イケナイ凛空ちゃん 第五十五話「Scarlet Ballet」後半 その5

 

花恋:
花恋達はアポリロイドにさせられた、オーバーメイドを発生させるために何故?

アリエル:
その答えはご自分で説明されていましたわよ?

花恋:
メイドは社会、いや世界を変えた?

悠里:
詩織さん達第一世代が活動を始めた今まから20年前の世界の総資産額は約300兆ドル。この20年間で世界の総資産はその18倍、5400超ドルになっております。(注) これはメイドというものが生み出す超技術や経済のサイバースペースへ移行、メイドの集中管理による紛争のコントロールによる各国の人口抑制や経済制御などの恩恵によるものです。

すでにメイド無しではこの社会は存在できない。そんな状態にまでなっています。

注:
えんぱいあな日々の世界での話です。 リアル社会だと2020年の世界総資産は360兆ドルくらい

花恋:
紛争のコントロール? 人口抑制? 戦争が作られているっていうんですか?

悠里:
今に始まった事ではございませんでしょう? 歴史をみればって…まだカリキュラム的には少し早いですわね。花恋さんは学園では世界史は中世に入った所くらいですか

簡単に説明いたしますと現代の戦争はメイド同士で行わせることで、一般の市民の被害や一般兵士の被害も最小限。 ただ軍事産業としてはメイド用の軍事産業は爆発的に伸る。まあ良より質への兵器の変化とか?  あと産業が発展すれば子供の数が減る。もちろんそのよな経済レベルを保てる資材や資産を外部に確保できればですがね。
    
これならお解りになりますか?

萌香:
その戦争の原因になっていた、化石燃料やレアメタルなども現在は化学的に合成している。 これも多くのネットワーク系のメイドが作りだした技術。そしてその原料となる、アステロイドベルトの資源の採掘ドローンやその輸送ドローンの制御なんかネットウィザードメイドがいなければ不可能だしね。 一般の人々はその社会の恩恵を受けて生活する。

花恋:
それならアポリロイドチップの埋め込みは現在では国際条約で禁止されて、メイドは減っていくわけで…現代社会の維持ができなくなるじゃないですか?

もしかして…人工的にオーバーメイドをそのものを…作り出す? まさかそれがエリシアとかじゃありませんよね?

エリシア:
花恋大正解!

花恋:
そんな! ヒトは機械じゃないんですよ!

アリエル:
ヒトと機械とどう違うんですか?

花恋:
えっ?

アリエル:
花恋さんが今優しく抱いてくださっているわたくしのエージェントのにゃん太もエリシアが抱いている花恋さんのぴよ吉も機械ですわよね?

花恋:
そうですけど…

アリエル:
ぴよ吉は花恋さんを励ましたり、からかったり、時には喧嘩したり。 しませんか?

花恋:
します…。

アリエル:
ぴよ吉さんと戦場で何度も死線を潜り抜けた、普通の友人ではない命を共有する掛け替えのない戦友ではござませんか?

花恋:
はい…そうです。ぴよ吉は花恋の戦友で相棒です。

アリエル:
わたくしも、エリシアも、クレアもドロシーさんも、第五世代と言われるバイオメイドです。 生まれ方は特殊ですが、わたくし達も友人として認めてもらえませんか?

花恋:
当然です! 友人として認めるに決まっているじゃありませんか!!  

アリエル:
トモダチ、英語ではFriendを日本語では友人=友の人と書きますわよね? 人はヒト。 そうではありませんか?

花恋:
…そうです。

アリエル:
しかし自然発生的に生まれる人と製造されるには違いもあります。
ヒトは愛し合った結果、その結晶として子供が出来て生まれて来ます。
生まれてからその子供は自分の目的をもちそれに従うかあがなうかの選択します。
しかし私達は、生まれ方が「製造」されたものですから。 製造とは何か必要性があり製造されるものです。 

花恋:
それは何かを担う為に、生まれてきた…使命?

アリエル:
ステキな言葉ですわね。 そう使命。 ぴよ吉であれば、この身体は花恋さんとできるだけ一緒に行動し、ライフルを構える時には隣にいて狙撃の補佐をする。 普段は話し相手や相談相手。 花恋を知り、つねに考え、アドバイスする。 そのための「ボディー」です。 それがこの姿のぴよ吉の「使命」です

ぴよ吉:
ピヨぉ~!

花恋:
いつもありがとうぴよ吉

ぴよ吉:
ピヨぉ~ん!

花恋:
改めて言うとお互い照れるね。えへへ

エリシア:
それで、エリシアはぴよ吉と同じように花恋をサポートするために設計され製造されたの。 葉月花恋。いや、加倉博士のご息女、加倉家現当主 加倉花恋お嬢様。

花恋:
えっ? ナニ? それ?

その6へつづく