えんぱいな日々 第五百六十一話 禁断のパンセ その9

 
美里:
先輩方!お待たせしました!
ご主人様の御召替えが完了しました!

月美:
どうかな…?

愛里栖:
40点 孫にも衣装にもなってないね

郁恵:
う~ん気品がね…足りないかな

アリエル:
とても初々しくて可愛らしいですわ♪

愛里栖:
なるほどアリエルさん解りました、着せられてる感が出まくってると!

月美:
ちょっと! あなた達がもってきた服着てなんでそこまでボロクソに言われなくちゃいけないのよ!

美里:
先輩達…メイドとご主人様になっても辛辣さは変えないんですね。

月美:
みんな何飲む?

美里:
あの美里が…

月美:
美里ちゃん座ってて!

郁恵:
コーヒーのアイス!

愛里栖:
私も郁恵と同じでいいや

アリエル:
わたくしに押させて下さいませ!

月美:
でしたらアリエルさんボタン押して下さい私が運びますので! 美里ちゃんは?

美里:
でわホットの紅茶で…
(えーご主人様が給仕するの…?)

アリエル:
でわ!第一回新デルポール家メイド長会議を開催いたしますわ。梨音さんの手術前の午後の面会許可時間の都合もございます。サクッと終わらせたいと思いますのでご協力をお願いいたしますわ。

愛里栖:
やっとここまで来た…長い道のりだったわ。

郁恵:
アンタ殆ど何もしてないでしょ! 郁恵もだけど準備はぜーんぶアリエルさんがやってくれたじゃない!

月美:
アリエルさんその前に、郁恵、愛里栖、美里ちゃん、そしてアリエルさん、梨音ちゃんの手術前のお見舞いに来てくれてありがとうね。

美里:
手術前だから梨音きっと不安でいっぱいだと思うし。

月美:
あの! アリエルさん、間違えてたらゴメンなさい。聞いていると思いますが私は昔大怪我をしましてその時に記憶の一部が無くなってしまったんです。 

私、アリエルさんと妹さんのエリシアと仲が良かったのは覚えてるんですけど、その時の記憶がわたし今はなくて…
仲良かったですよね? アリエルさんの事をお姉さんのように私、思ってたのは解るんです。

アリエル:
はい。月美さん、わたくしはルゥナさんと呼んでおりましたが貴女のことを妹のエリシアと同じように妹のように大切に思っておりました。

月美:
やっぱり…保護施設で私が大けがする前は一緒に暮らしていたんですね。

美里:
(そういう記憶処理になってるんだ…)

アリエル:
月美さん。月美さんは本当はルゥナ・デルポールという名であること、デルポール家の当主であることは説明を受けたましたわよね?

月美:
はい…実感はないですが…

アリエル:
そうだと思います。 でわこう考えてみましょう。 今、あなたは長い夢を見ています。その長い夢の中で貴女はエンパイアクラブWhityGardenで宮坂月美というただの普通のメイドとして、同じメイドで親友の郁恵さん、愛里栖さんと大変かもしれないど幸せに暮らしている。

月美:
夢…

アリエル:
ルゥナ・デルポールという女の子はとても過酷な運命を背負わされた子です。彼女はご主人様としてお付の二人のメイドと一緒に幼い時からその運命に立ち向かっていました。

アリエル:
しかしある事態が起きて…彼女は夢をみる機会ができました。 しかしその夢も目覚める時期が来てしまった。 二人のメイドは悩んでいる…だってご主人様が目覚めたらご主人様は戻ってくるがそのご主人様はまた過酷な運命に立ち向かわなければならないから。

アリエル:
でも一つ、二人のお付のメイドと夢の中で過ごし続ける方法があります。 その過酷な運命をフランソア・フィツジェラルド・櫻糀。 あなたも知るあのフランソアさんに、押し付けて、貴女はただのメイドとして、お付のメイドと共に夢の中で過ごし続ける。

月美:
フランソアさんに? 押し付ける? そんな…今だってあんだけ大変なのに…

アリエル:
でもそうすれば、貴女だけではなくお付きのメイド二人もその過酷な運命にもう立ち向かわずにすみ、夢の中で幸せに暮らせます。 夢を現実にすり替えてしまう。

月美:
私の運命だけじゃなく…メイドの運命も…私が決める?

アリエル:
そう。それがマスター、主(あるじ)、ご主人様という者です。 

アリエル:
決めるのは貴女です。

夢の中にいる。 マスター、ルゥナ・デルポール。 


その10へつづく