くみ泡 第八話「RENDEZVOUS 」(後半)その3

 
次は花恋くんと月美くんの話なんだが、その前に二人には予備知識と確認が必要なんだ。これはフランソアにもいえるがね。

瑠莉:
花恋くんに質問だ。 キミのマスターは誰だい?

花恋:
はいっ? 何言ってるんですか、マスターってご主人様のことですから、花恋は今はWhityGardenに出向中とはいえ、所属このエンパイアクラブForestのメイドなんですから、ご主人様じゃないですか?

瑠莉:
それはエンパイアクラブミリタリアのメイドとして基地司令官としてはそうだね。 ではアポリロイドのマスターとしては?

花恋:
それもご主人様に…あれ? わたし今までアポリロイドのマスター認証をしたことがない?

月美:
あっ…

瑠莉:
次は月美くんだ。月美くんはWhityGardenのメイドでご主人様は保坂良二くんだね。

月美:
はい…

瑠莉:
でわアポリロイドのマスターは? 仮登録のマスターでも良いよ。誰?

月美:
……いません…なんで? アポリロイドならマスターがいないといけないじゃ…あれ?

瑠莉:
でわフランソア…

フランソア:
フランソアの心のご主人様は櫻糀瑠莉。 しかしフランソアにはアポリロイドチップとオーダーメイドチップ、そして「何んだかわからないチップの脳領域」があって各人格に所有権が設定されている。 まずアポリロイドであるフランソア・デルポールのマスターはフランソア・フィッツジェラルド・櫻糀になっている。

もう一つのオーダーメイドチップの人格のマスターはこれもフランソア・フィッツジェラルド・櫻糀。これはマスター用のものだから当然だといえる。

しかしこの二つのマスターのフランソア・フィッツジェラルド・櫻糀には「デルポール」というセカンドファミリーネームが入ってない。新規のファミリーである櫻糀はちゃんと記録されているのに。

さらに3つ目の

「何んだかわからないチップの脳領域」にいたってはフランソア自身でさえ自分の脳なのに閲覧さえできない。

まあフランソアはとっても特殊だから仕方ないにしても自分の名前やマスター名についてはとても気持ち悪い。 

仏教では「名体不二(みょうたいふに)」というコトバがある! 「名は体を表す」という意味。 名前とはその人の実体を示す物。 デルポールという家をフランソアは調べるだけ調べてみた。 しかしフランソアであっても一切の記録を見つけることはできかった。 でもフランソア・デルポールという名は存在する。 ご主人様は知ってるんだよね? この「デルポール」という家を。

花恋:
ご主人様、今フランソアさんの話を聞いて理解したんですが、花恋も月美もオーバーメイドだとずっと思いこまされていたけど、私達は本当はオーダーメイドなんですか? 花恋が加倉家の子女なら…なんとなく理解ができます。 

瑠莉:
まあとても特殊だがオーダーメイドとも言える。

花恋:
それで「月美は本当の名前は?」

エリシア:
さすがに花恋は気付いたね…二人がここに呼ばれた理由を

月美:
ちょっと月美がオーダーメイドって…それに本当の名前って?

瑠莉:
月美くん、落ち着いて聞いてね

月美:
はぁい…

瑠莉:
君は「宮坂月美」という名前では無いんだ。

瑠莉:
君の本当の名前は…「Луна дельпорт(ルゥナ・デルポール)」と言う。

月美:
えっ日本人でさえ無いの? るぅなぁ・でるぽーる? えっとルナじゃないから英語じゃなくて 何語?

幸喜:
ロシア語の名前で、Луна=ルゥナは 月 という名。 そして дельпорт=デルポール、もしくはデルポートは送り出す者。 という意味の苗字になる。

月美:
ロシア…それにデルポールってさっきフランソアさんが言っていた…フランソア・デルポールの…デルポール?

幸喜:
そうだ…

その4へつづく