くみ泡 第八話「RENDEZVOUS 」その10
哲也:
でわ加倉くんはあの素体では障害が発生すると?
桃子:
はい。増大した神経信号の処理が脊髄神経ネットワークで処理しきれず不具合を発生させるかと
哲也:
しかし今から素体を再設計し作り直しをしていては…ここの設備でどうにか持たしているがあの子は日々衰弱している…間に合わない。
桃子:
しかしこのまま意識を転送したとしてもあの素体で稼働させた場合、神経信号が混乱を起こし良くて多臓器不全、最悪は意識覚醒と同時に意識の意味喪失が発生すると私の計算では…
SE:
ガチャ♪
Drフィッツジェラルド(以下Dr):
あらあらぁ~それは大変ですわねぇ~♪
優樹子:
だったらもっと大変そうな顔しなさないよ。 あなた遅れてすいません、飛行機が天候不順で到着が遅れまして。
フランソア:
………こんにち…わ…
桃子:
ドクターどうぞ
Dr:
メルシー桃子
優樹子:
桃子、悪いけど給湯室の戸棚の隠しにある赤い缶の豆でコーヒー淹れてくれるかしら
哲也:
おいそれは俺の秘蔵のブルマン! 隠してあったのに何故知ってる!
桃子:
はい先生了解しました!
Dr:
まあ! ブルーマウンテンですの楽しみですわ♪
桃子:
フランソアちゃんは紅茶の方がいいかな? もしくは缶ジュース?
フランソア:
おおぉ、建物の中にお庭がある。 あれ? 女の子がいる…マモン…あの…
Dr:
フランソア遊んできていいわよ
フランソア:
Ah bon?(本当に?)
Dr:
哲也よろしいですわよね?
哲也:
フランソアくん、あの娘(こ)は梨音と言って身体がとても弱くてうちで預かってる子なんだ。
フランソア:
LION(リオン=フランス語でライオンという意味)…とても強そうな名前。 なのに身体弱いんだ。 一人なの?
哲也:
そう。ここでは一人だ。だから本読んですごしていることが多い。フランソアくんも本が好きだろう? だから梨音とお話してもらえないかな?
フランソア:
うんわかった。フランソア、リオンとお話する
哲也:
桃子、フランソアくんに梨音のZXアルファ補充水を持たせてやってくれ、そろそろ水分を補給させないと、フランソアくんなら同じものを飲んでも大丈夫だろう。
桃子:
フランソアちゃん、ついてきて梨音ちゃんにもってくお水とりにお姉さんといこう
フランソア:
うん。
優樹子:
あなた、さっきの桃子が言っていた神経増幅処理の問題だけどデルポール(注)ちゃんの中にあるオーバーリジェネイト回路を梨音さんのハイパオーバーメイドチップのアブソリュートで吸い出して融合させその後、素体に脳神経転送することで解決する気なのね。 だからデルポールちゃんもここに呼んだと
哲也:
フランソアくんのオーバーリジェネイトは未完成だが、梨音くんの新素体がアルティメイト能力を発現する事になる第二次成長期を迎えるまえでは問題は起きないはずだ。
Dr:
それまでには剛史(注2)達がどうにかするでしょう♪
注:
優樹子はフランソアのことを、親友であるDrを「フランソア」と普段は呼んでいるので、本作品のメインヒロインのフランソアのことは「デルポール」と苗字よみで呼びます
注2:
西園寺剛史(凛空のお兄ちゃんのこと)はDrの弟子の一人です
Dr:
それにあなた達の優秀な子供もおりますしね。
哲也:
ああ、瑠莉には俺がコチラ側を去る前にたっぷり宿題を残しておかないとならないからな。
Dr:
厳しいパパでありますこと♪
フランソア:
リオン…お水…持ってきた…お話しよう。
梨音:
梨音と同じペンダントしてる……お姉さんは誰?
フランソア:
私はフランソア・デルポール。 フランソアだよ。
その11へつづく