えんぱいな日々(本編) 第五百六十五話 Bull's Eye 後半 その20
詩織:(動画)
(里緒菜メイド長就任おめでとう…録画でごめんね)
里緒菜:
これ録画日付が半年前…
詩織:
この映像を里緒菜が見る時には詩織はどんな形になるか今は解らないけど里緒菜の前から一度去っている事でしょう。えっとどうしても一年間くらい水菜の為に詩織は一緒に居ない方が良いからです。
この映像を見ているということは里緒菜がメイド長になり、水菜もメイド学校を無事に卒業して里緒菜の元へ配属されて里緒菜の「専属メイド」になっているはずです。
そして里緒菜はその水菜と周囲の異常性について気づいてヴェルか悠里さんに相談してこのこの資料群を貰ったのだと思います。
まず、水菜は里緒菜だけのメイドです。 ご主人様でない里緒菜に専属メイドがいるというのはオカシイ事なのですがそれを周囲は里緒菜の能力で普通は認識できません。
しかし里緒菜にとっては瑠莉さんもしくは、もうフランソアさんにオーナーが移っていればフランソアさんがご主人様なので、里緒菜がご主人様と言っている人を水菜は「ご主人様」と認識することはできますし水菜自身も疑問にも思わないのですが、マスター権限はあくまで里緒菜にあり、ご主人様命令などは里緒菜しか水菜には出す事ができません。
そして水菜はどんな時でも「里緒菜の命令を最優先で実行します。」「マスター権限は里緒菜から普通のマスターの様に他に移管…譲ることはできません。」
水菜のとってのご主人様は生涯里緒菜一人です。
詩織:
水菜からは聞いていると思いますが、水菜は4年前に行われたクロトの子壊滅作戦の時に保護されたメイドであり、とっても特殊なメイドです。 遺伝子は詩織がもとになっているアルティメイド・ウリエルを製作する過程で作られた橋本研究所製のアドバンスドハイパーメイドの実験体の唯一の生存体です。
ただもとになった遺伝子は詩織のモノだけど大幅に変更されているのでクローンでも姉妹でもましてや子供でもありません。 これはさっき言ったウリエルという存在にも言えるるのですが。
その説明については別のファイルにアルティメイド・ウリエルの部分を読んでもらう事にします。
詩織:
今大事なのは、マスター権限を本来は得ることが無い里緒菜が水菜というメイドのマスターになっていること。それが発覚した場合は、これは重大なアポリロイド国際条約違反になり、里緒菜も水菜も双方メイドなので即時に破壊処分されます。…ようは処刑されます。
これはメイドには今は人権がないので。
つぎになぜそのような事態になったのかは水菜より聞き取りをした結果わかったのですが、水菜を救出し里緒菜と愛理が搬送するときに水菜は強く自殺を望んだそうなのですが、それを里緒菜はむりやり里緒菜のレアスキルであるブレインビルドで再構築し直し里緒菜の為に生きるように彼女の精神の根本部分を再設定したことが原因です。
詩織:
里緒菜が非常事態の救急救命行為とはいえ無意識に自分のレアスキルを使用し他人の…これはココロを自分の思うようにした罪は重いと詩織は思います。
彼女は「里緒菜の為に生きる」ことを「強制」されることでかろうじて「生きています」。
これは忘れないで下さい。
私達は彼女のカラダとニューロチップなどの再生はDrフィッツジェラルドと瑠莉ご主人様の元できるかぎりのことはしましたが、上の根本の分である里緒菜の為に生存しているという条件を取り除くことはできませんでした。
詩織:
それに彼女はまさに何ももってなくて…身体は汚されつくされ、生きる気力もなくなっていた状態だったので「里緒菜にもう一度あって、お役に立ちたい」という「唯一の希望」にすがって生きることを決めました。 身体が回復し里緒菜がいるエンパイアクラブForestのメイドになる為に「全てをかけて」努力することが、「彼女の唯一の生きる活力」になりました
自分のシスターである里緒菜が行ったことなので、詩織は時々フランスのDrフィッツジェラルドの隠れ家に行き、彼女に里緒菜のことをできるだけ伝えました。
彼女は「里緒菜の為の女の子になりたい」と強い希望があったので、それにそえるようにいろいろ教えました。 それが良いことなのか悪いことなのか、そんなのは詩織にはわからいけど、それしか彼女の生きる意味の選択肢が存在しなかったのは事実です。
詩織:
最初は詩織とDrフィッツジェラルドしか話すこともできなかったので、アリエルが作ったうさ子といううごくぬいぐるみとトモダチになって少しづつ精神を回復していき、そのあと同じようにとても特殊な理由でDrフィッツジェラルドが保護した小梅さんとイリーシャとは話せるようになりました。 いまはメイド学校へ行けるほどどうにか回復しました。
詩織:
ご主人様である里緒菜に会う為に今、水菜はとても努力をしています。でも詩織達ができるのはここまでです。 これからは里緒菜を通して、水菜の「外的世界」は再構築されていくと思います。 その再構築に大事な最初の一年間は詩織は里緒菜と水菜から離れていようと思います。
水菜には里緒菜のことをご主人様ではなく「お姉さま」とよぶようにしつけてあります。 これは里穂も里緒奈のシスターなのでおなじく「お姉さま」とつけるようにしました。
さらに里緒菜が「ご主人様」と呼ぶひとを同じように「ご主人様」と呼ぶようにしつけてあります。
詩織:
なるべく里緒菜が好きそうな年下の女の子になってると詩織は思います。 水菜もとても努力したから。
あとForestのことよろしくお願いします。 詩織がもどってくるまでは、水菜が恋人だから…よろしくね。
これで終わりです。
里緒菜:
何が簡単にだよ! 半分も意味わからないって! お姉様は里緒菜のこと過大評価しすぎです!
お姉さまは、どうせ里緒菜が心が痛むとか! 責任を感じるとか! 負担にしたくないとか! 勝手に考えて全部を里緒菜に隠れてやってて!
絶対に! 許せないぃいぃぃ!!
お姉さまのスマホ!! 切ってるぅぅうぅしぃ! そうかまだ南アフリカについてないか! 衛星携帯電話とかなら、そうだご主人様ならAURORAでよび出せるはず!
って電脳通信着信拒否にしてるしぃぃぃ!
ヴェルちゃん…!!着信拒否! 悠里さんも! 優香お姉様は‥とるわけないか…
ふぅぅうううう!(威嚇)
水菜:
あのお姉さま…お風呂が入りましたけど…どうされたんですか?
里緒菜:
ふぅぅ‥‥いやちょっと…ふぅ…落ち着いたら行くから先に入ってて
水菜:
あのメイドの服のドライクリーニングの取り扱い方が…
里緒菜:
‥‥わかった一分だけたったらいくから…
水菜:
はい…さきにランドリーコーナー行ってます
その21へつづく