えんぱいな日々(本編) 第五百八十一話 UNION 前編 その17

真理愛:
無断にメイドの誓いを受けた上に義姉妹の契りの申し入れを受け入れた? 切腹が許されるわけ無いでしょ!今すぐ手打ちよ!

すみれ:
某の命など取るに足らず。 だがフレデリカの人徳と志し比類なき者であり当クラブと当家に貴重なると判断しました。 某亡き後、姉の地位を小梅、優萌に譲り渡し、その妹とすることが某の考える事でありまする。

フレデリカ:
ご…ご主人様…フレデリカを小梅さんと優萌の妹として仕えさせる為に自分を犠牲に! なんという人! なんていうご主人様! こ…これがエンパイアクラブのオーナー…いや軍団を率いる団長…ご当主の器…。

フレデリカ、ご当主の死に様をきっちり目に刻み込み、本日命を絶ちまする!

すみれ:
某のメイド、妹としてのフレデリカは本日、我と共に死す事となるが、小梅、優萌の妹としてのフレデリカは生きてくれ。それが某の遺志(いし)とする

フレデリカ:
ご当主…お姉さま…ご主人様‥‥

真理愛:
えっ? どういう事? マリ…ドンビキなんだけど…

くま太:
ピがぁ‥‥

真理愛:
何、くま太感動してるの? すみれの当主としての志を無駄にするな、さっさと首を落としてやれって…いや‥えっ~…

優萌:
どういう事なの?

フロリー:
だからメイドを家臣とすると、すみれ様は花路家の当主だから、その当主が家臣をとって、真理愛様にわざと手打ちにることで、すみれ様をつぐのは小梅さんと優萌だから、その家臣にフレデリカがなる。 自分の命を懸けてもフレデリカは家臣して貴重だからそうするのが一番だと‥‥? まあすみれさんもフレデリカも三国志みたいな歴史小説とか戦国時代劇とか好きだからね

真理愛:
フロリーわかった。 すみれ達がアッチの世界に行ちゃってるのね…あの桃園の誓いとか草鞋を懐で温めますとか、そういう世界ね。思春期特有の例の病気か…一部ずっとの人も世の中にはいるけど

優萌:
優萌達まさにその多感な時期の真っただ中ですからね。

祥子:
真理愛メイド長、その桃園の誓いうんぬんは解りませんが、メイドの誓いはメイドにとっては神聖でかつ取返しがつかないものなので…すみれご主人様がそれを受けたわけですから。フレデリカちゃんはもう専属メイドと同義であると思います。 双方中途半端な気持ちではないので…今回はこの私の顔を立てて許していただけませんか?

真理愛:
はい‥わかりました。祥子メイド秘書のご判断に従います。

祥子:
ご主人様、そうなりましたので、フレデリカちゃんはご主人様の専属メイドということで。
今後は彼女をご自由になさってくれてかまいません。 認証式とかはどうされますか? テスト開けですかね?

すみれ:
それがですね…困ったことになっておりまして…

真理愛:
困ったこと?

すみれ:
それがですね…認証式もしてないのに…

フレデリカ:
なぜか仮マスター登録だったのがすみれ様の本マスター登録になっているんです。
たぶんフレデリカがメイドの誓いをした直後からだと思うのですが…

すみれ:
すみれも「あれ?」と何か感じて‥チップの契約情報を確認してみたら、すみれの方もそうなっておりました。 すぐにヴェルさんに連絡しまして、そしたら白山市の人工生命科学研究所ですぐに診察するからと、ヴェルさんもそっちへ向かってるので、すみれとフレデリカも行かないと…

真理愛:
なんでそれを先に言わないの! 

すみれ・フレデリカ:
申し訳ございません!

真理愛:
祥子メイド秘書クルマをエントランスに! フロリーは衛生バックだけ取りに行ってエントランスへ、ヴェルさんの助手が必要になるかもしれないし、移動中二人の体調に急変があるかもしれない。 優萌はさすがにすみれの服がこれじゃマズイから何でも良いから着替えさせるから手伝って。 その後4人の制服と明日の学園の用意をして後から研究所へ車で追ってきて。

祥子:
畏まりました。

フロリー・優萌:
了解しました!


その18へつづく