えんぱいな日々(本編) 第五百六十話 GIANTSTEP その15

 
ヴェル:
食事の時間だよ~♪

夏帆:
どうぞ

愛里栖:
どうも…

アリエル:
まあ変わったお食事ですわね♪

エリシア:
これは伝説のディストピア食!

郁恵:
(小声)…クロトの子の収容所の方が食事はマシか…帰ろうかな…

エリシア:
郁恵…クロトの子、話聞いたけど壊滅したらしいよ?

郁恵:
そうか…だったらご主人様達が回復したらアヴァロンに亡命する…桃子先生優しかったし

エリシア:
えぇ…食事で決めるの?! たしかに食事は良かったし桃子先生はいい人だけど…

クレア:
見た目はちょっと「アレ」だけど味は美味しいよ?

ヴェル:
クレアも見た目「アレ」って言わないの! その形は輸送効率をできるだけ取れるように計算されつくした形になっているの。 それはヴェルコヴァー製薬、西園寺製薬、花路製薬、手塚人工フードの4社が共同開発した人工完全食! 歯ごたえも計算されていてそれだけ食べていても顎の筋肉減少もしないし栄養も問題ない、さらに消化吸収による内臓負荷を最小限度に抑えているすぐれもの。食欲も完全にみたされ、胃もたれもしない。

郁恵:
はぁ…これだけずっと食べていても問題はないと…。 これがエンパイアクラブのメイドの食事…。

そうか…エンパイアクラブのメイドはこれを毎日食べているんですね…(アヴァロンへの亡命作戦を早急に計画しなくちゃ。郁恵は無理!絶対に無理!)

クレア:
あははっ!

ヴェル:
えっ? どういうこと?

夏帆:
郁恵さんは、エンパイアクラブのメイドになったらメイドはずっとこの食事が提供されると心配なさっているのですわ

ヴェル:
別に今日は意識が戻ったばかりで内臓の負担が心配だからお粥とかよりは味がこっちの方がまだ食事ぽいかなっておもったから、これにしたけど明日の朝からは通常食だけど? 
えっ?

愛里栖:
とりあえずお腹はすいているのでイタダキマス! うわっ何コレ!! この暖かい丸いゼリーみたいなの魚かな?をじっくり煮詰めたスープを固めたような…この私の貧しい語彙力が悲しい! 美味しいとしかいえない! 

郁恵:
愛里栖がなんかグルメ漫画のキャラになりそこなって壊れてる。そういえばエリシア達の食事は?

アリエル:
わたくし達は郁恵さんが寝ている間に、この病院の中にあるレストランで夕食はすませましたわ。 ちなみにわたくしはエビフライを頂きました。

エリシア:
エリシアは日本のカニ釜めしっていう海鮮ピラフを食べた! 美味しかった! 味噌スープも美味しかったよ!

郁恵:
釜めしがピラフ…似たようものか。 食事は自由にレストランで取るとか普通の一般の人達みたいだね…メイドなのに不思議。

注:
ピラフは具材をお米を炒めてから炊き上げるに対し日本の炊き込みご飯は炒めません。双方だし汁で炊き上げるのは共通してます。

クレア:
えっと二人につけてもらったこの首輪みたいなもの、ちょっとうっとうしいかもしれないけど、これは二人のニューロチップから直接健康状態をモニタリングできる機能があるものなの。 
これをつけているとつねにこっちは異常の変化などをみれるので24時間この病院にいるときは外さないでね。
あとこれに指で触れて話しかけるとつねに二人の看護担当であるわたしクレアとそこの夏帆につながります。ナースコールにもなってます。 

あとハイパーメイドとしての能力制限はしてないけど能力はこの国の法律でマスターが意識が現在はないので使用禁止です。
使用するとこの首輪が検知して報告されるので内緒でってのもダメだからね。

それで明日からの予定なんだけど…

愛里栖:
メッチャ!美味しい!メッチャって死語だっけ? まあいっか! このビーフジャーキー、これビーフジャーキーじゃないよ! 口の中いれるとすぐに膨らんでローストビーフの味! それも絶妙なソースが絡まった状態でと口の中で肉汁が再現される! これってどういう仕組みなの?! とにかくおいしい! なんていうかこのプレートだけで豪華なフルコースを食べてる感じ!

郁恵:
うわぁああ本当だ! この固いパンみたいなやつ、口入れた瞬間ふわっとやわらかくなってバターがしみ込んだ高級なパンみたいになる! 何これ! それにこの飲み物! なんだかわからないけどとってもおいしい! 今まで飲んだことないジュースぽい、しいて言うとフルーツジュースぽいけどのど越しがどろってしてない!さわやかでフルーティーでなおかつミルクぽくてもうわかいけどおいしい!

エリシア:
まったくこれクレアさんの説明聞いてないね…

アリエル:
二人には後からわたしから伝えますので…(苦笑)

クレア:
お願いします。 よく考えると寝てたとはいえ数日ぶりの食事だものね、仕方ないか(笑)

ヴェル:
思ったより落ち込んで無くてよかった。

郁恵:
ひとしきり泣いて、いっかい寝ましたので。今ルゥナと花恋はまだ戦ってます! 今度は私達と一緒に生きる為の闘いの最中です。それに今度は私達ではなく瑠莉先生やヴェル先生達医師団の皆さまという強い援軍と一緒です。 私達はここで祈るくらいしかできません。 なのに郁恵がメソメソしてたらみんなに悪いです!

愛里栖:
カラ元気ですが、でもカラ元気も元気ですヴェル先生!

ヴェル:
そうかまあ前向きになれたなら良い。それでね…あのっ! 敬称の先生はやめて!

郁恵:
でしたら…ヴェルお姉さん?

愛里栖:
どちからというとヴェルお姉ちゃん?

エリシア:
ここはやっぱりヴェルお姉様ぁ♪ がご希望ですか?

ヴェル:
ひぃぃぃ! ヴェルのことは「ヴェルさん」で! 固定で!

三人:
はいっヴェルさん!

ヴェル:
ゴホンっ! えっとぉ…今回、アリエルちゃんの救援通信を発端に開始されたメイド解放組織「クロトの子」、まあ実際はメイドのマスター権限を一元化し全てのメイドを思いのまま支配しようという組織だったんだけど、その壊滅作戦と、保全機関最大のメイド救出数となった今件についてこの4人は当事者でもあるからヴェルから、4人があの洋上プラントから救出されたあとどうなったかを説明することになった。 

この件についてはエンパイアクラブ国際評議会として各国情報機関、軍組織などと共に「ある時まで」情報規制を引く事を現在協議中です。よって4人のご主人様の意識が回復してもご主人様にも当然、他の人にもここで聞いた内容はある時期までしないように。 

時期はこちらから知らせるから…それまでまってください。

でわ説明するよ…

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