イケナイ凛空ちゃん 第五十四話「Sacred World」





〇一年半前ドイツ・ケルン・アヴァロン研究所

SE:
ドンっ!

良二:
グレード、マガジン共に2! ボクだけじゃモタナイ後続と合流した方がいい!

しずる:
ショタ!しずるに命令しない次の部屋だけでも

しずる:
お姉さま! 居た! !!!!!! うそっ!
SE:
タタタンっ!


しずる:
お姉さま!

鈴奈:
しずる…? ゴメン、朋絵を助けれなかった…間に合わなかった…この子だけでも…

しずる:
お姉さましゃべらないで! いま後続の部隊を呼びます! そこには衛生メイドも…

鈴奈:
…鈴奈は…ダメかも…正式にしずるの…お姉さまに…なれなくて…ゴメン…

しずる:
お姉さま!

しずる:
ニューロチップから止血の為に筋肉の弛緩は命令されている。 でも内臓損傷と出血がひどい…このままでは…

ドロシー(謎の少女):
アナタハ?

しずる
!?

さっと流していた涙をぬぐうしずる

しずる:
ドイツ連邦国境警備隊です。助けにきました。

ドロシー:
タスケル?

しずか:
そう! あなたを助けることを、このお姉さまに託されました。 ですから必ず助けます。 だからすこし待ってて!

しずる:
お姉さま、マガジンと予備のブレード、おかりします!

しずる:
しずるが飛び出たらこのドアをロックしてください。 今交戦中の部隊を殲滅し、途中の部隊も突破、後続に合流、かならずここの場所を教え戻ってきます。 お姉さまとあの子を頼みます。

良二:
ふざけるな! 無謀すぎる! 死にに行くようなもんだ!

良二:
もしそれをやるなら、ボクがやる! その銃とマガジンをよこせ!

じずる:
しずるじゃここのドアをロックできませんし。 これでもお姉さまを預けるくらいに、頼りにしているんですよ? 鹿苑寺グループのオーダーメイドのショタ♪ また会う事ができたら名前くらいは聞かせてね! でわ行きます!

良二:
おいまてっ!

良二:
shit!(くそっめ!) 左の壁ギリギリを走って突っ込め! できるだけ援護する! 

しずる:
了解! オーバードライブ!


良二:
これで完全ロックされたはずだ、少しは時間が稼げれば良いが。キミ何をしている!

ドロシー:
診断開始。銃弾は広背筋より腹上筋を切断‥

ドロシー:
ドラックスタビラザイザーに接続。止血用マイクロマシン最大活性化。血液内酸素共有最大化完了

良二:
治療しているのか?

ドロシー:
ワタシハバートン製試作「バイオメイド」ドロシー型試作タイプ壱号。ドロシー。 アポリロイドノ戦場デノ治療ノ為に製造サレマシタ。

生命維持活動致命的ナ状態ヲ回避。 シカシ現状デハ6時間以内ニ死亡ノ可能性大、大型メディカルユニットデノ治療ヲ推奨シマス。

ドロシー:
ドロシー内ハイドロリアクター出力低下。 異常検知。 生体維持活動ニ重大ナ障害発生。

良二:
ドロシー! おい! どうした!

ドロシー:
生命維持ヲ優先休眠モードニ入リマス…

良二:
ドロシー! しっかりしろ! 畜生増援はまだか! 

〇現在から半年前 Club Forest メディカルラボ

ヴェル:
脳波! 覚醒状態に! 目覚めるよ!

クレア:
本当にドロシーが目を覚ますんですか?

ヴェル:
うんっ! これで起きる!

瑠莉:
良くがんばったなヴェル! 

フランソア:
ご主人さまは当然として、さすがフランソアの専属メイドのヴェル! エライ!

クレア:
ドロシー! ドロシー!

ドロシー:
…貴女は…ダレ?

クレア:
クレアはドロシーのお姉ちゃんだよ! 良かった…良かったよ…

ドロシー:
お姉ちゃん? お姉ちゃん…ドロシーのお姉ちゃん


クレア:
そう! お姉ちゃん!

ドロシー:
私が治療途中だった患者さんは?

ヴェル:
ドロシーちゃんが治療中だった鈴奈ちゃんはちゃんと完治して今はメイドとして幸せに暮らしてるよ。 良くやったね。

ドロシー:
良かった…

ヴェル:
過去記憶も言語野も正常に稼働中だね。

瑠莉:
キミ、自分が誰がわかるかな? キミは誰? 後、マスターはダレ?

ドロシー:
わたしは認識番号BD000001 バイオメイド ドロシー・バートンです。 衛生メイドです。 仮マスターは櫻糀瑠莉の保護下にあります。 ご主人様は、あなたです。

クレア:
そう! 

瑠莉:
そうだ、これからよろしくねドロシー。

フランソア:
仮マスター登録も新規基礎記憶もばっちりだね。 これで一安心。

ヴェル:
よっしゃ!よかった!

クレア:
今日はそのまま少し休んで、寝て

ドロシー:
はい。クレアお姉ちゃんなんで泣いているの?

クレア:
とてもとても嬉しいからよ。嬉しい時も涙が出るの。

ドロシー:
そう嬉しい…わたしとても今眠い。

クレア:
疲れたでしょ? 寝て良いわよ。 おやすみドロシー

ドロシー:
お休みなさい。 クレアお姉ちゃん。


 

すみれ:
そうか通信が遮断されているから電子決済は無理か

解説:
すみれは両手の指と手のひらにアクセスファイバー(電子機器との接続端子、現在のICチップみたいなもの)が神経として内臓されているので、電子機器のリーダーに触れることでスマホなどの決済などを行うことが生身だけでできます。この場合は自販機のリーダー部分に触れて支払おうとしたが、メディカルラボは外部との通信が電子的に遮断されているために通信ができず、決済できなかったという事。

すみれ:
なんか小銭で買うのも久々かも、これはこれで味があるよね♪ アイスにしようポチっ!
SE:
ガシャン♪

ドロシー:
それ飲み物が出る機械だったんだ…

すみれ:
あっ、貴女さっき検査の時にいた子?

