えんぱいあな日々(本編) 第五百九十話 Paradise Lost 後編 その5


すみれ:
おはよう優萌

ふわ:
マスター!

優萌:
あれ…ご主人様? ふわちゃん、あと、くま太さん、あとるーお姉さんの所のケルブさんまで。おはようございます。

あっ優萌、手術して…終ったんですか? 
もしかしてご主人様達ついててくれて…

すみれ:
まだあっちでは手術が始まったばかりだと…まあいいや…

くま太:
すみれをご主人様と呼んだな…失敗か?

ケルブ:
そんなはずは…

優萌:
あの星美は?

すみれ:
大丈夫だよ。 他人の事先に気にするのが優萌だよね‥‥

良二:
優萌ちゃん、気分はどうだい? 違和感は?

優萌:
良かった…良二オーナーお疲れ様です。優萌は別に違和感や気分は悪くないです。

良二:
チェックの為に、自分の名前は? 答えて、あとマスター名と所属クラブ名

優萌:
はい! 私の名前は‥‥優萌…優萌・メアリー・メーティス・バートン…。スプラメイドチップ、マスター名。メアリー・バートン。所属クラブ、Empire Club Caliburnus えっ……何これ…

ケルブ:
融合は成功だな。

すみれ:
ですね‥‥。

優萌:
ご主人様! これって!

すみれ:
優萌、落ち着いて聞いてね。プロジェクト・フォルトゥーナ。 シリアルナンバー、BF000001。フロリー・フォルトゥーナ・バートン。 貴女が全てをそそぎこんだバイオメイド。 

優萌:
…あっ‥…!

すみれ:
後は記憶をたどって自分で思い出して。

優萌:
あぁぁ‥‥あぁあ‥

注:メーテス
メーティス(Μῆτις)は、ギリシア神話に登場する女神。
名は「知恵」の意味。「叡智」や「思慮」及び「助言」を意味する知性の神である。
英語では「ミーティス=Metis 」


3000人いるというオーケアノスとテーテュースの娘オーケアニデスの1人であり、ティーターン神族に数えられる。ゼウスの最初の妻であり、アテーナーの母である。

またプラトーンの『饗宴』によれば、メーティスはポロスの母、つまりエロースの祖母であるともされる。

ティーターン神族の末弟クロノスは母ガイアの命を受けて父であるウーラノスを倒し、神々の王となった。しかし、その際にウーラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻レアーはそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子ゼウスを産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたために助かった。

ゼウスはクレータ島で育てられ、成人すると母レアーと知恵の女神メーティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにした。ゼウスはメーティスに命じ、メーティスは自分の作った嘔吐薬をネクタール(神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功した。クロノスはまずゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いてポセイドーン、ハーデース、ヘーラー、デーメーテール、ヘスティアーと、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。ただし、一説によればメーティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。

そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと力を合わせ、クロノスを始めとするティーターンとの戦いティーターノマキアーに勝利した。この戦いにはティーターン神族の長兄であるメーティスの父オーケアノスは参加しなかったという。

その後、神々の王となったゼウスはメーティスを妻として迎え入れた。一説によればメーティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。このことを知ったガイアとウーラノスは、メーティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言した。そのため、ゼウスは祖父ウーラノスや父クロノスのように子に権力を奪われることを恐れ、用心のために父クロノスのようにメーティスを飲み込んだ。このことでメーティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰されるようになった。

しかし時はすでに遅く、メーティスはすでに懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、リビアのトリートーニス湖のほとりでプロメーテウスやヘーパイストス、ヘルメースなどに相談し、ヘーパイストスに斧で頭を叩き割るように命じた。すると、中からすでに成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出した。これがアテーナーであった。

この後、メーティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったという。

すみれ:
向日葵さん、優萌をわたしの部屋に。後からすぐにフロリーを行かせるから。 ふわ、よろしく

ふわ:
はいすみれ様、マスター歩けますか?

向日葵:
優萌さん、支えますので…ふわさんもついてきて

優萌:
ご主人様…「わたし」二人に大変な事を…

すみれ:
それは気にしないで。でも少しだけ‥‥わたしを独りにさせて

優萌:
‥‥‥‥‥‥はい‥‥。

良二:
向日葵ちゃん、すこし待ってあげて

向日葵:
はいもちろんです。

すみれ:
こういう時…煙草吸えたら良いのに‥‥。瑠莉先生と優樹子ママさんの気持ちわかる…。
そして一番はフロリーの基本構想を渡したのは‥‥櫻糀哲也元ご主人様。
フロリーのデバイス、ファティマが哲也元主人様のものなわけだよ。

すみれ:
ARIELの機能を組み込んだDrバートンのバIオメイド.それがフロリー…
ウーラノスのナビゲーションバイオメイドコンピュータ。

やってられない‥‥

すみれ:
est affectus (心を高ぶらすも)
et defectus(失望させるも)
semper in angaria.(常に女神の意のまま)

quod per sortem(女神は運命によって)
sternit fortem,(強き者をも打ち倒すのだから)
mecum omnes plangite!(私と共に、君達も皆、嘆き悲しめ!)

そして

Fatum Fabricatur‥‥(運命は造られるもの)‥‥

すみれ:
Sic ego fata condam!ならばわたしは運命を創り出そう!

その6 へつづく