えんぱいな日々(本編) 第五百六十四話 Bull's Eye 前半 その19

 
里緒奈:
あのさ紅葉?

紅葉:
‥‥なんですの?(ドスが効いてる)

里緒奈:
うち(Forest)ってさある意味「悪の科学秘密組織」みたいな、とっても最先端科学? な所だよね? お屋敷の内には神棚とかも無いし、まあ敷地内にはチャペルはあるけどあれはお客様の結婚式とかでもつかうし礼拝があるわけでもないし…クラブの営業用だし? 

でも何故、神社とか神器とかご神木とかの巫女とか…
非科学的にもほどがあるというか!

紅葉:
里緒奈…少しは黙っていられないですの?(ドスが効いてる)
この刀、押さえつけるのに凄まじく集中力がいりますの!
そんなに胴体を真っ二つにされたいのなら…

SE:
カタカタカタカタカタ(太刀が震えている)

里緒奈:
だって怖いんだもん! 深夜の神社! それも普段人が絶対に入られない白杜の聖域だよ? 森の奥だよ! 話でもしてないと逃げ出したくなるし!

美知留:
!! お嬢様! 刀に飲まれかかってます! 里緒菜さんのお相手は美知留がしますので! お嬢様は太刀の制御に集中を!

美知留:
美知留もけっこう怖いので…おばけとか苦手なので…お話している方が気が休まるので

里緒奈:
里緒奈もダメなんだよね幽霊とか‥‥美知留もか~そうだよね怖いよね~

紅葉:
いままで非科学的だどうとかおしゃってたどの口がいいますかぁ!

美知留:
お嬢様は集中してください!

紅葉:
ふんっ!

美知留:
これは先々代の白杜の巫女である優香さん、詩織さんのお姉さんですねから説明されたお話なんですが

里緒奈:
えっお姉さまの先代の巫女て優香さんだったんだ

美知留:
はい。もともとForestを構成する血盟の櫻糀家、栗田家、月城家、加倉家、川島家、桑原家、そして森崎家というのは、鎌倉時代にこの地方を治めてい北条家の神守(かみもり)を行う家だったそうです。

里緒奈:
そういえばドラマでやってたね。それで観光客がきてたの里緒菜も知ってる。 この辺りも舞台なんだよね♪

美知留:
日本の武士は大陸の武人と違い戦うだけはなく、芸能、文学、治水、神事なども行うのが特徴でその基本がつくられたのが鎌倉時代とのことです。 よってその後の武士の家、武家を中心とした時代になっていくのですが、それは歴史で習ったとおりです。

話はもどして、櫻糀家は神にささげる酒を奉納する家であり、武家としても参戦する。

里緒奈:
だから糀とつくんだ

美知留:
栗田は栗というのは神事にかかせないもので、それを納める家が栗田。月城は暦と月を見て神事の時を決める家。加倉(かぐら)は神楽(かぐら)という文字で舞いを継承する家で、川島はそれを船で運ぶ家。桑原は絹のもとになる蚕の桑の原をもち、神事用の衣服を作っていた家で、森崎はもともとは杜咲とかいて、神社の巫女の家系だそうです。それが元があるそうです。 ご神体はこの森そのものでこの白杜の森です。 その神の社(やしろ)が白杜神社だそうです

里緒奈:
Forestの原型は鎌倉時代ということか。お酒だして、舞い、今のダンスや祝詞は歌とか武家とか…昔から同じなんだね。

美知留:
そうですね♪

美知留:
森そのものがご神体であるですが、その森の主の霊樹がこの白杜の神域の奥にある白杜の大樹。樹齢はわからないほど古いらしく。 この森の中心にある木です

里緒奈:
Forestの本当のご主人様だね…まさに

美知留:
そうですね~ご主人様や私達はあくまでこの森を預かっているだけなので‥本当のご主人さまはその霊樹ですね。 ですので巫女が代替わりするとこのように、鎌倉時代から継承されてる神器である、白杜太刀(しらもりのたち)、白玉鏡(しらたまの鏡)、白神楽鈴(しろかぐらのすず)の三つの神器を巫女がもってご挨拶に行くのが決まり事だそうです。巫女はそのご神体である霊樹に仕えるわけですから‥‥これもメイドですかね?

里緒奈:
そうだね、まさにメイドだね! 最初はご主人様に挨拶すると!
美知留くわしいしわかりやすい!

美知留:
いや…優香さんから教えてもらっただけなので…紅葉お嬢様の栗田家も代々神事をつかさどる家系なのでそのお嬢様付きのメイドなので教えてもらいました。

美知留:
この鳥居より先はたとえ巫女の巫女供(みことも)だとしても入れませんので美知留はここでお待ちします。

紅葉:
お供ご苦労様ですわ

里緒奈:
なんか前にきたときより気のせいかな…迫力があるね…


その20へつづく