ドロシー:
あっ! ゴメンなさい邪魔しちゃって。

すみれ:
全然邪魔じゃないよ? あなたも買う?

ドロシー:
わたし…そのお金だっけ? 持ってない。

すみれ:
いいよいいよ! これくらいならすみれが奢ってあげる! 何がいいかな? 何なら飲めそう?

ドロシー:
えっ! いいの? でも悪いし…

すみれ:
すみれ暇なの! もしよかったら貴女。時間あるならお話とか付き合って! ねっ! 一緒にのもう? それとも忙しい?(この子たぶん保全機関に保護されたメイドだよね…頭のアクセサリーはレーザースキャニング分析デバイスそれもかなり高性能、目もヘテロクロミア。左右で光彩が違う。それも色が特殊な濃い赤眼と碧眼…ということはかなり特殊なオーバーメイドかハイパーメイド?)

ドロシー:
時間はある。 お散歩してた。 お話なら付き合う

すみれ:
交渉成立! どういうのなら飲めそう?

ドロシー:
苦いのはイヤ。 あと熱いのも苦手…

すみれ:
そっかオレンジジュースならいけるかな。

すみれ:
はいどうぞ♪

ドロシー:
うわっ! ありがとう!

すみれ:
座って飲もうか

ドロシー:
うんっ!

ドロシー
これどうやって開けるの?

すみれ:
これはね、このプルトップっていうこの部分をカチって上にすると缶に穴が開くの、やってみて

ドロシー:
うんやってみる!

すみれ:
どう飲めそう?

ドロシー:
うんっ! とても甘くて美味しい! ありがとう!

すみれ:
それだけ喜んでくれるならすみれも奢ったかいがある! ねえねえ、自己紹介がまだだった。私はすみれ、古都埼すみれ。貴女のお名前は? 名前わかるかな?

ドロシー:
わたしはドロシー、ドロシー・バートン

すみれ:
バートン…もしかして、クレア先輩の関係者さんかな? 間違えてたらごめんね

ドロシー:
クレアはわたしのお姉ちゃんです! おねえちゃんを知ってるんですか?

すみれ:
ドロシーちゃんはクレア先輩の妹さんなんだ! うん、すみれは学園での一つ後輩で先輩には仲良くしてもらってるの。

ドロシー:
クレアお姉ちゃんの一つ下の学年ということは、すみれさんはわたしと同じ歳ですね

すみれ:
同じ歳なんだ!

すみれ:
同じ学年か…ねえドロシーちゃんはメディカルラボにいるけど、どっかの悪いの?

ドロシー:
わたしの身体はちょっと特殊で調整に時間がかかってるそうです。 でもヴェルさん曰くそれも最終調整だそうなのでもうすぐ外に出られるそうです!

すみれ:
出られるなら良かったね。

ドロシー:
はいっ…でも…ちょっと心配ごとが

すみれ:
なに?

 
ドロシー:
わたし、目覚めてからまだ三ヵ月でその前もほとんど記憶がなくて、だからこのラボだけが世界の全てで…お外に出て大丈夫なのかなとか不安で

すみれ:
ドロシーちゃんは世界がまだ解らないんだよね? だったらすみれが教えてあげる! ここで会ったのも何かの縁だよ! 同じ歳のメイド同士、トモダチになろう! 

ドロシー:
トモダチ…

すみれ:
うんっ! その不安な気持ちすみれ解るの!

すみれ:
すみれも保全機関に救出される前の記憶が無いの。でもメイド学校でメイド仲間のトモダチができてそこで色々な事を学んだり、助けられたり、あと掛け替え無いのお兄ちゃんやご主人様の凛空様や…そういう人々に会えて今、すみれは生きてる! だからまずは一緒に対等に人生を歩んでいくトモダチって大事だと思うの! だからドロシーちゃん、すみれとトモダチになろう!

ドロシー:
お願します。 それにすみれさんの手…暖かいです。

すみれ:
すみれの手が温かいのはココロが冷たいから? っていうわけじゃないのよ? まだそういう解らないよね。

ドロシー:
解らないです…

すみれ:
まあ、他の友人達にもすみれのそういう言い回しって解りづらいって言われているんだけどね。 でね、いま手で触れたらドロシーちゃんもAURORA使えるよね? たぶん

ドロシー:
はい、私は衛生メイドでしてだからAURORAでアポリロイドのデーターベースにアクセスする権限があるので…ってすみれさんなんで私に触れるだけでわかるですか?

すみれ:
トモダチだから呼び捨てにしよう。 ドロシーはクレア先輩と同じで衛生メイドなんだ。なるほど、すみれはポンコツだけどネットワークウィーザードメイドなんだよ。 だからわかるの。

ドロシー:
すぐに解るレベルってオーバーSランクじゃないとアネラアイズできないじゃ‥ポンコツじゃなくて…

すみれ:
すみれは本当にポンコツだから。 ビット以下のダイバーなんで、今はそれいいや。 それでいまそっちにすみれのアカウントからフレンド登録のDM送ったから。 ここ通信が遮断されていてもこうやって直に触れ合ってれば通信できるから今しよう

ドロシー:
はい、フレ登録しました!

すみれ:
ここでは通信ができないけど、ここを出れば何時でも何処でもすみれと電脳通信でお話できるからすぐに力になってあげられるし! おしゃべりだけでもほら心強いと思うし! 勉強も教えられるよ! これなら少しは不安じゃないでしょ?

