イケナイ凛空ちゃん 第五十四話「Sacred World」その2
良二:
これで完全ロックされたはずだ、少しは時間が稼げれば良いが。キミ何をしている!
ドロシー:
診断開始。銃弾は広背筋より腹上筋を切断‥
ドロシー:
ドラックスタビラザイザーに接続。止血用マイクロマシン最大活性化。血液内酸素共有最大化完了
良二:
治療しているのか?
ドロシー:
ワタシハバートン製試作「バイオメイド」ドロシー型試作タイプ壱号。ドロシー。 アポリロイドノ戦場デノ治療ノ為に製造サレマシタ。
生命維持活動致命的ナ状態ヲ回避。 シカシ現状デハ6時間以内ニ死亡ノ可能性大、大型メディカルユニットデノ治療ヲ推奨シマス。
ドロシー:
ドロシー内ハイドロリアクター出力低下。 異常検知。 生体維持活動ニ重大ナ障害発生。
良二:
ドロシー! おい! どうした!
ドロシー:
生命維持ヲ優先休眠モードニ入リマス…
良二:
ドロシー! しっかりしろ! 畜生増援はまだか!
〇現在から半年前 Club Forest メディカルラボ
ヴェル:
脳波! 覚醒状態に! 目覚めるよ!
クレア:
本当にドロシーが目を覚ますんですか?
ヴェル:
うんっ! これで起きる!
瑠莉:
良くがんばったなヴェル!
フランソア:
ご主人さまは当然として、さすがフランソアの専属メイドのヴェル! エライ!
クレア:
ドロシー! ドロシー!
ドロシー:
…貴女は…ダレ?
クレア:
クレアはドロシーのお姉ちゃんだよ! 良かった…良かったよ…
ドロシー:
お姉ちゃん? お姉ちゃん…ドロシーのお姉ちゃん
クレア:
そう! お姉ちゃん!
ドロシー:
私が治療途中だった患者さんは?
ヴェル:
ドロシーちゃんが治療中だった鈴奈ちゃんはちゃんと完治して今はメイドとして幸せに暮らしてるよ。 良くやったね。
ドロシー:
良かった…
ヴェル:
過去記憶も言語野も正常に稼働中だね。
瑠莉:
キミ、自分が誰がわかるかな? キミは誰? 後、マスターはダレ?
ドロシー:
わたしは認識番号BD000001 バイオメイド ドロシー・バートンです。 衛生メイドです。 仮マスターは櫻糀瑠莉の保護下にあります。 ご主人様は、あなたです。
クレア:
そう!
瑠莉:
そうだ、これからよろしくねドロシー。
フランソア:
仮マスター登録も新規基礎記憶もばっちりだね。 これで一安心。
ヴェル:
よっしゃ!よかった!
クレア:
今日はそのまま少し休んで、寝て
ドロシー:
はい。クレアお姉ちゃんなんで泣いているの?
クレア:
とてもとても嬉しいからよ。嬉しい時も涙が出るの。
ドロシー:
そう嬉しい…わたしとても今眠い。
クレア:
疲れたでしょ? 寝て良いわよ。 おやすみドロシー
ドロシー:
お休みなさい。 クレアお姉ちゃん。
その2へつづく