えんぱいな日々(本編) 第五百六十一話 ALIVE その5

 
真理愛:
本当にブラックのコーヒーで良かったの?

すみれ:
はい…すみれの先生がこれ好きだし…飲ませてもらったら美味しかったから。それより‥

すみれ:
今すみれはどうやってこの代金を支払おうか悩んでいます。 すみれは電子でしかお金をもっていません。 その口座からどうやったらお金を貴女の所に転送できるか…

真理愛:
いやいや! それはさっき驚かしちゃった謝罪の意味だから! 缶コーヒーで悪いけど!おごりだから!

すみれ:
知らない人から対価無しにもらうわけには…謝罪は先ほどコトバでもらいました。

真理愛:
うぅっ…!

くいくい♪
左の小型ドローンがくまのぬいぐるみの耳をひっぱってる

すみれ:
アイン! 勝手に人様のモノをさわったらダメ! ちゃんとこの人に謝って

ドローンがガチャチャ、頭を下げて左手をあげる

真理愛:
おぉ~! 言う事きいた!

すみれ:
アイン…それが謝罪? 

真理愛:
いや! 十分謝罪の意思は通じたよ!大丈夫!

真理愛:
ねえこれって講習で習ったけど自己学習型人工知能が入ってるってやつ?

すみれ:
本体はここには入っていないんですがそれが動かしてます。 ツヴァイは真面目なんですが、このアインは何でも興味深々で困っている

真理愛:
あっそうだ作業邪魔しちゃってるけど…すっごいこれ興味あるし、貴女とお話したいし…その邪魔しちゃってる対価っていうことで、そのコーヒーでどう?

すみれ:
うむ、すみれの作業を中断している事と超長距離遠隔操作ドローンの説明の対価ということなら。 頂きます。

SE:
カチっ♪(プルトップを開ける)

真理愛:
うん! 召し上がれ! 
それでさ…ちょっとだけこのアインちゃんだっけ? 触っていい?

すみれ:
いいじゃないですか? アインも勝手に貴女のぬいぐるみ触ってたし。良いよねアイン?
シュタっ! アインが手を挙げる

すみれ:
良いらしいです

真理愛:
やった!

真理愛:
おいで♪ よしよしぃ! 頭良いねぇ~! すごいね~! 偉いよ♪

ガシャ♪ ガシャ♪

真理愛:
おおっ! 喜んでる!

すみれ:
うむ…すみれ以外の命令を素直に聞くとは‥さらにセンサーが集中している胴体上部を警戒も無しに差し出すとは…ふむ…すみれでもそこ触らせくれないのに…むぅ…

真理愛:
そうだ名前! アタシ真理愛! まことのことわりのあいと書いて真理愛。自分ではマリって言ってるだけど、それでこの子達、すみれが作ったの? あっ呼び捨てにしちゃった…ごめん!

すみれ:
呼び捨てで構いません。日本だと親しくないとさんとかちゃんとかつけると聞きましたけど、すみれまだ良くわからないし。 

えっと、それでこの子達の人工知能、AIはすみれが作ったのではありません。 この身体はすみれの先生からつかっていいよって言われた余り部品倉庫の中の部品から適当につくりました。制御系のプログラムはすみれが書きました。

すみれ:
この子達の本当の身体はかなり壊れてしまっているらしく、動かせないけどAIは無事だったそうです。このツヴァイのマスターが今度ここから遠くに行ってしまうことになってしまって、でもどうしても、このツヴァイは一緒に行きたいそうで。 すみれは機械とお話ができるから、ツヴァイがすみれのアインに相談して、すみれにどうにかできないかと頼まれました。

真理愛:
本当の身体が壊れちゃったからそれでこの身体を作ってあげたと。 すみれは優しいんだ。

すみれ:
優しいかは判らないけど、困ってる機械をみたらすみれで出来ることなら助けたいですし。

真理愛:
そっか…

すりすり♪

真理愛:
大きさは丁度良いんだけど、肌触りが…ちょっとゴツゴツしてるわね…

すみれ:
えっ! アインが大人しく抱かれてる! すみれには絶対に抱かしてくれないのに!
そしてさらに喜んでる!

すみれ:
それはあくまで中身で、表面はこのトリのぬいぐるみ、これも西園寺先生にお願いして買ってきてもらったんですが、これに入れて表面を色々コーティングして目の部分にもセンサー部品いれたりして完成させるつもりです。
一緒につねに居たいっていうツヴァイの希望があったので考えました…これなら一緒に寝ても大丈夫かと。

真理愛:
なるほど、そのぬいぐるみなら肌触りよさそうね! 動くぬいぐるみだ!

すみれ:
そうなります。 
(小声)すみれがアインのマスターなのに…そのボディーの創造主なのに…うぅ…

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