ドロシー:
うんっ! すごいすごいです 全然さっきまでと違います! 逆にお外に出てすみれさんと色々な所行ってみたいです!

すみれ:
す・み・れ! 「さん」付け禁止!

ドロシー:
すみれ…

すみれ:
よろしい! ドロシー!

ドロシー:
すみれ…えへっ!

すみれ:
早くここを出て、メイド学校へ行って正式なメイドになれるといいね!

ドロシー:
はい! 私が正式なメイドさん…なれるかな?

すみれ:
なれるじゃない、なるのよ! クレア先輩の妹だよ? お姉ちゃんみたいな立派なメイドにならないと! すみれも精一杯! 力になるから!

ドロシー:
!? そうだね! すみれの言う通り! 私はお姉ちゃんみたいな立派なメイドになる!

 
〇第四十九話と第五十話の間 Club Green Wood's 中庭

すみれ:(以後AURORAでの電脳通信)
じゃあ結構早く戻ってこれるんだ。短期講習って本当に短期なんだね

〇同時刻のエンパイアクラブ日本支部 メイド学校・長野校・宿舎ドロシー部屋

ドロシー:(以後電脳通信)
うん、私の場合はもうForestに配属扱いになっててメイドの講習も最低限のものだけだから。
それに所属は衛生メイドだし、メイド学校で教わるのは最低限の礼儀作法とエンパイアクラブそのもの組織や規則などとかだけだから。 そうだ、私はもう宿舎に戻ってるけど、すみれはまだお仕事の時間だよね?

すみれ:
すみれ? すみれは今は休憩時間で中庭で缶コーヒー飲んでる。

ドロシー:
いつもの? 缶コーヒーは胃に良く無いよ?

すみれ:
でもこれスキなの。 一応一日三缶までにしてる!

ドロシー:
いや三缶でも多すぎだよ…

すいれ:
良いじゃない~♪ 健康にウルサイんだから衛生メイドだから仕方ないけどね。 それでね、ドロシーに頼まれてた件調べたよ。それで連絡したの。
軍の防壁がけっこうメンドクさかったけど、どうにかなったよ。

ドロシー:
軍の防壁ってハッキングしたの?

すみれ:
だってドロシーを助けたメイドを調べるには、作戦自体の詳細報告資料がいるでしょ? それって軍の最高級軍事機密だよ?

ドロシー:
そういえば…そうだね。 ご主人様に聞いてもヴェルさんに聞いても誤魔化されちゃって、あとドロシーが自分で知らべても何も出てこないどころか、作戦自体の記録も無くて‥困ってたんだけど。 そうか、そういうのって最高級軍事機密なんだ。

すみれ:
そうだよ。 まあ調べられたけどね。

ドロシー:
ドイツ連邦軍の防壁を突破しての最高軍事機密を盗み見たって…それって立派な犯罪だよ…犯罪をトモダチに私は頼んでしまった…ああ…どうしよう…

すみれ:
ふっ! 安心してハッキングした痕跡は残してないから! 
バレなきゃ犯罪じゃないんですよ!

ドロシー:
バレなくても罪は罪なの! もう~! でも頼んだドロシーも同罪…うぅ…(涙)

すみれ:
これで共犯、トモダチとしての絆が増えたね

ドロシー:
全然嬉しくないよ…(涙)

すみれ:
細かな作戦内容などは省くけど、ドイツのケルンのアヴァロンの秘密研究施設の情報を掴んだドイツ連邦国境警備隊第9国境警備群・GSG-9の対メイド犯罪部隊がそこを強襲。しかし強襲の情報が洩れていたらしく先行部隊が待ち伏せにあって壊滅的打撃をうけ危機的状態に。

たまたま合同演習していた米国の第1特殊部隊作戦分遣隊(デルタフォース)の対メイド作戦部隊とその共同訓練中の隊員も含めて特殊救援任務として投入。 この中の一部隊に民間軍事コンサルターとして鹿苑寺グループが参加してて、居合わせた当時のサブマネージャ、その後、Empire Club  Whity Garndenのオーナーになる保坂良二様も参加してた

ドロシー:
Empire Club WhityGarnden ってすみれが以前所属してた白森町の中にあるクラブだよね? Forestの隣のクラブ。 というより保坂良二さんってうちのご主人様のお母様のご実家が保坂で、その次期当主の保坂良二さん?

すみれ:
そう、すみれの元ご主人様の保坂良二様。 その危機に陥った部隊に実はそのWhityGardenに所属するメイドの高飛騨鈴奈、鈴奈先輩とうちのEmpire Club Green Wood'sの朋絵お姉ちゃんがいて、この時、朋絵お姉ちゃんはアヴァロンに拉致されてしまう。

すみれ:
まあ朋絵お姉ちゃんはその後、別の事件で奪還されて今、うちのクラブの警備課にいるから! それは置いといて、その強襲部隊の中の鈴奈先輩を救援するときにドロシーも同時にその部隊に救出されている。 この時の報告書を読むと鈴奈先輩の所へ最初にたどりついたのが、先ほど言った保坂良二オーナーと、米国との共同訓練に参加していたドイツ連邦軍の小枝しずる准尉。現在ではこの時の功績で少尉になっているね。

ドロシー:
あの女の子が小枝しずるさん、そしてあの男の子が保坂良二さん、そしてわたしを助ける為に庇って撃たれたのが、しずるさんがお姉さまって呼んでいた高飛騨鈴奈さん

すみれ:
お姉さま? まあともかく、その良二オーナーと鈴奈先輩はWhityGardenにいるから、メイド学校の講習が終わればすぐにでも会えるよ。 問題は小枝しずるさんだけど当然現在でもドイツにいるから…これは瑠莉オーナーにドロシーがどうしてもお礼を直接会って言う為にドイツに一度行きたいってお願いするしかないかな? うちのお兄ちゃんと凛空様にもすみれから頼んでみるし。 ドロシーの最初の記憶だし、その気持ちはちゃんと話せばわかってもらえると思う! ごめんそろそろ休憩時間終わりで凛空様の所にもどらないとならないんだ。

ドロシー:
ごめんね色々本当にありがとう。お仕事がんばって!

