えんぱいな日々(本編) 第五百八十話 Singularity その3

 
小桃:
小桃達もこの子達も造られた人間だと言うんですか?

クレア:
騙しててゴメン。ロンゴミリアドに志願しなければ明かさなかったんだけど。

梨花:
バイオメイドってこんなに存在が受け入れられて無いんですか? 良二オーナーや、お嬢様達とか普通に会話の中で最初から出てたし…えぇ…

エミリー:
良二オーナーやうちのお嬢様モドキ二匹、歩く武装要塞とか言う私のご主人様や、歩く大量破壊兵器のルゥナオーナー達がオカシイの。 戦場の兵士や企業でもトップのごく一部にしかバイオメイドの存在は認知されてない。ようはうちの周りがオカシイだけ。一般人は存在自体も知らない。

梨花:
そうなんですね…。余りに普通に受け入れられているので疑問にも思ってませんでした。環境って怖いですね。

緑梨:
人造人間! カッコイイ! まあ得意技は在庫管理な緑梨だけど。

未来:
製造って量産ってことでしょ? それならなんで性能に差がこんなにあるのさ、優萌の戦闘能力とか反則だよ

穏空:
それは機械にもアタリとかハズレ?とかあるし、そういうのじゃない?
もくしはそもそも設計が違うとか

未来:
不公平だ。

美空:
気になるのそこなの? まあいいけど。

蘭子:
小桃、何取り乱しでしているの? 蘭は親に売られてハイパーオーバーアクセラレータープロセッサを違法に施術されたハイパーメイドだけど。 今は小桃も私も、このすみれ隊長に保護されたブラックハウンド?の子達だって治療を受けて治ったら同じメイドじゃない?

ヒトはどう生まれた? ではなくてどう生きるか? 違う?

他:
おぉーー。

小桃:
そ‥そうだね! 蘭の言う通り! 取り乱してスイマセンでしたクレア先生!

エミリー:
蘭‥‥

レスフィーナ:
蘭さん! でわバイオメイドは人と同じで良いと思いますが、この私、レスフィーナとここにいるスザンヌさんは違うのです。 身体はバイオメイドと同じではありますが、意識を構成する大部分はスプロール、地球と月の間と月の裏側にある人工衛星群の事ですが、その中にある電脳世界に本体があります! ここにはごく一部しかなくつねに通信をして意識情報を共有化して存在しています。

スザンヌ:
スーの本体はスプロールの中にあるアースガルズGRIDにいるんだよ! ここのスーはその物質世界で動く為のカラダなの!

レスフィーナ:
これはもうすでにヒトではないと思うのですが!

クレア:
蘭が纏めかけたのに…レスフィーナちゃんは

エミリー:
普通のヒトじゃイヤなのか?

梨花:
こないだお嬢様と読んでいた女性ファッション雑誌の特集の「女の子は普通じゃダメ」の記事が影響しているのかと…お嬢様と読みながら意気投合してましたから

エミリー:
いやあのお嬢様モドキはどこをどう抽出しても普通の部分が存在しないので別問題だと思うけど

蘭子:
そのスプロールだか電脳世界の事は知りませんが、物質世界? この世界の事ですよねではレスフィーナさんはテミスさんの侍女、まあメイドさんで、スーはルゥナ様のメイドさん。
二人ともオリュンポス大使館から名前が変わったスプロール大使館の職員さんでこれは庶務メイドですよね? それにレスフィーナさんはテミスさんのパートナーでお付き合いしてるんでしょ?

蘭達と同じようにご飯を食べ、寝て、お仕事して、恋をして。
 
これを同じ「ヒト」と言えないってオカシイと思います。

美空:
たしかにそうだね。

未来:
テミスさんとレスフィーナさんって同性のパートナーなの?

穏空:
さすが蘭、情報収集速!

レスフィーナ:
はわわぁ……っ! ひぃい…(真っ赤)

スザンヌ:
うんスーご飯大好き! 特にぱーこーラーメンが大好き!

蘭子:
万〇の排骨麺とは味は違うかもだけどフードコートの中華料理店のメニューにあったから食べにいってみる? 言われて蘭も食べたくなった。

スザンズ:
うん! 蘭連れてってくれるの!?

美空:
おう今日のお昼に中華みんなで行ってみる?

小桃:
賛成!

スザンヌ:
やったぁ! みんなと中華!

クレア:
蘭の圧倒的な勝利。

梨花:
おいおいエミリーさんよ、お宅の所の新人メイド、すごいな。

エミリー:
おいそれアタシのマネか?

蘭子:
だから~そんな顔して心配しないで!
BF000001 バートン社製F型試作バイオメイド壱号「フロリー」。
そして貴女のパートナーの橋本研究所製試作型アドバンスドアーマードバイオメイド、シリアルナンバー11252号の橋本優萌もこの仲間なら普通に受け入れてくれるって

フロリー:
なんで私の型番を知ってるの? あとシリアルナンバー11252号?それって優萌の? 優萌本人も知らないのに…。 あとアドバンスドアーマードバイオメイドってなに?

エミリー:
!!

エミリー:
蘭、アタシの指の下には蘭のニューロネットワークの伝達回路のメインラインが走っていてそこに触れている。それだけメイドについて色々詳しいなら意味は解るな?

蘭:
はいぃぃぃ! ヤバ…まずったぁ…! この蘭が完全に取られた! 

フロリー:
エミリーお姉ちゃん!

小桃:
エミリーさんの動きが見えなかった…えっ? エミリーさんてアサルト系のメイドではなくて衛生メイドだよね?

エミリー:
クレア姉さん、蘭を借ります。

クレア:
ちゃんと返してね。 終了処分とかしないように。

エミリー:
努力はします。まあ蘭次第ですがね。 さあ蘭いくよ。

蘭:
じゃあ、ちょっと蘭、エミリーさんと出かけてきます…帰れるかはワカラナイけど。


梨花:
なんかこの光景にデジャブーを感じる

フロリー:
ねえクレアお姉ちゃん! 蘭はどうなるの! 終了処分って何の事!

クレア:
あのさレスフィーナちゃんと梨花で、この研究所でほら科学館とかジムとかプールとかあと大使館とか見学をお願いできるかな? クレアちょっと出かけてくるから…

レスフィーナ:
丸投げですか…AURORAの電脳通信開けといてくださいね。

フロリー:
真理愛様、えっすみれ様が? すぐに前のタワーの下? クルマですか? 

クレア:
フロリー、すぐにすみれちゃん達の所へ行ってあげてこっちはどうにかするし、蘭のことはちゃんと後から連絡するから

レスフィーナ:
ほら行って。

梨花:
みんな、ちょっとバタついたけど、蘭のことはクレア先生に任して、フロリーもご主人様の用事で外れる事になった。まあ新人とはいえご主人様優先だしね。

それでみんなは次はアポリロイドの構造やそれに使われる科学技術が解りやすく展示されている研究所内の科学館へ移動するよ。

その4へつづく