えんぱいな日々(本編) 第五百八十話 Singularity その14

 
優萌:
エミリーさん格好良かったですね

すみれ:
全体的に昔のスパイ映画見たいだった

くま太:
ピガ~

優萌:
ここに下ろせと。畏まりました。どうぞ。

すみれ:
くま太、優萌はくま太のメイドじゃないんだけど、何でそのすみれより偉そうなの?

優萌:
あの、くま太さんのお世話するの優萌、大好きなので! 

すみれ:
ここまで高圧的なのは見た事ないから、これはマズイ!

くま太:
ピガー!

すみれ:
なんだって? すみれのメイドなんだからオレのメイドだ? オレのメイドはオレのメイドだ? オノレというクマは! 海に投げ捨てようか!

優萌:
あはははっ! 本当にご主人様とくま太さんって兄妹みたいですね。 うらやましいです。

すみれ:
優萌! それは違う! すみれはこのくま太のマスター! ご主人様がこのすみれ! くま太は下僕! サポートAIだから! このすみれのペンダントの中にいるVIOLETと一緒だから!

くま太:
ピガァ~♪

すみれ:
はぁああああ? すみれのことをマスターと思ったことはない? 勘違いするな? 最初から対等な関係だ?

優萌:
あはははっ!

すみれ:
ちょっとそれは聞き捨てにならない! VIORET! ちょっと言ってあげて! 優萌にもAURORAで接続して説明してあげて!

VIORET:
マスター、本名ウーラノスメインバイオコンピュータユニット、通名くま太殿は、くま太殿が言うように独立した存在であり、我のようにマスターのサポートをするエージェントAIではない。 

くま太:
そうだ。あくまですみれは親しい友であるが、すみれの下僕ではないぞ。 対等な関係だ。

優萌:
やはりそうなんですね

すみれ:
えっ? えぇ????

すみれ:
いやだってくま太はアーマーメイドウーラノスのバイオコンピュータユニットで…

くま太:
そしてお前、すみれはそのパイロット兼ナビゲーション担当であるだけだ。 よって協力する戦友であり親しい友であるが、それ以上ではない。 まあつねに繋がってはいるので、それをいうなら一心同体に近い存在ではあるな。

すみれ:
どこが一心同体なのよ! ほとんど一緒にもいないじゃない!

優萌:
だからですね、ご主人様にご奉仕したいように、くま太さんにも優萌ご奉仕したいんです!

くま太:
ふむ。それはすみれと優萌はマスターリンクしているので、それを通じて我にもそれを感じてるのだろう。

くま太:
なら問おう。優萌、すみれを手伝いたいのはご主人様だからだけか?

優萌:
ご主人様である事もありますがそれより、すみれ様には優萌を救って頂いた御恩がございますし、それ以上にすみれ様の事を大大大好きだからです。 これはすみれ様だけではなくVIORETさんにも優萌は救われました。 そしてくま太さんはすみれ様の代わりに新人メイドである私やフロリーや綾子の指導をしてくたり色々説明してくれたり、すみれ様を戦友として支えてるのが伝われるので、ご主人様と同じようにお仕えしたいです。 これはすみれ様のパートナーである真理愛様や小梅さんにも同じですが。

くま太:
そうか感謝する。御恩と奉公だな?

優萌:
はい。 すみれ様は優萌に優萌の未来を下さいました。 だから優萌はすみれ様の御恩に対しご奉仕いたします。

くま太:
そうだな。

くま太:
すみれ、たしかにお前には力があるが、すみれが救えるのはすみれの手が届く者達だけだぞ。 すみれが未来をくれてやれるのもお前が手が届く者達だけだ。そしてお前の手で守れる者もな。

すみれ:
‥‥

くま太:
そこにいるオマエのサポートエージェントAIであるVIORET、オマエのメイドであるバイオメイドの優萌、アーマーメイドウーラノス本体と言ってよい我くま太はそれぞれ、まったく違う存在だが、すみれを支えるという目的で一致している。 お前が造る未来は「誰がため」の未来だ? それを見失ってないか?

優萌:
優萌は優萌に未来をくれたご主人様のお力になる為にお傍に参りました。

VIORET:
私はマスターのサポートをする為に生まれ一緒にこれまで来た。これからもだ。

くま太:
オレはオレを動かせる戦友に力は貸すぞ。

すみれ:
みんな…

すみれ:
ありがとう。そうだねすみれはすみれが出来る事しかできない。だからその中でベストを尽くす。

優萌:
はい! ご主人様、お屋敷にもどりましょう。

すみれ:
うん。 帰ろうみんなの所へ。


その14へつづく