すみれ:
うんっがんばる!

 
〇第五十話の前々日 Club Forest メイド秘書宿舎

紅葉:
ようこそいらっいませですわ♪

他:
お邪魔します

悠美:
紅葉お嬢、ここ私と美亜の部屋

千穂:
これ4人からね、ゴメンこの時間だから白森駅前のコー〇コーナーもそれもショートケーキしか残ってなくて。

美亜:
コージ〇ーナーのケーキ美味しいですよ~♪ 悠美お姉さまも美亜も好きなので時々買って帰るんです! ケーキ甘いからコーヒー濃く淹れましょうか?

雪音:
美亜っちアタシも手伝う!

美亜:
雪音姐さん是非お願いします! ここはお客さまでも容赦しません♪ というより美亜が淹れるより雪音姐さんが淹れた方が同じ豆でも美味しいし♪

雪音:
そんなに煽てられたらお姉さんがんばっちゃうよ♪

絵美香:
先輩方、ご無沙汰しております…

クリス:
何緊張しているのよ。

絵美香:
だってクリス入れたら特務大佐三人とか…ないわ~みたいな?

クリス:
私には何の緊張もしないじゃない?

絵美香:
クリスはクリスだし。うぅ…

優香:
ねえぇ~悠美~お姉さんお酒飲みたいな~だめ? 悠美と美亜ちゃんの部屋にいると飲みたくなるぅ~!

悠美:
ダメに決まってるでしょ!

紅葉:
優香さん、場所は悠美さんと美亜さんの食卓でございますが内容は非常に重大な会議ですので…お酒はご遠慮を…

美亜:
どうぞ、いまコーヒーも雪音姐さんが淹れて下さっているので!

千穂:
ありがとう~。 うわー落ち着く~…

クリス:
千穂~どう見ても他人のクラブにいるように思えないくつろぎようね。

紅葉:
そうですわね♪ メイド秘書課で良くみていた千穂さんの素顔ですわ♪

千穂:
だってさ、お屋敷の匂いとか雰囲気とか他人のクラブに居る気にまったくなれない自分がいるのよ。 まさに実家のような安心感いうの? 私はここに居るのが普通なんだみたいな?

早く希美にメイド秘書譲ってもどってこようかしら。

悠美:
千穂さん、そうなったら現メイド秘書の私はどうするですか!

優香:
私と瑠莉ちゃんも含めて三人ともお払い箱で、本部長は悠里ちゃんで、オーナーはフランソアちゃん?

悠美:
萌香が次のメイド秘書になるんだから、千穂さんも含めてそこは一緒に4人ともお払い箱コースでしょ!

千穂:
その時はありさに言って敷地内にお部屋用意してもらって隠居するわ。

優香:
隠居かその手もあるわね…わたしはフランスにもどろうかな。イタリアでもいいし

美亜:
永遠さんお疲れ様です!

永遠:
皆様ごめんなさいお待たせして、どうしても萌香が仕事でって…。 それでねまた萌香食事とってないのよ、それも昼ごはんも…

優香:
お昼、やっぱり言ったのに食べなかったのねぇ…

紅葉:
萌香さんは集中なされるとお食事取りませんしね。瑠莉さんと同じで

悠美:
仕事している時のあの子は横で監視して無いと食べないわよ。 美亜悪いけど…

美亜:
お姉さま了解です! 材料とかはレストラン部のキッチンにあるので、ちゃちゃっと作って萌香さんの所に持っていって美亜が監視して食べさせます!

雪音:
ケーキ二人分あるから、美亜っちの分も含めてもってて! コーヒーもポットに入れるから! 食後に糖分もしっかり取らせて!

美亜:
了解です! 今ポットとタッパー出します!

悠美:
さて美亜の人払いも済んだことだし手短に状況を説明するわね。現在、Forest,GreenWood's,Whity Gardenの3クラブの存亡に関わる緊急情報秘守危機事態が発生した為に急遽メイド秘書会議を招集しました。

千穂:
3クラブの存亡? そんな重大な…何が起きたのよ。

悠美:
だから今からそれを説明するの。 その前に。

悠美:
AURORA、一般の通信装置など全て使えないように紅葉さんにお願してSQUIDでこの部屋全体の空間を電子的に外部と閉鎖させていただきました。

紅葉:
会談が終わりしだい解除いたしますので少々ご不便をおかけしますわ。

クリス:
本当だAURORAが使えない、これが紅葉お嬢様のレアスキルのSQUID? 初めて経験したわ。 だから紅葉お嬢様が同席したわけですね。

悠美:
あとさすがに今の稼働中の調査部や他の場所での情報機器の完全封鎖は障害が大きすぎるし、よって私の部屋の食卓に指定したのよ。 永遠、状況の説明を。

永遠:
はい。今から5時間前オランダにある欧州統合軍参謀本部に対し大規模なサイバー攻撃が行われ最重要軍事機密の多数が情報漏出される事態が発生しました。

千穂:
ちょっとまって! 軍に関係してない私でもわかるけど。 オランダの欧州軍本部のサーバーがハッキングされたってこと? そんな事可能なの? 一般企業じゃあるまいし

永遠:
その漏出した機密情報の中には欧州エンパイアクラブ保全機関で管理していた、通称プロジェクトFと呼んでいる「プロジェクトフォーチュン」の中核資料も含まれており…バイオメイドの生成や、フランソア・デルポールと保坂律子の生体構成情報や生成計画などの機密情報、それに関わる現在までの軍事作戦の詳細。そして現在のサブユニットの保管状況や保管場所なども…

千穂:
ちょっと待って! フランソアちゃんと律子さんの生まれや身体の秘密や現在の所在について漏出したってこと? 軍は何をやってるのよ! もしその内容がフランソアちゃんや律子さんに知られたら!

