えんぱいな日々 第五百六十一話 禁断のパンセ その16

 
エミリー:
これで…こうして…よし。後は機械がやってくれる。
40時間後には傷は綺麗に治っているわ…ココロ以外はね。

夢結:
うん…

夢結:
こんなに酷い状態までになるって…痛めつけて、それをリジェネイト能力で再生したら繰り返し、繰り返し…それを愉しむとか…まろん…どれだけ辛かっただろう…

こんな事をしたヤツをコロシテやりたい…

エミリー:
執行官候補の夢結准尉さん、ご自分の発言には気を付けようね、もうやった人間は刑罰を受けてるんだから。

夢結:
わかってるわよ…。 エミリー、まろんの身体の治療をありがとう。 後はまろんのココロは夢結が絶対癒すから任せて。

夢結:
えっ?!

エミリー:
はっ? 夢結が癒す? 身体の治療をありがとう? 
独占欲が強すぎるヤツは長生きしないわよ? まろんはアタシの患者です。 
何自分一人でどうにかしようとしてるの?

夢結:
!!!(うそ私がむらぐらつかまれたうえに中吊りにされて動けない?! なんで? 声がだせない!)

エミリー:
私達、まろんの周りのみんながまろんのココロを癒すんだよね? あとアンタの疑問に答えてあげる、

一つ目、ヒトには死角というものがあって、そこから手をいれるとつかめるの。 ただアサルトメイドなら普段はセンサーでそれを認識して回避している。

エミリー:
でもココでは電子的なそういうアサルトメイドのセンサーとかは使えないの。
だから生身の人間としてそういうセンサーに頼らない近接格闘術をどれくらい習得したかで決まる。

二つ目、今、私の人差し指の下にはアンタのニューロネットワークの伝達回路のメインラインが走っていてそこに触れている。 ここにアナシは自由に命令を出せる。 声を奪うのもカラダを動かせなくすることもできる。

今なら、心臓停止でも脳死でも…もっと苦しい死に方をさせるのもアタシの自由。

理解したわね?

夢結:
ぜぇぜぇ…アンタ、本当に衛生メイドなのぉ! 信じらんないぃ!

エミリー:
あのね~夢結准尉さん? 衛生メイドとはナース(看護婦)じゃないのよ? 
戦場でアンタ達アポロイドが「コロシ合う時」に少しでも味方を生存させて戦力を維持し戦闘を勝利させるために存在する戦う為の道具。

間違えないでね。執行官候補さん。

エミリー:
アタシさこれから師匠のお師匠様のオペの助手をしなくちゃいけないの。 その間にコレに目を通しといて。 アタシが調べて整理したまろんの情報。

夢結:
データカード? また古典的なモノで、AURORAで渡せばいいじゃない?

エミリー:
これを貴女に渡したことを知られたくないの。このメディカルセンター内は外部との電子的な接続はできない代わりにハッキングされる恐れもない。 だからこうやって直接渡せば、貴女がこの内容を知っているということは知られない。 

このままだとまろんは私達の周りからいなくなる可能性があるから、どうにかしたいからアンタに手伝って欲しいの。 アタシの患者が治療途中でいなくなられるのは困るから。

まろん:
いなくなるって…どういう事?

エミリー:
オペが終わるまではアンタもメディカルセンターの中にいて、オペが終わったら話し合いましょう。

夢結:
うん…

エミリーが首の襟の中からドックタグを引き出す

エミリー:
さてアタシはアタシの戦場に向かうから。

夢結
ちょっと…ナニ…コレ‥

夢結:
…まろん…貴女って…

その17へつづく