イケナイ凛空ちゃん 第五十五話「Scarlet Ballet」後半 その4
エリシア:
アバターなのにソファ座るんだ
ヴェル:
形って大事だよ?
アリエル:
花恋さんに質問があります
花恋:
なんでしょうか?
エリシア:
メイドとはなんでしょうか?
花恋:
お屋敷のお掃除をしたり、お料理したり、サロンでお客様を接待したり…そのお客様と夜伽したり、ご主人様と夜伽したり…あれ? それ全部花恋してないな…わたしってメイドなのかな?
エリシア:
エリシアもしてないから大丈夫!
アリエル:
そういう意味ではごぜざいませんわ♪ こう言いましょうか? アポリロイドチップやオーダーメイドチップなどのニューロン量子プロセッサを脳神経へ接続し一定の能力を得たオーバーメイドやオーダーメイド、そしてそれ以上の特殊なメイドのことですわ。 その社会的な意味についてはどう思います?
花恋:
う~ん…オーバーメイドの花恋が言うのも変なんですが、戦場でも経済的なものでも、メイドが社会を良くも悪くも変えてしまった。 経済の事は花恋は良くわからないけど、戦場でいえば、普通の人とメイドでは戦闘にならなない。 メイドにはメイドしか対抗手段がない。 たぶん同じことが経済にもいえて、そういう部分で優秀なメイドを抱えた国やクラブが経済的に有利になる? そんな社会になってしまっている。
悪い部分としてはそのメイドはマスターに抵抗できず、そもそもが人権が存在しない。 現代の奴隷制度? みたいな社会。 人とメイドはもともとは同じなのに平等でも公平でもない。 それが社会の歪みになっている?
ごめんなさい幼い考えてで。
アリエル:
とてもエリシアと同じ歳とは思えない洞察力ですわ。
エリシア:
お姉ちゃん酷い。 それはエリシアは幼いけど…
悠里:
良く社会をみてますわね。 流石中央アジア戦線の英雄的なスナイパーといったところでしょうか。 スコープ越しの深い視点だけではなく広い視野も持ち合わせておりますわ
ヴェル:
じゃあその歪みを是正するためには、メイドが普通の人を支配すべき?
花恋:
それは違います! そじゃメイドの人権を奪った一部の人たちと同じ考えになってしまいます。 現在では失われたメイドの人権も多くのエンパイアクラブのオーナー様たちの力で少しづつ回復されてきていますし、今まで認められていなかった、結婚の自由や子供を産む自由などもあります。 もちろん強すぎる力があるので制限がありますがそれでも多くのメイド達が幸せに暮らせる社会になってきています。
エリシア:
花恋は今までもまっすぐなままなんだね。安心した
花恋:
今でも?
アリエル:
花恋さん、そもそもメイド、この場合はアポリロイドやオーダーメイドの事をさしますが何故生まれたか知ってますか?
花恋:
はい、昔、生物兵器が世界中で使われて子供が血液が凝固する特殊な病気に、それを直すには当時最新の技術であったチップを内蔵することで…
エリシア:
だったらマイクロマシンでもいいよね。 施術するにはマイクロマシンが不可欠だし。
花恋:
そういえば…そうだよね? なんで今まで疑問に思わなかったんだろう? というか何でみんな疑問に思わないの?
萌香:
そう考えるように強制されているからよ。 脳を制御してね。 条件づけ。
悠里:
本当の目的を隠すために。 オーバーメイドを作る為に、アポリロイドチップは女児に埋め込まれた。 そもそも生物兵器が子供が発症する病を起こすものだったらなぜ男児にはアポリロイドチップを埋め込まなかったのか? そもそもその生物兵器って存在したのかしらね?
花恋:
えっ…そんな! じゃあ全部が作り話で騙されているってこと? その嘘の中で花恋たちメイドは自分の運命を受け入れて諦めて…
エリシア:
この社会の暗黒面(ダークサイド)へようこそ花恋。
花恋:
あれって中二病的な冗談じゃなかったの?!
その5へつづく