永遠:
本当に申し訳ございません…

紅葉:
千穂さん、興奮するのはわかりますが、まずは先に永遠さんの報告をお聴きになってくださいませ。

千穂:
わかったわお嬢。興奮して悪かったわ。

クリス:
ごめんね先に欧州統合軍参謀本部とその中にある欧州保全機関本部の電子的な現状の障害状況について教えてくれる?

永遠:
傷害被害はありません

永遠:
あくまで情報窃盗のみが行われ電子的被害などは一切確認できません。

紅葉:
補足しますと何重もの攻性防壁をフリーズさせ回避、論理防壁も離脱時に修復、完全に侵入の痕跡は残っておりませんので、欧州統合軍参謀本部も欧州保全機関本部もこの侵入自体にいまだ気づいてさえおりませんわ。

絵美香:
気付いて無いって…参謀本部の電子戦部隊は何をやってるよ…でも軍に侵入して痕跡をのこさないレベルのハッカーって…普通の人間じゃ無理だからネットワークウィーザードオーバーメイド? さらにそのレベルって紅葉お嬢様とか悠里ちゃんとかロッテちゃんクラス以上? 相手はアルファーランク以上のネットワークウィーザードってこと?

クリス:
それ以前に欧州軍も欧州保全機関も侵入に気づいていないなら、なぜそれをForestが知ってるの?

紅葉:
侵入された側の痕跡は綺麗に消えておりましたが、侵入する側の痕跡は全部残っておりましたので…それをうちの中央管理グランドAIのプロセルピナが検知し報告が…

永遠:
Forestが管理しているAURORAネットワークの中からのハッキングをしたんです。なので解りました。

千穂:
ちょっとまって! ここに紅葉お嬢がいるってことは、紅葉お嬢はやってないし、ヴェルちゃんはそもそもそのマスターデータを管理している本人だし、悠里も同じよね? ロッテちゃん? フランソアちゃんなわけないよね…残るは凛空と…もしかして…?

紅葉:
はい、すみれさんのAURORA回線からの侵入と解っております。 

永遠:
今、悠里とヴェルさんがAURORAに「枝」をつけて確認していますが間違いないです。

雪音:
ちょっとまってよ! すみれがそんな事するわけ無いでしょ! ちゃんと調べたの? オカシイよ! イイカゲンにしてよ! !

千穂:
でもね何も証拠もなくそんなことを紅葉お嬢達が言うわけないから

雪音:
もしくはさすみれが騙されてるとか!

紅葉:
さきほど、AURORAの電脳通信でその教唆(きょうさ=犯行を依頼する側)した側と会話する所が確認され、その中で犯行を自供もしておりましたので。間違いありません。

雪音:
やっぱりすみれは実行犯であくまで教唆した犯人がいてそれに従っただけなのね? それって誰? すみれのAURORAの会話を盗聴して話してるのまで確認しているだから解ってるんでしょ!

悠美:
うちのメディカルセンター所属の新人衛生メイドのドロシー・バートンです。 大変申し訳ございません! 彼女の依頼ですみれさんは欧州軍参謀本部内の軍資料を得たと判明しましております!

絵美香:
ドロシーちゃんて、ドイツで鈴奈ちゃんを救出するときに良二くんが一緒に救出したバイオメイドの子だよね?

クリス:
えっとまとめると、Forestのメイドのドロシーさんが元うちのメイドで現在GreenWood'sへ移籍したばかりのすみれさんを誑かして欧州統合軍参謀本部へハッキングをしかけたと……。 目的はわかってるの?

紅葉:
判明しております。

紅葉:
絵美香中佐、貴女が立案し本部で指揮したドイツケルンアヴァロン研究施設強襲でのGS
G-9救出作戦、その作戦報告書が目的です。

絵美香:
わたし? の指揮した一年半前の作戦? その私が書いた報告書?

紅葉:
はい。 ドロシー・バートン容疑者は古都埼すみれ容疑者に、自分が救出した隊員である、保坂良二さん、小枝しずる少尉、当時准尉、そして自分を庇って負傷した高飛騨鈴奈特務中尉、当時は中尉に会いたいと思い、それを調べるためにすみれ容疑者に依頼したことが判明しております。 しかし最重要機密事項の書類が保全機関に暗号化され保存されているために、そのサーバーごとすみれさんはコアストライク、データー抜き取ったときにプロジェクトフォーチュン全体のデータも一緒くたに取得したと考えらます。

雪音:
それってドロシーちゃんが自分を救ってくれた人に会いたい、たぶんだけど会って直接お礼を言いたいとか…そのために調べようとしたけど自分では調べられないから、友人であるすみれに依頼したってこと? 調べてって。だよね? たぶんForestでも瑠莉さんとかヴェル
ちゃんとか、悠美先輩達には聞いたよね? 先に。。

悠美:
質問はされたんですが…なんせ最重要軍事機密指定なので…誤魔化すしか…閣下もヴェルさんも同じだと思います。

絵美香:
ちょっと! 最重要機密指定にしたわたしが悪いみたいな流れになってない? あれは米国の部隊もまじっているし両国との関係の調整とか難しいし…

クリス:
そんなのはどうでもいいんだけど。あんたさ、あの作戦でうちのご主人様に一目ぼれしたのに身分さえ全部嘘ついてシレっとうちのクラブに移籍してきてるけどさ、その事についていまだに何もご主人様に本当の事、言ってないよね? 鈴奈さんにも…この際だから全~部まとめて責任とりなさいよ?

