くみ泡 第八話「RENDEZVOUS 」(後半)その5

 
フランソア:
Луна(ルゥナ)…ルゥナ…

紅葉:
フランソア?

律子:
紅葉研究員! 今貴女が触れてなりません。 今の状態のフランソアを貴女が触れば最悪の事態も考えられますわよ!

紅葉:
はい副所長!

律子:
明日、フランソアがわたくし達の元に戻るまではフランソアの筆頭メイドの理沙さんに全て任せ、わたくし達はわたくし達の務めを果たしましょう。

紅葉:
はい…

SE:
ガタっ! フランソアが椅子から立ち上がる音

フランソア:
「瑠莉さん」ちょっといいかな? フランソア、ルゥナに返すものがあるんだけど。

SE:
ブゥン(瑠莉の後ろのディスプレイがすべて消える)

差し出された西園寺剛史の手をぎゅっと握るヴェル

瑠莉:
「キミ」の好きにしろ。 それまで会議は止める。

SE:
カツン!カツン!(静寂に包まれた会議室の床にゆっくり歩くフランソアの靴音が大きく響く)

花恋:(小声)
ねえどういうこと?

エリシア:
あれが最強のオーバーメイド、フランソア・デルポール。
ご主人様はそこでできるだけ静かにしていて。何があっても命に代えても
エリシアが守るから。

花恋:
えっ? とにかく静かにすればいいのねわかった。
(というより静かにしとかなくちゃいけない雰囲気だし! でも殺気が満ちてるし何これ! 何が起こってるの?)

SE:
カツンっ!(花恋とエリシアの後ろで止まる)

フランソア:
ふっ…こんなところにΣελήνη(セレーネー)の継承者が…

エリシア:
Σελήνη(セレーネ)は、
Θέμις(テミス)と 使者Ἶρις(イリース)そして、審判者 Ἀστραία(アストライア)と争うつもりはない。 

フランソア:
今の所はね。
でもアストライアの害になるなら…

エリシア:
アナタの役目はここまで。さっさと自分の務めを果たすべき。それが主(あるじ)の為に生まれた者の使命。違う?

フランソア:
אלזיה=エリシア(神との契約)の言う事。 正しい。務めを果たす。

そこのオーダーメイド。 銃ではフランソアは倒せない。 この髪だけでもその頭を砕くことができる。 どうする? 

フランソア:
しかし「人間風情」でルゥナを守ろうとする意志は賞賛に値する

月美:
ああぁ…あ(恐怖に凍り付いている)

SE:
カチ♪ フランソアが手を回し自分のペンダントのフックを外す

フランソア:
Je rendrai ce pendentif et la famille Del Paul à Luna.
(このペンダントとデルポール家をルゥナに帰す。)
Même à première vue... Je suis content d'avoir rencontré ma soeur.
(一目だけでも…妹に合えてよかった。)

Dites bonjour aux autres François...
(もう一人のフランソアによろしく伝えて…)

Au revoir Luna.(さよなら、ルゥナ)

力が急に抜けてその場にずりおちる

月美:
ma soeur!(お姉ちゃん!)

その6へつづく