えんぱいな日々(本編) 第五百八十四話 DreiKreuz 前編 その3
ヴェル:
あれ? 意識が霧散してない…物理の身体を感じる…もしかして…ヴェル生きてる?
何で死んでないの?
桃恵:
それはヴェルが死んだら沢山の人が悲しむからよ。
美知留:
うぅ…(号泣を押し殺している)
ヴェル:
みんな…あれ…
彩香:
指一本でも動かしてみろ…足の裏をくすぐるくらいじゃ済まないぞ?
ヴェル:
彩香‥‥
桃恵:
彩香さんマジで怒ってるから従った方がいいよ
アシュリー:
今回は何を仕出かすかワカランぞ?
美知留:
ひぃぐぅ(泣きながら笑っている)
舞悠:
ヴェル返事は?
ヴェル:
はぁいっ!
桃子:
ちなみに激怒している人がここにも二人ほどいるから。10分間指一本動かさない方が身のの為よ? 身体にダメージを与えはしないけど、死ぬより辛い事になるから。色々手はあるから…
ヴェル:
剛史お兄ちゃんに…なんで桃子お姉ちゃんがいるの?
桃子:
冥府の邪神と混沌の邪神に懇願されてね、この煉獄にヴェルちゃんと律子さんを救う為に知識の木の実(林檎)の楽園の島(注)から召喚されたのさ。
ヴェル:
やっぱり律子お姉ちゃんも倒れたの?
桃子:
それはAVALONのリンクの一時喪失が発生したわけだから、異常テロメアを含んだ細胞が内臓内に大量に発生。 勝手にAVALONのネットを使って機能を代替えしてるとかしたらマスター変更されるときにこうなる事がヴェルもドクターも予想できただろうに、なぜ私や剛史に何も言わなかったの?
桃子:
ごめんなさい…それで律子お姉ちゃんは?
注:知識の木の実(林檎)の楽園の島
アヴァロンの事。 アヴァロンのアヴァとは林檎の意味であり、その島。林檎はアダムとイブが食べた=知識の実と揶揄される。 それがある幸福の島、楽園の島がアーサー王伝説で傷ついたアーサー王が向かったと言われる「アヴァロン」である。旧約聖書にある楽園のエデンの東にある楽園と関係があると思われる。
律子:
ヴェルさんどこか違和感とかありますか?
ヴェル:
律子お姉ちゃん! 大丈夫です? なんか身体が逆に軽いというか、それと頭がすごいすっきりしてて…なんかそういうのはあるけど…容量が大きくなったというか演算が早い? それで律子お姉ちゃんはえっと…
桃子:
私を誰だと思ってるわけ? プロセルピナヴァージョンの素体。 本来はこれが優樹子先生の素体の最終系だったのだけど、色々あって私が完成させてたの。だから律子さんは素体を運んできて、ここで転送処理をして衛星プロセルピナと今回は完全融合処理をするだけったから。 ヴェルちゃんほど大変ではなかった。
葵:
だから心配しないでヴェルさん
フランソア:
律子もこれでフランソアなみのバケモノだよ!
律子:
バケモノとはなんですの! フランソアと一緒にしないで下さいませ!
フランソア:
ふっ! これで律子も紅葉が提唱した「フランソア基準」が適応される存在になった!
ヴェル:
あははっ100mくらいから落下しないと心配されない存在! 良かった!良かったよ!
律子:
良く無いですわよ!
葵:
あの、おい律子、フランソア、ヴェルさん、ここ病院だからな? 騒ぐな。
律子:
ここは研究所です! わたくしが副所長でここにいるヴェルさんが所長ですからかまいませんのよ!
ヴェル:
そうだね…良かった、まだみんなを助けられる…
美知留:
あの桃子お姉さんの説明全然わからなったんだけど、食事とかは普通の健康な人と同じで今後は普通にとれるんだって。 なんでも沢山食べても大丈夫だからって。 だから元気になったら美知留の料理を食べるから!
舞悠:
衛星クロノスだか? それと融合したとか? どういうことだ?
アシュリー:
説明されてもピンとこないんだが、ボディーを新しくしたとか?
桃恵:
なんかチカラとかも桃恵なみだけど、食事は普通の量で充分?みたいな?
ヴェル:
えっ…まさか…
桃子:
スプロールにある光量子サーバー衛星4つとアルテミスの格子とヘスティアーやカイルスまで使い放題で設計できたし、バイオメイド素体物質設計はタルタロスのデータバンクを使えた。製造設備は超高速増殖培養ポット使えるし、ハイパージオメトロニックニューロシンセサイザーで調整できるわけでしょ? 新型のサテライトチップもあったし、さらにDrフィッツジェラルドの光量子神経素子、剛史のハイパードラックスタビライザーカッコ試作品も搭載できたし、バートン社のスキャナ制御ネットワークの解析データもあったし、優樹子先生が開発していた新開発のバイオメイド内臓型超小型ジオメトロニックシンセンサーもあったし、当然組み込んだでしょ。今までの最高傑作になったと素体研究者としては自負してるわ!
ヴェル:
あぁ…まさか…新しくバイオメイドをベースにアルティメイド化…完全に新造人間…そして何その性能…完全に超弩級のヤバさ‥それに意識転送された…まあヴェルの場合は脳の大部分の処理はスプロールの衛星ヴェルニカ中にあるのとはいえ…えぇ…ヴェルのカラダを何だと…あぁぁ…
フランソア:
律子と同じでバケモノだね!
律子:
だからわたくしはバケモノではありませんから!
ヴェル:
ひぃぃぎぃ! なんで剛史お兄ちゃん止めないの!
お兄ちゃん:
………………
ヴェル:
まさか‥ヴェルを桃子お姉ちゃんの趣味の産物にする引き換えに…お兄ちゃんのクラブに桃子お姉ちゃんを妾として入れて…凛空お姉ちゃんにはヴェルを救う為には仕方ないとか取引した?
桃子:
凛空さん達とは話し合いは済んだので…ふっ!
ヴェル:
あぁぁぁぁ‥‥このお兄ちゃんの鬼畜外道!
彩香:
ヴェル。 何か忘れてないか? みんなに言うことはないか?
ヴェル:
皆様、ご心配をおかけしました。 そして桃子お姉ちゃんはじめてたぶん沢山の人が…ヴェルを救う為にがんばってくれたんだとおもう。 本当にヴェルを救ってくれてありがとうございました。 このイノチ…大切にします。
桃恵:
はい! すみれちゃんの所のプライベートビーチ、もうちょっとで海開きだから、一緒に行こう!
美知留:
毎年の海水浴!
舞悠:
陽菜乃も毎年楽しみにしてるから!
ヴェル:
うん、はやく調子もどさないとね。
フランソア:
すみれの所に紅葉と行って来る。 ヴェルの事は頼む
葵:
うんお願いする
律子:
本当はわたくしも行きたいのですが、わたくしも目覚めたばかりでどうなるかわからないですし。
フランソア:
律子はまずはカラダになれることを優先する。衛星プロセルピナと融合したことで極度に負荷が脳にかかってるはず。葵、律子に今日はついててあげて
葵:
今日はグループは信久兄さんにまかしてあるから律子についてられる。
その4 へつづく