えんぱいな日々(本編) 第五百六十話 GIANTSTEP その14

 
郁恵:
ご主人様は…マスターは!…ルゥナ・デルポール様です! なんで郁恵の頭の中から消えてたんだろう…

エリシア:
起き上がらないで!

郁恵:
あと花恋! ルゥナと花恋は無事なんですか? 先生! 二人は郁恵の大切な親友なんです!

瑠莉:
やはりマスター契約に関する部分が切断されても郁恵くんの中からも記憶は消えてないか。

アリエル:
あくまで封印という事なんでしょうか?もしくはどこかへ転送?

郁恵:
教えてください!

瑠莉:
スマン。まず二人共重症であったがどうにか峠は越えた。命は助かった。

郁恵:
重症…でも助かったですよ ね?

瑠莉:
…郁恵くん落ち着いて聞いてくれ。 ルゥナくんと花恋くんは、身体はどうにか治るんだが…ニューロチップの管轄下にある脳の一部に重大な問題が発生していてな、現在医師団の総力をもって治療中だ。

郁恵:
ニューロチップに…

瑠莉:
特に記憶をつかさどる部分に障害が集中しており、ルゥナくん、花恋くん二人とも意識が回復しても…郁恵くん達の事を覚えていないかもしれない…。

郁恵:
ご主人様がメイドの私達を…覚えてない?

瑠莉:
そのメイドとご主人様。この場合はアポリロイドと管理者であるマスターの関係なんだが、ルゥナくん、花恋くん共に現在「保留」という中途半端な状態に何故かなっている。

郁恵:
保留? 保留ってなんですか?

アリエル:
郁恵さんにとってルゥナさんはご主人様であってご主人様ではない。 わたくしやエリシアにとっても花恋さんはご主人様であってそうではない。 そういう状態なの。

エリシア:
自分のニューロチップの領域みれるよね? マスター契約の時に使うところ。見てごらん。

郁恵:
!!! なにこれ…新規マスター登録 許可?

エリシア:
通常ではあまりありえないないんだけど、二人とも自分の死を覚悟して、私達が自由に自分の意思でマスター=ご主人様を選べるように設定した。 すごい特殊なオーナー権限ならこういうことができる。 

郁恵:
そんな‥‥

アリエル:
死を覚悟しても最後の最後まで自分のメイドのことを考えて…処理をしたんだよ。 自分が死んでご主人様でなくなっても…私達が新しい人生を自分で決められるように…

郁恵:
う…うわぁぁぁぁん!(泣) 
ルゥナ…ルゥナ…マスター…ご主人様ぁ(号泣)

エリシア:
今は泣けるなら泣いた方がいい…

瑠莉:
私はルゥナくんと花恋くんの治療に戻る。もしなにかあったらAURORAで呼んでくれ、使い方はもうわかるよね?

アリエル:
はいもう習得づみです。 二人の事をよろしくお願いいたします。

瑠莉:
医師として研究者として全力を尽くす事を約束するわ。

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