えんぱいな日々(本編) 第五百八十一話 UNION 前編 その11

 
梨花:
食事が終わったらいきなり拘束されてこんな所に連行して梨花が何をしたの! 先輩にこんな事をして許されると思ってるわけ?

優萌:
梨花先輩、御足労頂き有難うございます。梨花先輩には不同意性交罪の嫌疑がかかっております。先度、私達の親友であるスーことスザンヌと梨花先輩が正式にお付き合いしていること。同棲を昨日より始めたという報告を受けました。 私達エンパイクラブメイドはマスターであるご主人さまから許可が出ている場合はメイドとして恋愛と性行為を行う自由が保全機関より認められておりますが、これは当然所属し在留する国家法令に準ずるという基準があります。
この国では同意が無い性行為は犯罪です。 梨花先輩とスーとの登録年齢は同世代であり年齢差も5歳未満です。よって性交同意年齢での処罰対象にはなっておりませんので問題が無いのですが…

綾子:
スーは私達に「同棲した恋人がベッドで寝る以外にすることって何?」と聞いてきまして…
スーは一般的な性的知識が今だ足りてないことが判明しております。

梨花:
!? スーがそんな事をトモダチに…あのですね…あぁ…

綾子:
たった今取り急ぎ私達の保健担当であるフロリーを中心に親友達が別所にてスーに「性的交渉を伴うお付き合いとはどういうものか?」の知識をエンパイアクラブのメイドが学ぶ時に使う教材や教科書などを使って教えております。

しかし今までは双方の同意を形成する性知識がスー側に無かったわけです。それなのに梨花先輩はスーとお付き合いをしたばかりか同棲まで始めたと。 これは明確な犯罪行為でありメイドを保護する保全機関としても見過ごせない案件です。よって発見次第、そのようなメイドの意思を蔑ろにした存在を速やかに「処分」し管理しているクラブの摘発を行う義務が保全機関にはあります。

梨花:
!! ちょっと…

フローラ:
これからの梨花先輩の発言は証拠として保全機関へ提出させていただきますので録画と録音を行わせていただきます。偽証などをした場合は所属クラブの不利になりますよ。

梨花:
べ…弁護士を呼んで下さい! 後こういう場合はたしか執務官以上か監察官以上の同席が必要なはずです!

エミリー:
こないだ、アタシは昇任して監察官補から正式な観察官に夢結は執行官に昇任したんだ。監察官は執務官とは異なり現場での容疑者がメイドの場合の弁護役にもなる。

梨花:
!! だったら弁護をお願いします!

エミリー:
弁護の余地があるのか? アタシの正式な観察官としての最初の仕事が親友の終了処分と夢結執務官への梨音オーナーの拘束指示になるとは…悲しいよ。

梨花:
えぇえ! 弁護の余地なし?! それで即処刑処分?! お嬢様の拘束?! それってクラブの解体の危機?

梨花:
みんなちょっと待って! 梨花とスーはみんなが考えてるような不純な行為はしていないから! スーに聞いてみて! あくまで今までは非センシィブの範疇での健全なお付き合いしかしてないから!

エミリー:
おい、見苦しいぞ、同棲を始めたヤツが健全なお付き合いなわけないだろう? 散り際くらいは潔くしろ。親友の情けだ。 なるべく苦しまずに殺してやる。

梨花:
おいエミリー! アンタどっちの味方なの!

エミリー:
アタシはまろんと蘭の害にならない限り、アタシのご主人様と社会機構、法の味方だ。

梨花:
そうだと思ったよ!

綾子:
優萌、お昼休みとはいえ後処理を考えると余り時間がないわよ。

優萌:
少しだけ待って。

SE:
パタパタパタっ!

フロリー:
みんな! 待ってぇ!

スザンヌ:
はうぅ~…(真っ赤)

蘭子:
フロリー?

小桃:
スー?

梨花:
スー!

フロリー:
ほらスー!

スザンヌ:
みんなぁ! あのね! 梨花とはチューはしたけど、チューはほっぺと、おでこにしかして貰ったこと無いの。それで、フロリーやフレデリカ達から今教えてもらった…唇を合わせてするキスとか、舌いれる‥はうぅ‥‥すっごいキスとか、さらにそれ以上の…はうぅ‥な事はやってない。 みんなすごい事してるんだね…でもすっごい興味あるから…これからは…梨花としてみたい…恥ずかしいけど…すっごい興味ある。考えるだけでカラダが熱くなって…ほへ~って頭の中が…

エリミー:
マジ(本当)?

フロリー:
はい! 本当です。スーの証言についてはスキャナデバイスを使ってモニタニング、虚実でないことを確認しています。よって現在のところ「事案」には至ってないと証言を得ました。

優萌:
フローラ先輩、録画録音できましたね。

フローラ:
はい! 悠里本部長と永遠室長にすぐに送信します。

優萌:
お願いします。

優萌:
これで問題無いね。

綾子:
優萌わざと大事に…

優萌:
だってスーのことだから同棲したって言いまくってるだろうし、学園内に広まるでしょ?そうなったら他のクラブから指摘される可能性もあるし。ちゃんと保全機関で双方の合意のもとという確認をとっているとしとかないとね。

梨花:
おいスー、言いふらしてるのか?

スー:
言いふらしてるというか‥嬉しくて‥つい…えへっ♪

エミリー:
さすがすみれ隊長のお弟子さんだな

蘭子:
さすが我らが隊長。

小桃:
まあ、エミリー先輩やフローラ先輩、夢結先輩まで動員できたし、関係クラブ内への公知もこれって…

フローラ:
当然! 週刊Forestで午後中には必ず緊急更新で公知せていただきます!

「氷雪の無垢なる花スザンヌ、ついに白き魔獣の手により無惨に汚される!」

とかですかね♪

梨花:
ヤメテクダサイ…オネガイシマス…

小桃:
梨花先輩の梨音店長を補佐しクラブを取りまとめる頼れる真面目なメイドのイメージが完全終了処分?

蘭子:
だね。

梨花:
エミリー…私をすぐに楽にしてくれ…親友として白髪の死神に頼む。

エミリー:
最近アタシ死神業務は休業中なんだ…スマンナ…


その12へつづく