えんぱいな日々(本編) 第五百七十六話 The Day Takeoff 前編 その11
Drフィッツジェラルド(以後Dr):
やはりここにおりましたのね。
Dr:
皆様が飲んでいるコレはどうやって買うのですか?
イリーシャ:
先生、それお飲みになるんですか?
Dr:
皆様がお飲みなるので一度飲んでみようかと? どうしたら出てきますの?
イリーシャ:
先生でしたらAURORAでその端末の電子決済を‥いいです何を飲みたいですか
?
Dr:
イリーシャがいま飲んでるので良ろしいですわ
イリーシャ:
今、私が出しますので! はい。
Dr:
出てきましたわ、熱っ!
イリーシャ:
火傷しないで下さいね
Dr:
わかってますわよ。 暖かいですわね。 寒かったので
イリーシャ:
その恰好してれば。
Dr:
これどうやって飲みますの?
イリーシャ:
私が開けますから…
Dr:
お願いしますわ♪ そっちへ行きますわね。
イリーシャ:
はい…
Dr:
意外と美味しいですわねエガミもありませんし、甘いですし。
それにイリーシャがわたくしにご馳走して下さったわけですから
最高ですわ♪
イリーシャ:
はぁ~…多くの人から恐れられる先生が缶コーヒーを飲むとか見たら卒倒しますよ。
Dr:
イリーシャの前で飾っても仕方ありませんし。
イリーシャ:
それでなんで先生が来たんですか?
Dr:
ニナがわたくしの部屋にきまして、貴女が散歩に出ると言ったっきり帰ってこないと。 相談にのっていただけないかと懇願されまして
イリーシャ:
お姉さまだって私が独りになって考えたいから散歩に出てるって解ってるだろうに。
よりにもよって先生になんで言うかな…。
Dr:
それでまだ結論でないのですの? ヒトになってまでヒトを学び、それが存続する価値があるのかどうか? イーリスは考察してきたのでしょう。
イーリス:
見れば見るほど、接すれば接するほど。 「ヒトとは何か?」 私は解らなくなりました。
Dr:
「人間とはいったい何という怪物だろう。何という新奇なもの、何という妖怪、何という混沌、何という矛盾の主体、何という驚異であろう。
あらゆるものの審判者であり、愚かなみみず。
真理の保管者であり、不確実と誤謬との掃きだめ。宇宙の栄光であり、屑(くず)。
ブレーズ・パスカル パンセ」
Dr:
ヒトはヒトの数だけ有りようがあります。 わたくしはヒトを捨てていまここに存在し、Ίρις(イリス)はこの殻を出てヒトになってここにいます。
そしてヒトと恋に落ち愛を知りヒトになりました。 ヒトであるイリーシャが悩むことはヒトの存続ではないのではないありませんか? 愛するヒトの存続の方が全人類よりも今の貴女には大切だとわたくしは「演算」いたしますが?
イリーシャ:
私にとってニナお姉さまの方が全人類の存続よりも上?
Dr:
それを「愚か」と言うのか?「愛と呼び尊い物」と言うのか? はヒトではないわたくしにはわかりませんが…答えは出ているのはないありませんか? ニナを守る為には貴女はどうしたら一番良いのか? それだけを考えればよろしいだけではないですか?
イリーシャ:
!!
Dr:
コーヒー1杯? いえ 1缶くらいの講義にはなりましたか?
イリーシャ:
はい。 ありがとうございます先生。 私はもうヒトなんですね。 そしてこれからお姉さま所へ戻ります。 あとEHDENの方のオープンレセプションがひと段落ついたら我が主とテミスに本当の事を話し力になってもらいます。
Dr:
わかりました。 美味しいコーヒーありがとうございましたわ。 缶はあのゴミ箱に入れればよろしいので?
イリーシャ:
そうです。 でわお休みなさい先生。
Dr:
おやすみなさいませ。
その12へつづく