第五百九十五話 Shining SOUL その14
パリー:
どうぞ…
すみれ:
結構なお点前(てまえ)で…
ミーナ:
何ですかそれ…まだお口つけてませんよね?
すみれ:
何を言っているですかミーナくん。茶を淹れる動作一つ一つが洗練されている。それにもましてもしかしたら、このお茶が主への最後の給仕になるかもしれない…そんな思いからせめて最高のお茶をお淹れしようという想いが動作から滲み出ている。メイドにとって侍従にとって給仕とは心。想い。願い。それだけでもう十分すみれはココロを味合わせて頂き…感嘆したわけです。 パリー良いお茶の香りです。 貴女のミーナ。アールマティー殿への想いを頂く事にするわ。
パリー:
どうぞウーラノス様。
ミーナ:
メイドにとって侍従にとって給仕とは心。 さすがご主人様。勉強になります…。 パリーさん頂きます。
ミーナ:
あっ! 美味しい! 私、地上世界では英国にいたからレモンティーとか飲んだこと無かったけど、このレモンに似た果実のスライス、とても美味しいかも? 気にいった!
パリー:
マティー様ありがとうございます‥‥
すみれ:
そ…そんな‥‥貴女から大事な主を奪えないよ…(嗚咽) そんな所詮私は添え物だって‥そんな事ないから…
パリー:
ウーラノス様、私にとって一番大事なのは我が主(あるじ)の幸せなのです…いま主は、ウラーノス様を心より慕っているように見えます。 私の事はお気になさらず…
すみれ:
そんな事、すみれはできない‥
ミーナ:
あのっ! ご主人様、何を泣いているんですが! ドンビキなんですけど。 二人ともお茶だけで何会話しているんですか!
これが本当のメイド、侍従同士ができるという給仕で全て行うという会話‥‥
すみれ:
パリーの言う通り、すみれはミーナの主人になれても、侍女になれない。
これからのこの世界でのミーナに必要なのは、補佐のティシュタルであり、聖戦士と神官で構成される聖騎士団でありそして、忠実な侍従。
パリー:
はいウーラノス様。別にパリーで無くて良いのです。マティー様に専属の侍従を付けるようご進言下さい。 お願いいたします‥‥。
注:一般的な侍女とメイドの違い
本来は「侍女は高貴な人(王妃や貴族の姫など)の世話する女性の事で、メイドは、一般家庭に住み、掃除や料理を作るという仕事する女性」の違いがあるが、うちの作品内ではメイドの中に「侍従」も入っている。
この場合は「XXX付メイド」「XXX付侍従」などと表記しています。
この時のミーナの肩書は「エンパイアクラブ・カリブルヌス・花路すみれオーナー付き専属侍従メイド」です。
すみれ:
わかった。
パリーに命じる今すぐ我、天空大邪神ウーラノスの侍女となれ! 望みはできる限りかなえるぞ! ただし断るなら今すぐこのペルセポリスを天の炎で焼きつくし破壊してもよし! 先ほどの会談でヴィシュヌとインドラは油断しておる。今ならこのディーヴァローカ全土を征服、住民を隷属! 我の贄にしても良いぞ! 己なら我の言葉が実現可能だと知っておるだろう?
パリー:
あのぉ…インドラ様が率いるディーヴァローカ連合軍を壊滅寸前まで追い込んだ我がリラー聖戦士団長とボルール兵長が本陣で観たというヴィシュヌ様がどうにか防いだ天から星が撃ち込まれるという‥‥。
ミーナ:
ご主人様、ちょっと待ってください! それ脅迫ですよね? なにミーナのメイドに手だそうとしてるんですか! 自分のメイドからNTRする気ですか?! あげませんよ!
すみれ:
衛星アールマティーと融合して。 パリーが、ちゃんと電脳女神アールマティーの専属メイドだって認識しているじゃない。 意識できたなら登録情報みてごらん
ミーナ:
あっ…私のメイド? それにこれティシュタル、ボルール兵長、バハーラク、ドルリ、マフター、ラーダン、リラー団長、ギティ神官長…他にも沢山…これ神官見習いとか準聖戦士の方かな? 私の臣下?
ミーナ:
ご主人様! でもご主人様との誓いが!
すみれ:
すみれが受けた誓いは「永劫に尽きることなく、 我、ミーナ・エルレアは御身のみの忠実な僕なり。 我が女王陛下。 私は二君には仕えません。」であってミーナのメイド、というより臣下を持たないって誓いではない。もし「アナタだけの女になります」だったら断っているし。 そう言わなかったから聖約を受け入れた。
王は別の王にだって剣を捧げるんだよ? アーサー王の円卓の騎士には、王様もいるし。
ミーナ:
あ‥でも…ご主人さまだけのメイドという…
すみれ:
地上で、これからもお弁当作ってくれたりすみれの補佐はしてくれるんでしょ?
ミーナ:
もちろんいたしますが…
すみれ:
そうだな、もし心苦しいというなら…よければミーナさんに協力してもらいたい事が…
ミーナ:
協力ですか?
すみれ:
お待たせしましたギティさん、パリーヤー、どうぞ…
パリー:
お姉ちゃんいつオリュンポスの天王宮から帰ったの?
パリーヤー:
今さっきご主人さまと、お供の神官兼侍女として来たの。
それで…マティー様、御無沙汰しております。 と言いますか覚えておられないと思いますがウーラノス神殿の神官でこのパリーの双子の姉のパリーヤーと申します。
ミーナ:
パリーの双子の姉ね。改めてよろしく。 オリュンポス、天王宮、ウーラノス神殿、神官兼侍女…ほ~う。 ご・主・人・さ・ま、詳しく事情を聴きましょうか?
すみれ:
アノデスネこれには深いワケが…
ミーナ:
ちゃんと話して下さいね? でないといきなりフロリー呼びますよ?
すみれ:
はい…
その15 へ続く