えんぱいな日々(本編) 第五百八十四話 DreiKreuz 前編 その5
フランソア:
ここはすぐに軍を送って奪還すべき!
紅葉:
貴女馬鹿ですか?
フランソア:
みんなの前だよ! 馬鹿とは何? 婚約者になったからって紅葉酷すぎじゃない?
紅葉:
エジプト政府の要請無しに軍の介入を行い要塞奪還作戦などしたらそれは主権侵害です! 20世紀のスエズ戦争をまたするおつもりですか?
フランソア:
あれはフランスとエジプト政府が運営してるのに英国が株式をゴチャゴチャにしたところにスエズ動乱でエジブト政府が無理やり国有化したからフランスが介入したんでしょ!もともとの原因は英国でしょ!
紅葉:
その動乱が現在はアフリカ同盟軍になっただけですわ! それにエジプト政府はまだ健在です! 現地政府の承諾もなしに、ミリタリアはおろか欧米連合軍も介入できません。
フランソア:
そんな事いってたら欧州が干上がるよ? あとスエズ運河を通るエンパイアクラブオーナー達の会社はどうするわけ? そういう時の為のミリタリアでしょ?
紅葉:
だからそれが馬鹿だと言ってるのです! アフリカ同盟軍は欧州軍やエンパイアクラブミリタリア軍事介入を宣伝材料に他大陸の介入を…
エステル:
はぁ~ですわ。
凛空:
あの! フランソアちゃんも、紅葉ちゃんも冷静に! 喧嘩しても仕方ないからね
エステル:
今回は紅葉さんの意見が正しいですわ。 こちらはジブラルタル要塞と喜望峰ルートを押さえております。問題は軌道運河ともいえるヴィクトリア湖のアップリンク施設ですが、ここにはグリーンサーバント以下エンパイアクラブミリタリアの主力軍が展開しております。 さすがにここを攻め落とすほどアフリカ同盟軍のバイオメイド部隊も兵力はありません。
フランソア:
その兵力が増えたらどうするの? 兵力の増強はいまでも進んでるでしょ?
すみれ:
バイオメイドの供給源をこちらで掌握するしか無いとわけですね。 タルタロスの攻略はどうしても必要。 アフリカ同盟軍のバイオメイド兵力がヴィクトリア湖を攻撃できるまで増強される最短の期間は?
エステル:
四カ月ですわね。
真理愛:
すみれの予想と変わりはないと。
エステル:
こちらの同盟軍を再編しセントローレンス島(注)にあるタルタロスを確保するに残された時間がそれです。
すみれ:
ロンゴミリアド艦隊の移動時間を考えると三か月ですか
エステル:
そうですわね。準備できますか?
すみれ:
最善を尽くします。
エステル:
なら、スエズにはエンパイアクラブは不介入、その代替え航路である喜望峰ルートとヴィクトリア湖の安全確保を最優先にする方向で評議会にかけますわ。
注:セントローレンス島
セントローレンス島 は、ベーリング海北部、アラスカ本土の西、ベーリング海峡の南に位置する島。
島の長さはおよそ140㎞
エステル:
すみれさん、アヴァロンの件やヴェルさんと律子さんの件でずっと脳に負荷がかかりっぱなしです一週間はゆっくりして下さい。今貴女に倒れられるとすべてが崩壊します。 これは評議会議長命令です
さてわたくしは、フランソアと紅葉さんの婚約について尋問がありますので、失礼させていただきます。 さあ行きますわよ皆様。
その件の詳しいことはわたくしも愛読している週刊Forestの緊急更新でお伝えいたしますので。 萌香良いですわね
萌香:
はい、すでに白急篠山ビル内のエステルのオフィス内に悠里編集長がビデオ取材用部屋を用意し待機しております!
フランソア:
あの…さっき瑠莉さんに言ったばっかりだよ? なんで知ってるの?
エステル:
それはその瑠莉閣下と詩織さんがショックを起こし大変だったのですわ。 よって栗田閣下から連絡がわたくしに。 それに先ほどご自分でも言ってましたわよね。 さあいきますわよ? フランソア、紅葉さん。
紅葉:
‥‥‥‥瑠莉さん…詩織さん…
真理愛:
紅葉お嬢様ってスクープにならないですよねそおいえば…初めて?
すみれ:
前は瑠莉閣下を紅葉さんが「押し倒した」という記事があった!
すみれバックナンバーを全部読んでるから!
紅葉:
あの時以来ですか…あの時も瑠莉さんからパパに情報が漏洩して
真理愛:
記事を楽しみしております‥頑張って下さい。
以下のお話の時が記事になったというお話。
その6 へつづく