えんぱいな日々(本編) 第五百八十一話 UNION 前編 その20

 

すみれ:
ここは…

フレデリカ:
眩しいですご主人さま…

フレデリカ:
なんですこれ? さっきまでクルマの中いたのに!

すみれ:
たぶん電脳空間。サイバースペース。感覚そうだし。

フレデリカ:
学園で習った電脳空間、コンピュータネットワークの中ってやつでつですか?

すみれ:
そうだけど‥‥ここはアヴァロンの本拠地の櫻糀家のお屋敷

フレデリカ:
AVRONってたしか今のエンパイアクラブ評議会と対立している組織ですよね? でも櫻糀家ってEmpireClubForestの前オーナーの瑠莉閣下の家ですよね? 今のForestがその櫻糀家のお屋敷じゃないんですか?

すみれ:
すみれが今言ったのはその瑠莉閣下のお父様の櫻糀哲也ご主人様のお屋敷のこと。

哲也:
おいすみれ、いくらなんでも気づいてもくれないというのは…酷くないか?

すみれ:
ご…ご主人様…

フレデリア:
ご主人様? えっ?

哲也:
すみれはまだ、オレの事をご主人様と呼んでくれるのか。 またずいぶんと綺麗になったもんだ。 そしてお初にお目にかかる、ミス・フレデリカ。 合わないな、呼び方フレデリカちゃんで良いかな?

フレデリカ:
はぁいっ! その呼び方でかまいません。

哲也:
そこのすみれの元元ご主人さまをやっていた櫻糀哲也だ。少しの間だがお付き合い願うぞ。

フレデリカ:
ご主人様の元元ご主人様の櫻糀様ですね。よろしくお願いします! すみれ様の専属メイドになりましたフレデリカ・マロールと申しますって‥でも名前お知りになってましたね。 

哲也:
まあな、すみれの一応元元ご主人様だしな。 おいすみれ、悪いが話ずらいのでこっちへきて座れ。

すみれ:
なんですみれを強制的に呼びだしたんですか?それ以前にご主人様にはネットダイブ能力は無いはず。 それにフレデリカまで。

哲也:
再会した同時に質問3つ同時の質問攻めか。すみれは変わってないな。 

1つ目の質問の回答は後でする。 

2つ目は一時的に優樹子のIDを使わせもらってプロジェクト・フォルトゥーナのメインプラットフォームであるAdvanced-Virtual-Aporepressor-Local-Organization-Network = AVALON = アヴァロン をつかわせてもらって、私の意識が霧散する前に、強引にネットダイブ機能を再現して、そのアヴァロン内の電脳ロビーに強制的にすみれ達をアクセスさせている。

3つ目は、すみれだけを呼びつけるつもりが、お前マスターリンクのリアルタイム同調接続が接続しっぱなしになっていた。 よって接続されているすみれのメイドのフレデリカちゃんも付随して召喚されてしまった。

これでいいか?

すみれ:
すみれとリアルタイムシーケンスコネクトしっぱなし?

哲也:
すみれの脳の情報処理を同期してるんだからフレデリカちゃんはもって二時間で情報処理が脳の負荷の限界を突破して脳死だな

フレデリカ:
ご主人様! フレデリカ死ぬんですか?

哲也:
すみれの代わりにオレが答えよう。 フレデリカちゃん心配するな。 この会談が終わりしだい、そのリンクはオレの方で切断するし、あと現在リアルスペース。物理世界でフレデリカちゃんが向かっているクルマの行先の人工生命科学研究所にはヴェルや優樹子、フランソア、ああ、この場合は一世の方なや剛史くんと律子くん、紅葉くんまで待機してるみたいだから処置を受ければ後遺症なども残らないだろう。 

フレデリカ:
はい…大丈夫なんですね…

哲也:
それで、すみれ、フレデリカちゃん、まあ横に座れ

すみれ:
はい。

フレデリカ:
わたしはメイドなんで、ここで立ってたいです!

哲也:
そうだな。すみれの専属メイドだもんな。良いメイドをもったなすみれオーナー。

すみれ:
なんで無理してまで電脳空間にアクセスして強引に「今更」すみれを呼びだしたんですか?
すみれはご主人様にとってイラナイ子なんでしょ? だから置いていった、捨てたんでしょ?「必要になったから、呼んだまでだ」とか某アニメにみたいに言うつもりですか?

哲也:
必要になったから、呼んだまでだ。 乗るなら早くしろ、でなければ帰れ!
こんな感じでいいか?

すみれ:
今すぐ実家に帰らせていただきます!

