えんぱいな日々(本編) 第五百六十五話 Bull's Eye 後半 その18

 
里緒菜:
水菜の正規メイド昇格とForest配属、ついでに里緒菜のメイド長昇格に! 乾杯!

水菜:
乾杯です…

水菜:
うわ…美味しい、甘くはないけど飲みやすい? 風味が強いなんだろう? シャンパンだけど明らかにちがう。

里緒菜:
これがドンペリというやつだよ! まあお姉さまのだけど、それもプレステージ キュヴェ
! お祝いの時は飲んで良いといわれているから!

水菜:
ドン・ペリオン、それは水菜でも知ってます。お高いですよね

里緒菜:
めちゃくちゃ高い! 詩織お姉さまの蔵酒だけどね。 お姉さまも里緒奈もお酒余り普段は飲まないし、さすがにドンペリを料理酒には使えない。今日はお祝いだし開けていいでしょう、そういう時は開けてって言われているから。

水菜:
ありがとうございます、というかメイド長就任おめでとうございます。 言い忘れてました。

里緒菜:
ありがとう♪

里緒菜:
お酒も入った事だし、さっき里緒菜にもう一度会う為にメイドになったっていったけど、昼間面接の時は「メイドになったのは誰かに仕えてお役に立ちたいからです」で言ってたじゃない? どっちが本当?

水菜:
いえ嘘はいってません「誰か」というのが最初から「里緒菜お姉さま」なだけです。

里緒菜:
えっ? どういうこと?

水菜:
今から4年少し前にインド洋の基地から詩織さんが救出したメイドを沢山運んだの覚えてます?

里緒菜:
うん覚えてる、もう機密解除されているからいいけど、クロトの子の秘密基地の掃討と囚われているメイドの救出作戦の時だね、里緒菜も愛理と一緒に救助したメイドをイージス艦Forestとクリスマス島のオーストラリア軍の輸送部隊に届ける為に参加していた。

水菜:
そうそれです。

水菜:
詩織さんが地下牢獄から救出したメイドの中に拷問で傷だらけで死にかけたメイドがいたんです。

里緒菜:
うん、けっこう多かったね緊急性が高い重症なメイドはヴェルちゃんの判断で里緒菜と愛理がクリスマス島まで運んで、そこからは日本へ輸送機でまさにピストン輸送だった。

水菜:
その時に詩織さんに毛布にくるまれた小さい女の子を里緒菜お姉さまが抱えて飛行機に運んだの覚えてませんか?

里緒菜:
あの時、本当にピストン輸送でなんども往復してたから…ゴメン

水菜:
あ‥すいません水菜が飲んじゃいました

里緒菜:
えっ一本飲んだの? それはいいけど‥水菜大丈夫?

水菜:
水菜はアサルトハイパーメイドなのでドラックスタビライザーですぐにアルコールは分解できます。 先生もいるからチップは安定してるし

里緒菜:
そうなら問題ないのかな?  それで里緒菜が抱えた中に水菜がいたと?

水菜:
そうです。その時水菜は度重なる慮辱でカラダはもう汚れ切ってて精神もボロボロで死にたいとしか思って無くて、なんで助けるんだろうって思ってて、飛行機に運ばれた時になんで死なせてくれないんだって泣いて。

里緒菜:
あっ…それは覚えてる。 赤い目だけどもっと髪が白くて痩せてて小さい女の子で…

水菜:
あの時はチップが完全に壊れてしまってたので、本来はこの色が正しいらしいです。
その時に里緒菜お姉さまが言った言葉が、「貴女は自分の命をイラナイかもだけど、他の誰かは貴女の命を必要とするから生きて」って…

水菜:
でもその時はその「誰か」が思いつかなくて、「そんな人いません」って言ったら里緒菜お姉さまが「だったら里緒菜の為に生きて!」って怒って…

里緒菜:
あ…言ったね…たしかに…

水菜:
水菜はカラダが回復したあと、フランスの先生の所で引き取られることになって、そこに詩織さんが数か月に一回きてくれて…保全機関の会合があるからってそのついでだと言ってました。 日本に詩織さんの代わりに残っている里緒菜お姉様のことはいつも教えてくれて、
今はどんな料理に凝っているとか、ケーキはこれとか、ファッションでこれが今は好きで着てるとか、最新のお姉さまのブレンドのコーヒー豆もお土産で頂いてたし、あとお姉さまが今はどんな年下の子と付き合ってるとか、音楽は何を聞いてるとかアニメは何が好きかとか、ドラマは今は何が好きで男優はこれがお気に入りとか、あと里緒菜お姉様をスマホで撮った最新の写真も沢山くれたし、仕事は今は何してるとか…

里緒菜:
えっ? ちょっとお姉さまが何だって?


その19へつづく