えんぱいな日々(本編) 第五百六十五話 Bull's Eye 後半 その5
美知留:
ヴェルどう?
ヴェル:
みっちゃん…残念だけどヴェルでは手の施しようが無い。
美知留:
メイド長がこれで今夜の晩餐会の新執行部の発表レセプションどうすのよ! どうにかしてよ!
ヴェル:
みっちゃん無理言わない。 古今東西、恋煩いの薬は無いというでしょ、どんな名医でも治せません。言っとくけど 師匠でも瑠莉お姉ちゃんでも無理だからね! サジだよサジ投げます!
小梅:
それはたしかに先生でも無理だね。
ヴェル:
いちおう今モリタニングはしたけど、里緒菜お姉ちゃんの頭の中、もう滅茶苦茶だからドーパミンとか脳内物質出まくってるし大混乱状態。まさに恋する乙女、処置無し!
里緒菜お姉ちゃん、感受性高いしね~。 でもニューロチップとかは異常も無し機能的にはこれが「正常」。 ということでヴェルはヴェルの城のメディカルセンターに帰るから。ヴェルも今日は忙しいんだよ。
瑠美:
診察ありがとうございました。
美知留:
紅葉お嬢様のForestファイナンシャルグループとしては今夜のレセプションが内外に初の公知になります…なので皆様が会議や警護や社交会などで動けない中、美知留が今夜のレセプションは任されていて…なのに‥これじゃ…
瑠美:
美知留、落ち着いてどうにかするから…ね? 私達がついているから
美知留:
うわぁ~ん瑠美先輩~…
小梅:
なんか小梅の幼馴染の水菜のせいでご迷惑をおかけして大変な事に…スイマセン
愛理:
いや全然、水菜ちゃん?にも小梅にも悪い所はないから。一方的にコチラのせいなので。でもさ、メイドになってからずっと里緒菜を見てるけどこんな風になったの初めてみたんだけど。
亜美:
そうよね…里穂の前で悪いけどほら里緒菜って年下とけっこう色恋沙汰多いし? けっこうサラっとしてるとしてるというかドライというか…来るもの拒まず去る者追わずってかんじだし。
里穂:
お姉さまは里穂の時もそうですけど、基本受けれて入れてくれるので…良い意味でも悪い意味でも博愛主義者? 詩織さん以外は…
詩織さんは特別で里緒菜お姉さまから積極的に愛情を注ぐ存在? 他は受けて入れるって感じですからね、恋をしているのは詩織さんだけだった? といえるかもしれません。
愛理:
里穂って意外とその…悟ってるよね?
里穂:
いちおうこれでもお姉さまのシスターなので。
瑠美:
ちょっと状況を整理させて、その先ほどうちに入った水菜さんってのが里緒菜にとって詩織さんなみに運命の人とか認識しちゃて、普段詩織さんとパートナーを解消するという、別れるとか錯覚した里緒菜がパニックになるの同じで、いまその水菜と今現在はそういう関係ではないから、里緒菜の頭の中でパニックなってそれが過度に反応気絶している?
そういうこと?
里穂:
お姉さまそこまで…でもありえますね。
亜美:
あっ…これは…
愛理:
ダメだね。無理。処置なし
美知留:
無理って! メイド長がこれじゃ今晩のレセプション困るんですけど! 瑠美先輩どうにかするからっておしゃってましたよね?
瑠美:
だって…
亜美:
一目ぼれでしょ? 出会ったばかりでしょ?
愛理:
片思いだし…無理無理!
里穂:
お姉さま思い込みは激しいですからね…でも恋煩いで気絶とか…さすがに…
小梅:
小梅頭悪いで間違えてたらゴメンなさい。 里緒菜さんは水菜に一目惚れして気絶するくらいに好きになってしまった。 それで恋煩いで活動不能に。 でもForestでは今日重大なイベントがあって、これはうちのGreenWoodsとか良二さんところのクラブのWhityGardenとかだけではなく沢山のクラブに関係するイベントでどうしても里緒菜さんには復活してもらわないといけない。 あってます?
里穂:
うんあってるよ小梅ちゃん
小梅:
それで里緒菜さんって小梅の所属するGreenWoodsのメイド達だけじゃなくて、このForestのメイドさんやWhityGardenのメイド達、あと学園の先輩達にも沢山ファンがいるとても人気があるお姉さまですよね? 誰にも優しくて大切にしてくれて明るくて元気でメイドとしての技能もメイド学校の先生になるくらいにすごくて! だから里緒菜先生に教わったメイドも多くて!
里穂:
そうね…そうだよね…まあ誰にも優しいというのは、誰のモノにもならないってことなんだけど‥‥はぁ(溜息)
小梅:
あの小梅とうさ子とイリーシャ以外にトモダチが居ない水菜にとっては、あまりにも贅沢すぎるお相手だけど…これは水菜にとっては一生に一度あるか無いかのチャンスだよね。
里穂:
あの小梅ちゃん?
小梅:
色々確認したいことがあるので、水菜と里緒菜さんの情報を交換するところからはじめませんか?
その6へつづく