメイド長にして今、結婚を申し込んでいるんだけど?
ボクが何も準備しないでキミに結婚を申し込んでるような無責任で無計画な男だとでも思ってるの?
良二:
これでもボクはエンパイアクラブ Whity Garden のオーナーで保坂家の次期当主だよ? そして久美! キミのご主人様だ、馬鹿にしないでもらえるかな?
その10へつづく