えんぱいな日々(本編) 第五百八十ニ話 UNION 中編 その4

 
フレデリカ:
真理愛様と凛空様にご主人様を慰めてって言われたけどまさか夜伽する気分では無いだろうしフレデリカでは普通にお世話するしか…

SE:
シャーーー(シャワーの音)

コンコン!(ノック)

フレデリカ:
あのぉ~! ご主人様、バスタオルとバスローブをお持ちしましたので、置いときますので…
ご主人様ぁ~?

SE:
シャーーー(シャワーの音)

フレデリカ:
ご主人様ぁ~?

コンコン!(ノック)

‥‥‥‥

フレデリカ:
あれ返答がない…やっぱりご主人様だってあれだけの大変な事があったあと、あれだけ気をはって…無理して‥まさか…ご主人様が極端な選択を?

ご主人様スイマセン、失礼します! フレデリカ入ります!

SE:
ガシャン!

シャーーー(シャワーの音)

フレデリカ:
ご主人様? 

すみれ:
‥‥‥‥

フレデリカ:
どうされたんですか…ではないですよね…でも…

すみれ:
フレデリカ…あのね…すみれ…涙が出ないの‥ご主人様が死んだのに…サイバースペースでは泣けたのに…リアルスペースに戻って…アヴァロンがすみれの支配下になって…すみれ達と戦わないですむようになって…ほっとしてるの…

フレデリカ:
………

すみれ:
ご主人様が死んでくれた御かげで、鈴音センパイと戦わなくて良いって…ほっとしている‥‥いや喜んでいるすみれがいるの…

フレデリカ:
もしかして、フレデリカにビーチでのお話で言ってた大切な先輩って…

すみれ:
そうアヴァロン機動部隊の隊長ですみれの師匠の鈴音センパイのこと。

フレデリカ:
アヴァロンの機動部隊。 アチラ側のロンゴミリアドみたいなものですか?

すみれ:
まさにそう。その隊長がすみれの大切な先輩。 すみれが小さい時から一緒に育ったの。血は繋がって無いけど大好きなお姉ちゃんで、小さい時から何時もついて回って遊んでもらって、いつもすみれが真似して…なんでも教えてくれて…でもセンパイからはお姉ちゃんじゃなくて「センパイ」と呼べって言われて…すみれは鈴音センパイの後の隊長になるんだから、私は先輩ですみれは後輩だと…すみれもそう思ってて頑張って頑張って‥修行してた。 

すみれ:
でも本当に色々な事があって今じゃ敵の同じような部隊の隊長同士。 まさに宿敵になってた。

フレデリカ:
……そんなことって‥‥

すみれ:
すみれは…大好きな鈴音センパイと戦いたくなかった。 でも…お互いの失いたくない日々があるから…センパイと命を懸けて戦う決心をしていた。 覚悟していた。 そしてその鈴音センパイと戦う為に、このすみれのクラブと部隊はAVARONと決戦する為に用意したもの。この三か月カルブルヌスをロンゴリアドを全力で整備して準備していた後もうちょっとで準備が終わる予定だった。 そうしたら後は戦うだけになる。

フレデリカ:
……

すみれ:
そしたら土壇場でご主人様が…すみれと鈴音センパイが戦わなくて済むようにしてくれた。 自分の命で。 たぶんご主人様は何でも知ってる頭が良い人だから。すみれが出会った中で一番頭が良くて何でも知ってて何でも解る人。 だから全部わかってたと思う。 全部わかってて…すみれとセンパイが戦わなくすむように…

正直ほっとして…喜んでいる。 ご主人様のメイドなのに…そのご主人様が死んで喜ぶなんて…酷いメイドだよね‥‥最低だよね…

フレデリカ:
そうでしょうか…?

すみれ:
えっ? フレデリカ…?

フレデリカ:
そこまでご主人様がご自分のメイドであるすみれ様とその鈴音センパイにして下さったなら悲しいわけないじゃないですか? それは感謝して当然です。 喜ばしいことです。 ご自分のご主人様がご自分の命まで使ってご自分のメイド達の為にしたんですよ? そのメイドにとっては本望ではないでしょうか?

すみれ:
あっ……………

すみれ:
うわぁああああんん! ご主人様ぁぁあああ!

フレデリカ:
それは泣いて良い涙です。ご主人様への嬉しい、感謝の涙ですから。

すみれ:
うわぁああああんん! ああああんん!!

フレデリカ:
存分に泣いてて良いですけど、カラダがこんなに冷えてしまって…う~んフレデリカも服脱いで裸で抱きついて人肌で温めながら、シャワーも使って温めますね。


その5へつづく