えんぱいあな日々(本編) 第五百九十一話 This game 前編 その1

 
ラケシス:
ラケシス・デギマです…

アトロポス:
アトロポス・モルタと申します。お世話になります。

クロートー:
ひぎぃっ…あの…梨音様の専属メイドをしております、クロートー・ノーナと申します。
妹達が研修と、エンパイアクラブのメイドとしての在籍、よろしくお願い申し上げます。

里緒奈:
‥‥お姉様、少し見ないだにこんなに可愛くなって…はぁ‥はあ…

クロートー:
私はクロートーと申しまして‥‥

紅葉:
やはり反応が激しいですわね。しかし他人とも認識出来ないとは…
事前に拘束しておいて正解でしたわ。 コレがメイド長なので同席させないわけにもいきませんので‥‥

ラケシス:
メイド長…不安だ…とっても不安…

梨音・水菜:
…………

フランソア:
ラケシス、アトロポス、そしてお姉さんのクロートー。このクラブのご主人様をしてますフランソア・フィッツジェラルド二世です。 開示された情報や筆頭大使デメテルさんや、うちのヴェルや凛空さん所の桃子お姉さんから話を聞きました。地上世界ではうちのメイドとして責任をもってお預かりします。

それで研修はうちなんだけど、研修が終わったらすみれのクラブ内に今用意しているスプロール連合地上世界準備本部でお仕事になるそうです。

紅葉:
まあここは地上での実家と思ってくださってかいません。くつろいでくださいませ。
しかしラケシスさんは、このForestで再会したときのフランソアのままですわ、というか本人が二人に感じます。 クロートーさんも詩織さんに見えます。

フランソア:
フランソアも鏡をみてるように感じる。ドッペルゲンガー?っていうの?

ヴェル:
うん、紅葉お姉ちゃんもフランソアも、目で見てるよりチップIDの固体識別に無意識で頼ってる所があるから。 クロートーやラケシスのチップIDと電脳意識構造体のメインGRIDのIDは詩織さんとフラナソアのIDと同じだから。
まあ末尾だけの違いしかない。ラケシスを例に例えると「フランソアの別の可能性」と言えるかもしれない。まあ当然、電脳意識構造体のメインGRIDの上に構築された「個性」は全く別のものなので二人は別人ではある。

紅葉:
ようは電脳世界の中で育ったフランソアという解釈でよろしいのですか? それがこの度、物質のカラダも稼働したと。

ヴェル:
その解釈が近いかもね。

紅葉:
そうなのですね。

水菜:
一昨日に大使館に呼ばれて水菜が行った時はクロートもうちの所属で研修と言われた時はどうしようと思ったけど。 梨音助かった。

梨音:
別にこれを予想して梨音のメイドにしたんじゃないだけどね。結果的にクロートーのことは良かった

水菜:
でもよく向日葵に梨音殺されなかったね。

梨音:
向日葵の前にテミスに処刑されかけて、向日葵の時はお姉ちゃん達が全員で助命嘆願を事前に用意してて助かった。 でも正直、死を三度は覚悟した。

水菜:
大変だったんだね…。

紅葉:
メイド長の顔見せも済んだ事ですし里穂副メイド長、お願します。

里穂:
お姉さま地下室行きますよ

里緒奈:
なぜ?

里穂:
メイド長がこんな醜態を‥‥水菜手伝って

水菜:
はいっ里穂副メイド長!
梨音、水菜はお姉さまの事手伝ってくる。

梨音:
うん…がんばって…

クロートー:
地下室? 地下室で何をするんですか…?

アトロポス:
お姉ちゃんこの揚げ菓子美味しいですね

ラケシス:
ドーナッツって言うらしい。美味しい!

イリーシャ:
二人は揚げ菓子が特に好きだったな、リンナさんの揚げ菓子とか喜んで食べるし

アトロポス:
私よりラケシスお姉ちゃんが好きなので♪

ラケシス:
うん大好物!

紅葉:
クロトお姉様、梨音さん、フランソアいやラケシスはこの紅葉がForestグループ総裁とこの紅葉のパートナーとして相応しい立派な淑女に育てる事を御誓いしますわ。安心して下さいませ。 もう昔の紅葉ではありません、二度目は失敗いたしませんわ!

ラケシス:
総裁? パートナー?

クロートー:
クロトお姉さま?

梨音:
えっ里緒菜お姉ちゃんだけじゃなくて紅葉お姉ちゃんまでオカシクなった?

ヴェル:
そう考えるか…うーん…

フランソア:
ちょっと紅葉何言い出してるの?

紅葉:
ふっ! この失敗作。 ベースが同じなら今のこの可愛くない性格はその後の経験から生成されたもの。そうであるなら、いまからわたくしの理想の性格になるように経験を積ましていけば。 フランソアは源氏物語の紫の上を知りませんか? 容姿はわたくしとしては理想として保証されております。あとは性格です。理想の相手とは世話をして育て上げるものなのですわ!

フランソア:
?!

ヴェル:
うわ~変態がいるよ。 まあ昔から人の欲望は変わらないってことだよね。

アトロポス:
あの大丈夫なんですか?

イリーシャ:
アトロポスは私が護るから。先ほどの水菜以外に総務部のひな子と瑠美奈にも保護を依頼する

アトロポス:
ラケシスお姉ちゃんは?

イリーシャ:
クロトは梨音が保護し、アトロポスは私達が保護したとして…ラケシスはヴェルさんがどうにかするでしょ…私達だって全員を救えるわけじゃないだよ…わかって

アトロポス:
あぁ‥‥

紅葉:
まずはラケシスはわたくし付の専属メイドとして…

フランソア:
ダメ! 絶対手をつける気!

ヴェル:
あの、ラケシスは同盟の他のクラブにとか…

フランソア・紅葉:
ダメ(ですわ)!

フランソア:
どこも危険!すぐに手だされる!

紅葉:
うちのクラブで保護するベキですわ。

ヴェル:
…否定できない。


その2 へつづく