絵美香:
ぐひぃぃぃぃぃっ!!
イヤだって! 良二くんにドイツ連邦のエージェントだなんて言えないもん! エージェントて言えばスパイだよ? そんなのお姉さん言えないよ! あんな可愛い鈴奈ちゃんにも!
えぇぇええ~ん…(涙)

すみれ:
ごくごく♪ 
やっぱりお風呂の後はコーヒー牛乳だよね! 本当はビンが良いだけど売ってないし。

SE:
ピロン♪

すみれ:
あっヴェルさんからDMだ。 「以下の座標でまってます来てね♪」 
いつも電脳お茶会かな? 今日は何のお話してくれるのかな楽しみ♪
まず返答「今いきます!」 送信!

すみれ:
ダイブインっ! とりゃ!

SE:
シュン♪

すみれ:
顕在化! あれ? 何も無い? 座標間違えたかな~?

SE:
シャキン!シャキン!シャキン!シャキン!

すみれ:
えっ!

SE:
しゅるるるう!(まきとられて ピンと腕と足が延ばされる)

すみれ:
チェーンバインド!?

すみれ:
ヴェルさんこれは!

ヴェル:
ゴメン…罠に呼び出して…

悠里:
国際刑事機構情報捜査部ですわ。
古都埼すみれ 貴女を国際情報犯罪の容疑で逮捕いたしますわ!

すみれ:
悠里さんってインターポールのAHP(アンチハッカーポリス)だったんですか?

悠里:
今そうわたくしは言いましたわよね?

すみれ:
べ…弁護士を呼んで下さい! その権利はあるはずです!

悠里:
弁護士? ふぅ~ん呼ぶのはかまいませんが? それはこのサイバースペースから出られた時に正気を保っていられればですわね。

すみれ:
あれ? ダイブアウトできない!?

ヴェル:
ごめんすみれちゃんが回線として使っているAURORAの方からロックさせてもらった

悠里:
さてすみれさんが犯した罪についてお話をお聴きしましょうか? 

話は変わりますがすみれさん
巫女姫・異種触手・生贄苗床と言う言葉と
感度3000倍って単語知っておりますでしょうか?

すみれ:
それ違うブランドですから! で〇の巣製作所さんとLil〇thさんですから!
作者さんに的に両方ともそこは怒られちゃう所ですから!

悠里:
ゆっくり壊してあげますからね♪

すみれ:
イヤぁぁぁあっぁぁぁ! やめてぇえええええ!

 
クロノス:
データスフィアよりケルンの報告書以外は暗号化が解かれた形跡は確認できません。

悠里:
トモダチの為とはいえ犯罪は犯罪ですわよ

すみれ:
ゴメンナサイ

ヴェル:
回収終了。 整合性チェックOK。 コピーなどの形跡もないよ。

すみれ:
あのやっぱりすみれとドロシーはこのレベルの情報犯罪だと米国のグアンタナモ収容所(注)とかに収容されることになるんでしょうか? 

悠里:
まあドイツ連邦軍、米軍双方の特殊部隊が関連する作戦の最重要軍事機密を欧州統合軍参謀本部から情報窃盗したわけですからね

すみれ:
やっぱり…そうですよね。 すみれは仕方無いにしても、ドロシーは少し減刑を…

解説:
グアンタナモ収容所、グアンタナモ湾収容キャンプの事。
キューバのグアンタナモ湾のグァンタナモ米軍基地に設置されているアメリカ南方軍グアンタナモ共同機動部隊運営の収容キャンプ。
法の適正プロセスを規定したアメリカ合衆国憲法修正第5条や修正第14条に違反する違法すると批判まで受けてる最悪な刑務所であり、警備も厳重で有名。軍関係の秘密保持違反などの囚人も多数収監されており、拷問が日常的に行わているとまで噂がある。その最悪さは映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」などで描かれている。

悠里:
通常、実行犯より背後で首謀した者の方が罪が重くなる原則がありますのは知ってますわよね?

すみれ:
ですよね…。

ヴェル:
ということで、今ドロシーちゃんはメイド学校の講師として教えている里緒奈お姉ちゃんから説教されている。

里緒奈お姉ちゃんの説教は怖いよ~!

悠里:
すみれさんとドロシーさんが、その救出作戦の報告書以外の内容を閲覧していない事が確認されましたので、今回のみ特例でこの件不問といたします。 しかし作戦の報告書の内容は二人の心の中だけにとどめといてくださいませ。それが条件です。

すみれ:
えっ? どういうことですか?

悠里:
この件、把握しているのはAURORAを管理するForestと三クラブのメイド秘書クラスと保安部長のみ。 欧州統合軍も米軍も把握しておりません。 もし侵入されたことがバレた場合、どれくらいの人のクビが飛ぶか、情報軍大将の責任問題にも発展するでしょう。 ですから。 今回のみは「事件自体が発生しなかったこと」として納めることになりました。 大人の事情というものです。

すみれ:
はぁ…

ヴェル:
でも~今後、無断でハッキングなんかしたら、感度三千倍で触手苗床地獄攻め、それも意識が失えないように脳に信号を与えて続けて、ひたすら快感で前頭葉が破壊されるまで味合わせるよわかった?

すみれ:
はいぃっ! もう絶対にいたしません!

SE:
しゅっ! すみれを捕えていたバインドが消滅する。座り込むすみれ

ヴェル:
でわドロシーちゃんが里緒奈お姉ちゃんから解放されたら反省会しといてね♪

すみれ:
はい…

悠里:
本当に疲れましたわ。 あと伝言です。 小枝しずるさんですがもうすぐ日本に来ますので、会えるとだけドロシーさんに伝えてあげてください。

すみれ:
やはりしずるさんもこちらのクラブに移籍されるんですか?

