えんぱいな日々 第五百六十一話 禁断のパンセ その17
梨音:
待遇は三倍は保障します!
向日葵:
私達を導いて下さいアリエルさん!
アリエル:
どういたしましょう♪
月美:
えっ?
アリエル:
白急グループ筆頭家の篠山家のメイド長ですか…困ってしまいます♪
郁恵:
ルゥナ!「えっ?」じゃないでしょ!メイド長のアリエルさんが引き抜かれたら郁恵達なんか一瞬で終わりよ!どうにかしないと!
愛里栖:
うちだけじゃなくて、花恋とエリシアも終わるからね! 桃恵先輩はチーズオーナーの所に嫁いでるからいいけど、桃美先輩もあるのよ!そのときの結婚費用とかの捻出とか、学費?とか今度は花恋の所で面倒見ないといけないじゃないの? アリエル姉さんがいないと無理だって!
ルゥナ:
そんな言ったって幸喜お兄ちゃんの家だよ? 篠山家だよ? 勝てるわけないでしょ…
梨音:
郁恵さんと愛里栖さんさらには美里まで黙って着いていくと決心するようなメイド長!
有能じゃないわけないじゃないですか! ここで引き抜かないで何時引き抜けるんです! 月美お姉ちゃん改め、ルゥナお姉ちゃんの本来の力がまだ未知数な今こそが最大のチャンス!
向日葵:
さすがお嬢様です! ビジネスも戦いもタイミングが勝敗を分かつですね!
郁恵:
くっ! さすが白急グループ影のブレイン、最高経営司令官といわれる梨音ちゃん!
愛里栖:
こちらもアリエル姉さんの待遇を上げて防御するしかないわよルゥナ!
月美:
まだ私、ルゥナの記憶もどってないんだけど? 待遇…待遇決める以前にいくら出せるのかとか、財産?というの?そんなのがあるのかも全然わからないし…。
アリエル:
今のルゥナさんのデルポール家のご資産ですか?
アリエル:
紅葉さんのイングラドG&C(注)が戦略的M&Aで回収づみの資産の概略の合計ですが只今の日本円のレートで約64兆4800億円。当然これはすぐに現金化できるものではなくてあくまで金融資産や権利資産などの概略合計です。しかしこれはすでにルゥナ・デルポールの名前にもう変わっている分なので時間が少々かかりますが現金化は可能です。なお移譲が済んでないものやM&Aが済んでないのは計算に入れておりません、ですからこれはご資産の全部ではございません。
月美:
えっ? 64兆円? わからない数値が出た…
郁恵:
……………えっと日本の国家予算ってどれくらいだっけ? 学園でたしか習ったよね…うっ覚えてない…
愛里栖・向日葵
‥‥(思考停止)
解説:イングラドG&C
梨音:
それって無形資産と金融資産だけで?
アリエル:
白急グループと違って土地建物の資産はございません。倉庫なども賃貸契約なので。
実物資産はお空の上にしかございませんがこれは権利資産として計上しております。
地上に送られた物流在庫として実物として存在しているニューロチップや、鉱物などはございますがほんの一部ですね。鉱物はそのまま搬送されておりますし。一時保管のみですので。
梨音:
その空の上の権利資産ってもしかしてアステロイドベルト鉱山システムの権利とアースネットの権利と、説明されたARUORAのコアチッププラント等?
アリエル:
はいそうでございます。梨音様。 デルポール家、というより今は一名しおりませんのでルゥナ様の資産は権利資産とそれが生み出す莫大な金融資産でございます。
月美:
ねえ梨音ちゃんとアリエルさんの話、全然理解できないから説明して? 郁恵と愛里栖は記憶失ってないんでしょお願い!
郁恵:
わからない、そういうのルゥナの時でも月美はアリエルさんに全部任してたよ
愛里栖:
アタシがわかるわけない、これエリシアも花恋も絶対にわからない。断言できるわ
月美:
そこで断言されるともっと困るんだけど!
アリエル:
梨音様、先ほどの篠山家メイド長の件、とても有難いお話なのですがお断りいたします。 理由はわかりますわよね? ルゥナさん達のデルポール家、そして本日はどうしても外せない急用が出来てしまい来れなくなってしまった花恋さんと私の妹のエリシアの加倉家の経営にはわたくしがどうして必要なのです。
それに対し梨音様は経営をご自分で行うことができます。
梨音:
そうですか…とても残念です。
月美:
なんかとても申し訳ないです
郁恵:
なさけない妹で本当にスイマセン。
愛里栖:
アリエル姉さんこんな妹分でごめんなさい。
アリエル:
梨音様、しかし別のメイド長ならば体制によっては検討をすることは可能でございます。
梨音:
別のメイド長?
