えんぱいな日々(本編) 第五百六十四話 Bull's Eye 前半 その17
里緒奈:
着替えてきました。本殿の中ってこんな感じなんですね、初めて入りました。
里緒奈:
あの…お姉さま…それでお話ってなんでしょうか?
(めっちゃ気まずいんだけど…普段とまるっきり雰囲気が違う…まさか…)
詩織:
里緒奈、大切な…お話があります。 落ち着いて聞いてね…
里緒奈:
…………………うっ…ぐぅ!
里緒奈:
やっぱり森崎からご主人様の櫻糀に姓が変わって…これってやっぱり愛人としての関係を解消…里緒菜はもう邪魔になったので‥‥捨てられるという話‥‥
いつかこんな日が来るとは思ってたけど…ついにこの日が…うぐぅ…うわぁああん(号泣)
それで捨てるから、里緒菜は頭を丸めて尼僧になれと…うぅぅう…
詩織:
里緒奈? 何を言ってるの? まずここはお寺さんじゃなくて、神社よ? 里緒菜と詩織が着ているのは巫女服よ? 落ち着いて! ね? 里緒奈と詩織は別れたりもしないから!
というより里緒菜に捨てられる可能性があるのは詩織の方じゃない? 里緒菜の方が良い人ができたりするかもだし? その時は詩織は潔くはないけど‥最終的には身を引くつもりだし!
里緒奈:
そんな人、里緒菜にはいませんし! つくりません! まあ里穂はいますけど今はロッテとパートナーになっちゃたし…うぅ…
詩織:
そうね…幸せそうだし良いよね‥‥
里緒奈:
それは里緒菜も祝福してますから…そうじゃなくて…今は里緒菜がお姉さまに捨てられる件です!
詩織:
だから捨てないから…なんでそんな話に?
詩織:
それ以前に里緒菜が大学に進学したのを契機に櫻糀家の養子として正式になって、櫻糀家の継承順位はフランソアさん、紅葉さん、里緒菜で三番目になったよね? 苗字は桜井を名乗ると言ってきかなかったけど。
里緒奈:
そうですね…紅葉が栗田のままだから、里緒菜だけ櫻糀は悪いなって…
詩織:
でも戸籍上は詩織の正式な家族だよね里緒菜は? 私達の養子だからこちらから別れるとかよほどな事がないかぎり基本的にはできないよね? 別に里緒菜が他の人と結婚して自分から籍を抜けるなら別だけど。
里緒奈:
そういえばそうですね…
詩織:
それでなんで別れるという話になるの?
里緒奈:
だってお姉さまの雰囲気がなんかとても‥その怖くて…それに巫女じゃないと入れないからって里緒菜でも絶対に今まで本殿の中には入れてくれなかったのに、ここでお話ということだったし。
詩織:
えっとね、瑠莉さんが大将に昇進してエンパイアクラブミリタリアアジア方面軍司令官になるじゃない?
里緒奈:
言ってましたね。
詩織:
それで中央司令部がほら今度南アフリアに移動したのでけっこう最初は忙しいのよ瑠莉さん
里緒奈:
はい、それは聞きました。 なんか大変だそうで。
詩織:
だからその大変な間だけあっちに住み込みで瑠莉さんは仕事しないといけないの。
里緒奈:
それも言ってましたね。お姉さまも保全機関の極東司令部の実働部隊本部の新設のお仕事でしたっけ? それでご主人様のお仕事もお手伝いとかするとか。 それで紅葉パパのお家に住まわせてもらうですよね、紅葉パパは里緒菜にも来いとか言ってましたけど、お姉さまと里緒菜が両方となるとさすがにクラブと止っちゃいますから。 まあほらご主人様とお姉さまは新婚旅行さえ行ってないと聞いてますし、この際半年とか一年とか行ってきてください! 新婚気分で! 時々里穂に乗せてもらって会いにいきますので! 戦闘機なら直ぐ行けますし!
詩織:
それはとてもありがたいお話なんだけど問題があるのよ
詩織:
詩織、ここの巫女じゃない? こないだ秋祭りはどうにかやったけど…最近この神社忙しくなってるじゃない?
里緒奈:
秋祭り、里緒奈も毎年手伝ってますけど、今年は特に人多かったですよね、白山市が大きくなったので人手がすごかった、駐車場とかいっぱいになってたし…大変でした。にぎわうのはいいんですけど、御守りとか沢山売れたし! あと結婚式も増えましたし…あれはあれで人の門出を祝えるので嬉しいんですが一日掛かりですし。 あと受験シーズンが…最近は…すごい事になってますよね、来年はもっとすごそう…。
詩織:
これから、お正月もあるし、一月の終わりには白杜大樹祭もあるじゃない?
里緒奈:
お正月…初詣…元日…うっ毎年の地獄…それに、あの、神楽を白杜のご神木に捧げるやつですね、 毎年ありささんとお姉さまで奉納している。 最近は海外からの観光客も増えてあれはあれで大変になってきてますよね…ローカルTVの取材とかもあるし…
詩織:
そうそれ。白杜の巫女としてはその大樹祭が一番のお役目なんだけど…
詩織:
来年から里緒菜と紅葉さんに神楽を舞ってもらおうとおもって…というより白杜の巫女になってもらうと‥‥
里緒奈:
はっ? 里緒菜と紅葉が白杜の巫女?
その18へつづく