悠里:
「やはり」ということはすみれさんも気が付いてはいると?

すみれ:
報告書を読んでいてあまりに見慣れた名前ばかりで。これは意図をもってForestの周辺のクラブに集められているなって…感じまして

悠里:
それについてはすみれさんのココロ中だけにとどめといてくださいませ。

すみれ:
解りました。

悠里:
でわ今日の所はこれで失礼いたしますわ♪ ごきげんよう。

〇くみ泡 第七話「久美と良二の温泉旅行 」のラストから3日後 現在 白森駅

ドロシー:
すみれ~! 真理愛!

すみれ:
おかえり!

ドロシー:
ただいま!

真理愛:
ドロシー、直接会うのは初めてだね電脳通信でいつも話してるから初対面とは思えないけど

ドロシー:
うんっ! でも! 初めまして真理愛! 会えてうれしい!

 
ドロシー:
ぐるぢぃいよお姉ちゃん…

めぐ:
クレアさん!中でどれだけドロシーをモフってかまいませんので乗って下さい、このクルマ大きいので止めておけないので!

クレア:
本当はメイド学校にドロシー一人でなんて行かせたくなかった…でもお姉ちゃんにも仕事が…無事に戻って来て本当に良かった…

ギリギリ!(締め付けている)

真理愛:
あのクレアさん、抱き締めたいお気持ちは大変わかるのですが…ドロシーのカラダがそろそろ限界なので許してあげてくれませんか? 

クレア:
もし気を失ったらクレアが治療しますから! 大丈夫!

真理愛:
それだたの無限地獄だから!

クレア:
どれだけお姉ちゃんが心配だったか…うっ…

グリグリ♪ ミシミシ♪

ドロシー:
チ…ちんじゃう‥ちんじゅうよ…

めぐ:
愛花さんに捕まった時の愛理さんみたいになってるね。

すみれ:
時々保安本部で逃亡に失敗して捕獲されてますものね。最初見たときはびっくりした。 まあ見慣れたけど…

以下AURORAでの電脳通信で郁恵のスマホへ繋げている:
(郁恵~? もうそろそろ着く~久美メイド長に連絡お願いね、そそ正面エントランスにつける)

〇Empire Club Whity Garden

SE:
ガチャ♪ガチャ♪ガチャ♪

郁恵:
どうぞ!

ドロシー:
ありがとうございます…って郁恵? 初めまして? なんかおかしいね

郁恵:
いつもライムチャットのグルチャで話してるからね♪ ようこそ我らが Empire Club Whity Garden に!

ドロシー:
ほ…本日はよろしくお願いいたします。
Empire Club Forest 所属のえっと 衛生メイドをしております。 ドロシー・バートンです 本日はわたくしめの為に貴重なお時間を割いて用意していただきありがとうございます。

久美:
はい♪ ようこそ、弊クラブはドロシーちゃんを歓迎するわ。 メイド長を拝命しております久美です。

麗奈:
とりえず頭あげようか? 副メイド長の麗奈よ。メイド学校講習お疲れ様そして正規メイド昇格おめでとう♪ これからがんばってね。

ドロシー:
はい、ありがとうございます。

ドロシー:
久美メイド長さん! ご婚約おめでとうございます! 婚約指輪とってもステキです!

久美:
ひぃぃぃぎぃぃっ! あっ…あっ…ありがとう…ふにゅ…

麗奈:
はいっ! ドロシーちゃんのテクニカルKO勝ち!

ドロシー:
あっ月美、聖理愛、愛里栖!

麗奈:
はいはい~気持ちはわかるけど~キミ達は仕事にもどる! 本当に‥あとっ! 久美もそこでノックアウトされて放心状態になってないで応接室へ行くよ?

久美:
うん…ふにゅ…

麗奈:
ダメだこりゃ。

 
〇30分前のEmpire Club Whity Garden 応接会議室

絵美香:
ごめんなさいお姉さん嘘をついていたんです…実はお姉さん、ドイツ連邦情報局の工作員で…

絵美香:
簡単にいうとスパイなの! いままで身分を偽っていてゴメンナサイ! 良二くんも鈴奈ちゃんもこんなお姉さんなんか嫌いになったよね…

良二:
いや、絵美香特務中佐、別に誰もそんな事思わないと思うよ?

鈴奈:
いや…あの…その元上司ですし…ねえ

しずる:
お姉さま、もしかして特務中佐はお姉さまとこのショタ…いやご主人様、カッコ仮にご自分の身分を隠していた? と思い込んでいた? そんな事が可能とか?

良二:
今、ショタって言ってから、ご主人様(仮)とか!

鈴奈:
ご主人様ちょっとまって、しずるうんそういう解釈で良いと思う。

花恋:
絵美香お姉さんは特務中佐なんですね! それも情報局所属のカッコイイ!

絵美香:
ちょっとお姉さん階級とか言ってないだけど? えっ?

鈴奈:
あの一応元上司ですし中佐ですし顔くらいは知ってて当然かと? うちへ情報…もとうちですねのGSG-9へ情報を普段送ってくれていた担当中佐ですから。現地での指揮も当時、何回か受けておりますし。

しずる:
それこそお姉さまをこのショタ、ご主人様(仮)と救出した作戦の指揮も本部で御取りになってましたよね?

絵美香:
えっ? その…えぇ…これって良二くんどういうこと? もしかして良二くんも…

良二:
鹿苑寺グループはドイツでは連邦軍国境警備隊にはかなり御贔屓にしてもらってからね。ボクの担当だったし。取引先だからその顔と名前は把握してるのが当然じゃないかな? このクラブでもそうでしょ?

