イケナイ凛空ちゃん 第五十二話「Edel Lilie」その1
穏海:
待たしてごめんなさいね、取ってきましたわ
真理愛:
カッコイイです!
すみれ:
あ~やっぱりこういうクルマなんですね
穏海:
わたくしはお店のクルマに乗ってるからこの子はほとんど乗らないからマリが自由に使って。 「ちょっと」じゃじゃ馬だけどニューロリンクもついているしマリなら乗りこなせると思うわ。今日から店の手前の駐車場の凛空のアウディーの隣に入れて。
真理愛:
かならず乗りこなしてみせます! その為にメイド学校延長してまで訓練しましたから
すみれ:
もうしわけないですが、いま接続して性能みましたけど…すみれも詳しくはないけど、これが「ちょっと」なんですか?
穏海:
お兄様のクルマや愛理さんのクルマに比べれば扱いやすいクルマよ
すみれ:
そうなんですか…(基準がオカシイ。すみれはドライブシュミレータの知識しかないですが)
穏海:
そういえばすみれさんもミリタリアに入隊するのだから講習受ければ特別免許の貰えるのよね?
すみれ:
そうですね、凛空様を乗せるのにもいりますし
真理愛:
すみれはマリがビシバシ鍛えますので任してください
すみれ:
いやビシバシって…
穏海:
そろそろ二人いったら、このクルマじゃFORESTへの裏道は通れないから。
真理愛:
そうですね、行ってまいりますお姉さま
すみれ:
行ってきます
真理愛:
剛史お兄ちゃんから電脳通信で詳しい説明は受けたけど、すみれがダブルSランクのネットワークウィザードオーバーメイドっていうだけども驚きだけど、それはまあ置いといて、エンパイアクラブミリタリアに入ってFORESTの調査部のお手伝やうちのクラブの警護の手伝いって…貴女もともと戦いとか嫌いだよね? 大丈夫なの?
すみれ:
………
真理愛:
マリはすみれとメイド学校の宿舎でルームメイトだったから他の子よりすみれを知ってると思うけどマリと違って他の子と喧嘩はおろか貴女が人と争って我を通したりするのを見た事が無いわよ。そんなのに…本当に入隊するわけ?
すみれ:
………うん
真理愛:
すみれ~その力ない「うん」って何なのよ? 誰かを護って戦うって事は同時に害を為す誰かを傷つけたり場合によっては相手の命を奪うことになるのよ? その覚悟というか…わたしはすみれがそういう事をすることが…想像できないというか…あ~もう~!
すみれ:
だったら真理愛はどうなの? 真理愛はうちのメイド学校に来る前にはもうエンパイアクラブミリタリアの訓練生だったんでしょ? 士官候補生っていうんだっけ? 真理愛はなんで軍隊に入ったの? あとニューロリンクがあっても前は見て運転した方がいいよ。 まあすみれもリンクしてるから注意はしてあげられるけどまだ免許は無いし。
真理愛:
!!
真理愛:
マリはアサルトオーバーメイドで、お姉さまから「メイドの授かったチカラは人を守る為の力」って言われたの。 そしてその力でマリも、お姉ちゃんも助けられたの。でもね、私が護りたいのは「マリが失いたいくない人、失いたくない場所」だって思ったの。だからお姉さまと違ってそういうモノを直接守れるミリタリアに入った。最初はお姉さまや剛史お兄ちゃんや、聖理愛お姉ちゃんには反対されたけど、最後には認めて貰えた。
すみれ:
失いたくない人や失いたくない場所…か…
すみれ:
すみれはお兄ちゃんや凛空様やGreenWood's のメイドの皆様や、なにより真理愛を失いたくない。そして、すみれの居場所で家であるエンパイアクラブ GreenWood'sを失いたくない。同じメイドの友達も、学園の友達も…今のすみれには絶対に失いたく無いモノが出来たから、だから戦ってでも絶対に譲らない。
真理愛:
ふーん、まあ目的と決意としては身近でわかりやすいわね。
すみれ:
それに…
すみれ:
すみれみたいなメイドがまだ沢山、どっかに囚われている。そのメイド達を一人でも多く救い出したい。 すみれが救い出されたように。
真理愛:
そっか。 そうだよね…。
真理愛:
すみれの花言葉は謙虚と誠実。 すみれは優しいけど強いもんね。マリが悪かったわ。
誠実は意思が強くないと実現できない。
すみれ:
うっ! マリ…恥ずかしい事言わないでよ。
その2へつづく