哲也:
スマン待ってくれ! お前容赦ないな。

フレデリカ:
あははっ♪ スイマセン!(笑)くすすっ♪(笑)

哲也:
ちゃんと説明するから。 まず、すみれはオレに捨てられた、置いてかれたとそう考えてるのか? それは誤解だ。 
桃子も鈴音もVIORETもウーラノスも酷いな全部オレのせいしやがって。

すみれ:
誤解だというなら弁明をお願いします。 ご主人様。

哲也:
当時を振り返ってみよう。 花恋くんとエリシアが乗るセレーネの試作バスターランチャーだけを破壊する簡単な任務のはずが、なぜかバスターランチャーのみを回収破壊すればよいだけなのにすみれはいつものように、戦ってみたいとかいう理由だけで花恋くんとエリシアと何故か接近戦をしてしまう。オレは頭を抱えてしまった。

すみれ:
あっ…


注:以下の話を参照

哲也:
だいたいあそこへ行ったのは、花恋達がクロトの子が製作している広域命令装置に融合されそうだから花恋達を脱出させる為だと散々説明したよな? その花恋君達の脱出を邪魔してどうする? ただバスターランチャーをあの時のフランソア君に渡して暴走したら周囲巻き込んで大爆発させる危険性が高いから、そんなことされたらオレたちも無事じゃないし花恋君達も無事ですまない。 だからそれだけを破壊しろとオレは命令したよな? それも三度念を押したよな? 

すみれ:
はいそうですねご主人様の言う通りです!

哲也:
そういう時の為にVIORETやウーラノス、今は通名はくま太というのか? がすみれが暴走しないように意見をする、その意見を聞けと言い聞かせていた。

すみれ:
はいそうですねご主人様の言う通りでございます‥はい‥

哲也:
フレデリカちゃん、覚えておけ、すみれはこういうヤツだからな。苦労するぞ

フレデリカ:
はい、覚えておきます♪ くすすっ♪

哲也:
普通は止めるはずの、ウーラノスは止めず。VIORETは沈黙。 そしてルゥナくんのXシステムを近くで浴びるにことになる。 まあウーラノスだと全身がリフレクターシールドで常に覆われているし、ダメージを受ける時も回避をかけ、ジョイント部に当てたとことで本体はまったくの無傷であったんだが。 これはセレーネも同じなんだがな。損傷はない。

すみれ:
無傷? リアクターの暴走は?

哲也:
あれか? ウーラノスがそういっただけだ。 大体偏向電離リフレクターリクアターが暴走するか? 今のお前ならわかるだろう?

それと脱出装置が働かないって戦闘機みたいに銃撃受けて機械的に故障? もしくは整備不良? オレが整備したのに? そもそも壊れる構造してるか? 違うか? そもそもウーラノス本体は無傷だ。
よって脱出不能なのは「ウーラノスが脱出させるのを拒絶してる以外は無い」こうなると、VTOLで移動中のオレにはどうにもならない。パイロットであるすみれを人質に取られてるわけだからな。

すみれ:
えっ…

哲也:
あとウーラノスは格闘も可能な機体で、セレーネは格闘武器さえ搭載してない。 なぜ互角になる? ブレードに展開するリフレクターブレードがあれば遠距離支援戦闘に特化したセレーネのリフレクトアーマーなど紙のように切り裂けるはずだぞ?

すみれ:
あっ…そうですね…なぜウーラノスもVIORETも‥それ以前にパワーが全然出なくて…

哲也:
そういうことだ。 すみれは沈黙したVIORETと共謀したウーラノスによって互角に調整されたんだ。引き分けになるようにな。 

すみれ:
‥‥‥‥

哲也:
あの花恋君とルゥナ君を脱出させる作戦、立案したのは桃子と鈴音だ。ようは花恋くんやルゥナ君、アリエルやエリシア、ルゥナのお付のメイドの郁恵や愛里栖。 それと一緒にすみれも瑠莉達の所へ行かせる為にオレは一杯食わされてお前を強制的に手放させられたのさ。 

でも結果的にそれは正しいとオレも判断したから手放しただけだ。それでもそれを捨てたというなら‥仕方が無いけどな。

しかしそれは桃子や鈴音、VIORET、そしてウーラノスが造ったすみれの未来で、アヴァロンにいたままでは得られてない日々。 

それは、それらの人達から与えてもらったすみれの宝物だとオレは思うぞ。 大事にしろよ。


えんぱいな日々(本編) 第五百八十ニ話 UNION 中編へつづく