絵美香:
えっ…じゃあお姉さんが隠してるのを知ってて知らないふりをしてくれてたの?

良二:
とくに最初色々、ボクを知ってるのか知ってないのか? それさえ曖昧にしてて…かなり不自然だったしね。表的には公言してはいけない事情? みたいなのがあるではないかとおもってね。

不自然な言動は以下参照


鈴奈:
知らないフリというか、知らないと思ってないなんて思ってなかったっていうか? 
身分どうこうは軍の命令で無茶ぶりで表的には

誰もしらない 知られちゃいけない お姉さんが誰なのか~♪
何も言えない 話しちゃいけな~い お姉さんが誰なのか~♪

良二:
今日もどこかでお姉さん 今日もどかかでお姉さん って感じだね
そういえば鈴奈も随分アニメ解るようになったね。

鈴奈:
ご主人様や久美さん、麗奈さんの話についていくために勉強してますから!

デビルマンエンディング 今日もどこかでデビルマン

鈴奈:
誰も知らない 知られちゃいけない
お姉さんの ふるさとを
何も言えない 話しちゃいけない
お姉さんの ふるさとを

しずる:
アレなんなんですかぁ? しずるが知らないお姉さまがいます…

花恋:
たぶん古いアニメの曲だと思う。 良二オーナーと久美メイド長、麗奈副メイド長は、簡単にいうと「重度のオタク」なんです。 
こうアニメとか可愛い絵が描いてある小説(ライトノベルの事)やマニアックなゲーム?(MOやMMORPGのこと)が好きで。 
鈴奈さんも一緒の部屋で暮らしているうちにそれに多大に影響というか汚染され、すでに一般の社会生活に戻るのは不可能なレベルまで汚染が進んでいるかと

鈴奈:
もうこれで 帰れない~!
さすらいの 旅路だけ~!
このやすらぎの心 知った今でわぁ~♪

しずる:
しずるの知っているお姉さまはもう居ないんですね…
あの堅物のお姉さまをここまで汚染するとは恐るべきオタクの国日本…

花恋:
どっちかというと恐るべき良二オーナーと久美さん麗奈さん、一部周囲の環境かな。

しずるにも新しい良い子が現れるよ、たぶん。

鈴奈:
明日もどかかでお姉さん
明日もどかかでお姉さん

 
良二:
ドロシーさん良く来たね。 そしてすみれ付き添いありがとう。
座ろうか。

すみれ:
落ち着いてゆっくりでいいから、焦らないで…

花恋:
ラズベリーケーキと里緒奈さん特製焙煎ブレンドです。私はクレアさんと真理愛達のところに行ってくるから、ドロシーがんばって、

ドロシー:
花恋、すみれ、ありがとう。

ドロシー:
すぅ…ふぅ…
えっと、皆さん、本日は忙しい中、わたくしの為に時間を割いていただきありがとうございます…

皆さんがわたしの事を…助けてくれて…そして他にも沢山の方が、私の事を支えてくれて今、わたしは正規メイドとしてここにいます。

ドロシー:
わたしの最初の記憶は、わたしに覆いかぶさって銃弾を受けてでも、笑って「大丈夫だよ」って言った鈴奈さんの記憶です。 わたしは何も動けなくて、ただ目だけが開いていて…その瞬間を見ている事しかできませんでした。

ドロシー:
次の記憶は、大きな音がして、お姉さまという声がして。 
それにわたしは自働返答でその声の主を確認した時、笑顔で「ドイツ連邦国境警備隊です。助けにきました。」と言って「あなたを助けることを、このお姉さまに託されました。 ですから必ず助けます。 だからすこし待ってて!」と言ってくれたしずるさんの声です。

この時、わたしは「タスケル」という強い意思を感じて、わたしの使命である「人を助ける為に生まれた」ということを強く自覚する事ができました。

しずるさんは、そのまま部屋を出て行ったですが、それは私や私が救うべき鈴奈さん、そして残ってくださっている男の子を「助ける」為だと理解できました。

ドロシー:
私の最初の最後の記憶は、鈴奈さんを治療する途中に初期の不具合を起こし倒れ込む私を抱えてくれた暖かい手でした。 それは良二オーナーの手でした。

ドロシー:
本当はいけない事なんだけど、どうしても私の事を助けてくれた人たちの事を知りたくてこの、すみれに頼んで、記録を調べてもらいました。 
私を助けてくれた作戦全部を立てて指揮をとってくれ、その後、Forestまで輸送しクレアお姉ちゃんやヴェルさん、瑠莉ご主人様に託してくれたのは絵美香さんであることを知りました。

ドロシー:
ここにいるみんなが居てくれて命をかけて、救ってくれたから、わたしはここに生きています。

本当に…

ドロシー:
私を救って下さって。ありがとうございました。 救ってくれたこの命を大切にします。 
その大切な命を使ってこれから衛生メイドとして多くの命を救えるよう尽力したいと思います。

鈴奈:
もうドロシーさんは鈴奈というメイドの命を救ってるのよ。鈴奈の命を救ってくれてありがとう。

ドロシー:
うっ…ドロシーさん、鈴奈お姉さまの命を救ってくれてありがとう。 ずっとお礼を言いたかった! やっと言えた! これで戻ってくるっていう約束が果たせたよありがとう。

絵美香:
あの作戦では救えなかった命も多いの。 でもドロシーさんは救えた。 だからその命大切にしてね。

良二:
うん。 新しい正規メイドよ、ようこそエンパイアクラブの世界へ。 キミの力をボクたちに貸してくれ。

ドロシー:
はい! 精一杯このメイドドロシー! エンパイアクラブグループに仕えさせていただきます!

イケナイ凛空ちゃん 第五十四話「Sacred World」 終わり