アリエル:
それについては手術が終わってリハビリ期間の間にでもお話させて下さいませ。
まずは本日の手術を。
梨音:
そうですね。ありがとうございます。
梨音:
それで~!
そこで存在を消しているお兄ちゃん♪ 梨音、質問があるんだ!
チャンスは一回♪ 答にはちゃんと証拠も提示してねぇ♪
ジリジリと向日葵・美里・美見が包囲を狭めている
幸喜:
何でしょうか?
梨音:
ねえお兄ちゃん! ルゥナお姉ちゃんと付き合ったのはお金の為じゃないよね?
答えが証明不十分の場合は会社の経営権と当主権は自動的に梨音にわたることになるよ♪
だって物理的に篠山家梨音一人になっちゃうし♪
幸喜:
バカの事いうな! そんな事あるわけ無いだろう! オレだって月美の素性について説明を受けたのはつい最近だ! とっくに付き合っていた!
梨音:
ねえ、お兄ちゃんそれどうやって証明できるの? 証拠は?
美見:
ねえお姉ちゃん…ルゥナ先輩の為ならハイパードライブ使っていいんだっけ?
美里:
うん当然許可でてるよ。武器の使用もね♪
向日葵:
私はお嬢様から許可がでればいつでも…♪
幸喜:
ちょっと待てキミ達はやまるな! 月美! 郁恵ちゃん、愛里栖ちゃん! アリエルさん!
月美:
そういえば、私は知らなかったのに幸喜お兄ちゃんは事前にルゥナとデルポール家の事を知ってた…
アリエル:
白急グループとしては資金はともかく高価な原材料の調達コストがほぼゼロになりますので膨大な利益を得ることが今後可能になると…なるほど。
郁恵:
ねえこれってルゥナの危機だよね?人生的な意味で。
愛里栖:
うんそうだね。
フルドライブはできなくても通常のアサルトオーバーメイドよりは強いしアタシ達。
後始末はめぐ経由でForestの調査部に依頼しよう。
瑠莉:
くすすっ♪ 梨音くんの様子を見に来たんだが、楽しそうだな♪
美里:
あっご主人様だ! まだご主人様でいいんですよね♪
瑠莉:
ああ、マスター認証が正式にされるまではキミのご主人様だ♪ でも呼び方なんかは自由にしてくれ。
美見:
瑠莉先生お疲れ様で~す!
幸喜:
楽しくないですよ! 瑠莉さん! 笑ってないで助けてください!
瑠莉:
わかった。幸喜くんの代わりにわたしが証明しよう、いま梨音くんのいつも端末とアリエルのAURORAに資料を送った。
向日葵:
お嬢様どうぞ。
梨音:
国際重要軍事機密A6857FA2号、特定情報開示許可
日付は一か月前
アリエル:
わたくしも確認いたしましたわ
瑠莉:
ルゥナ・デルポールくんと加倉花恋くんの生存と素性はその書類であるように国際重要軍事機密指定であり本人・関係者へ対してもその日付でしか情報開示してはならない制限があった。
よって本人に対してでさえ情報開示は手続き上周囲の環境を整備した上で今週に行った。そしてその環境整備に幸喜くんは協力してくれたが、それでもその日付でしか開示は許されてない。
月美:
ということは、お兄ちゃんが猛烈アタックしてきたときも、その後もずっと月美はただのメイドと思っていたと…。
愛里栖:
もともと、あれだけ尻ごみしてたからこそ、郁恵と二人で作戦立てたわけだし。
郁恵:
それはそうか
梨音:
たしかにこの日付なら、とっくのとうに兄さまはルゥナお姉ちゃんとヤリまくってますね。
月美:
なんてことを言ってるの梨音ちゃん!!
梨音:
だって昨晩だってシタんでしょ兄さまと。お外でお泊りしたんだし
月美:
なんで知ってるの!
梨音:
私の女の子情報網なめないで下さい。
アリエル:
こっちの情報は濡れまくって…いや漏れまくっているとドコの部分とは申しませんが!
郁恵:
アリエルさんがアリエロな事を!
愛里栖:
アリエル姉さん、ドヤ顔で下ネタは郁恵だけにして…あと両方とも面白くも上手くも無いから。
その18へつづく