えんぱいな日々(本編) 第五百七十九話 more 前編 その16
優萌:
ご主人様がお呼びだと言うことで優萌まいりました。
先ほどは失態をお見せいたしまして、大変申し訳ありませんでした。
優萌:
やはり幻滅されましたよね…
すみれ:
幻滅? なんで?
先ほどフロリーにも言ったけど、最初から完璧にできる人はいないよ。その為に訓練をこの学校でしてるんでしょ? それにさっきの優萌が淹れてくれたコーヒーだって小梅のコーヒーと比べたら…
小梅:
すみれ様! それは言わないで下さい! 優萌! 給仕については今後がんばればいいだけだからね!
優萌:
はい…あのそれで御用は…?
すみれ:
えっとね、優萌はすみれのメイドさんなのにすみれってお仕事で忙しくてなかなか優萌に会えないし、部隊の仕事が特殊だから普段電脳通信もできないし…すみれの代わりになるものを傍においてもらえないかなって。
それでこのくまぬいぐるみは、お兄ちゃんがフランスから連れてきたくまですみれの机の上にいつもいてなでたりしているくまなんだけど‥‥(注)
優萌:
えっ! お兄ちゃん?、すみれ様が言うそのお兄ちゃんって西園寺グループの西園寺剛史博士ですよね?
すみれ:
そう! すみれを助けてくれた先生で凛空様の旦那様の剛史お兄ちゃんの事! それだけじゃ本当はないんだけど色々メンドクサイことがあるから……秘密保持事項とかあるから優萌が正式なエンパイアクラブのメイドになってから説明する!
優萌:
はあ‥はい。
注:イケナイ凛空ちゃん 第五十二話「EDEL LILIE」の中でお兄ちゃんからすみれがもらったいるくまのぬいぐるみ。その後の話ではすみれの私室の勉強机の上などに普段おいてあったり、撫でたりしているシーンがたびたびでている。
すみれ:
はい! これを優萌にあげる!
優萌:
でもこれって西園寺ご当主からご主人様がもらった大切なぬいぐるみですよね? それを優萌がもらうわけには…
すみれ:
ちゃんとお兄ちゃんに許可もらったし、なんせすみれの代わりだし! そんな大役を担えるのはこの子しかいないとすみれは思ったのです! だからねえもらって!
優萌:
はい…ありがとうございます! 大切にします。 一緒に暮らす事にします!
優萌:
それでご主人様、この子のお名前は何ていうですか?
すみれ:
えっ名前? えぇ…
以下(AURORAの電脳通信でVIORET(すみれのネックレスのエージェントAIとの会話)
すみれ:
(VIORET、この子の事なんて呼んでたっけ?名前!)
VIORET:
(マスターは名前はつけてはないな。マスターがぬいぐるみの中で名前をつけたのは「1」というアイン、現在のくま太殿しかいないはずだ。 そのくま太殿だって真理愛様が名前を「可哀そう」だからつけ…)
すみれ:
(わかった! なんかほら種類名とかタグになんと書いてあった?タグあったよね?)
VIORET:
(タグには Jouet en peluche moelleux série Ours = フランス語でふわふわしたぬいぐるみシリーズ クマと書いてあったな)
優萌:
ご主人様…?
すみれ:
この子はふわふわクマ、もしくはふわクマと、すみれは呼んでたけど、今後は優萌のクマになるんだから、優萌が呼び名を新しく付けてあげて
優萌:
たしかにふわふわしてますね! ふわクマ! ふわクマのふわちゃん!
優萌:
ふわクマのふわちゃん、これからよろしくね!
すみれ:
優萌のことよろしくお願い! ちゃんと優萌を支えてメイド学校卒業させすみれの所まで来させてね! 頼むよ!
すみれ:
ねえ優萌、メイド学校の仲間の「一人ひとりを」見て、同じ準メイドだけどそれぞれみんな違っている。それを認めてあげて。 そして優萌が手伝えることは手だってあげて。 そして何事も一人でせずに仲間とできるだけ一緒にやること。 お互い支え会って。それがいつかきっと優萌のチカラになるから。
優萌:
はい・・・。
すみれ:
優萌。 すみれ達の所に来る時を楽しみにしている、がんばってね。
優萌:
今日はありがとうございました。 小梅さんご主人様をお願いします。
小梅:
任して下さい! すみれ様行きましょう。
すみれ:
うん出して。
優萌:
ご主人様、優萌は必ずお傍に参ります。 それまでどうか待ってて下さいませ。
その17へつづく