第五百九十五話 Shining SOUL 前編 その7

 
バハーラク:
今度こそどうですか?

ミーナ:
変わり無いかな…

ティシュタル・ボルール:
ポンコツ治療師

バハーラク:
だから!私は治療師でこういうのは魔具賢者の領分だと…

ティシュタル:
そんな悠長な事を言っている場合では無くなったの。ガロー・デマーンGRIDが全権管理電脳神であるアズタ・マフラがいなかったからこそ。ディーヴァ・ローカGRID連合の下位GRIDとして組み込まれて小国とはいえ侵略されなかったけど。メインソースからリソースを引ける新たな至高電脳神「アフラ・アールマティー」が顕現したとなれば、ディーヴァローカ側だって黙って無いわよ? 
その時に矢面に立つのはそのアフラ・アールマティーのマティー様よ。
まさかそれが「星界の事は記憶ございません」。とか言えないでしょ。

ミーナ:
あの秘書がやりました。 あとは秘書に聞いて下さい…私は記憶にございませんので…

ドルリ:
秘書って補佐電脳神のティシュタル様に丸投げ…

ティシュタル:
イヤですよ、ディーヴァ・ローカGRID連合の至高電脳神にして調和神のヴィシュヌ様は本当に恐ろしい方なんですから。あのディーヴァGRIDの軍神インドラ様でさえヴィシュヌ様の前では飼い犬同然ですから。まあ軍用犬?

マフター:
一度遠くから拝見した事しかありませんが、神々しい御方ですよね。

ミーナ:
至高電脳神ヴィシュヌ様‥ってディーヴァ・ローカGRIDの地上全権大使のヴィシュヌ様?

ティシュタル:
地上の事は他の電脳神に任せられないから自分が直接やるとか元老会で揉めたと聞きてますね。

ミーナ:
ならスプロールGRID連合大使館にいるヴィシュヌ様だ。

ティシュタル:
あのマティー様? ヴィシュヌ様を地上でご存じなんですか?

ミーナ:
はい。私は地上ではご主人様付きの専属メイドなのでヴィシュヌ様にもとても良くして頂いてます。お仕事でお会いすることも多いですし、仕事以外でもうちのお屋敷に遊びにも時々お土産のケーキもって来て下さるのでその時は私のコーヒーを美味しいって喜んで飲んでくれます。

とっても優しい穏やかな方ですよ。お綺麗ですし! うちのご主人様を「トモダチ」って抱きしめてましたし。前に梨音先輩とご主人様と喧嘩したのに引き分けですごく強くて、お互い認めあって仲直りして、なんか少年漫画みたいな説明を、私にとてもにこやかに楽しく話して下さいました。

マフター:
先ほどヴィシュヌ様と喧嘩したというお話は…まさか…レーテー(忘却)の野でのオリュンポスGRID連合軍とディーヴァ・ローカGRID軍が衝突した中で、ディーヴァローカ側が壊滅する一歩手前で停戦を申し込みに行ったヴィシュヌ様をとオリュンポスの戦電脳女神アテーナー様と天王電脳女神ウーラノス様が迎えうち、打ち取られる寸前になったという…

ミーナ:
そうです。ヴィシュヌ様から説明うけたお話はまさにそういうお話でした。  梨音先輩のこの世界の名前がアテーナ様、私の地上のご主人様の花路すみれ様のこの世界での名前がウーラノス様だと説明を受けてます。

あと同じすみれ様の専属メイド仲間だと優萌がメーティス、フロリーがフォルトゥーナ、優奈くんがタルタロスで、星美がアナンケー。ほかに同期には幸様がディオーネ、カイルスはカイルス…トモダチに…(以下略)

他:
…真っ青

ミーナ:
ドン引きするよね…だからあえて説明しなかったんだけど‥‥やっぱりそういう反応だよね。 呆然自失な所悪いだけど。 二つ教えて。 一つは…これふわふわ浮いて動きづらいから、この背中と脚の羽みたいの取る方法は?

バハーラク:
デバイスに「パージ」を命じれば。部分的に解除できます。

ミーナ:
ありがとう…それでもう一つは…

ミーナ:
地形は同じだけど…明らかにこの洞窟に入った時と風景違うよね? こんな草とか木とかなくてもっと荒れた感じの土地だったよね? あの石の柱とか無かったし?

ラーダン:
前はこのGRIDはこんな感じの場所だったんです。 豊かで平和な場所。前アフラのアフラ・マズダー様が亡くなると状況は一変しました。土地はやせ、野生の動物の気性が荒くなり、家畜を襲うようになり。人は意識が闇に汚染されると妖魔に変身するような場所に。

バハーラク:
維持できなくなったガローデマーンGRIDはディーヴァローカの傘下に入ることで最低限維持できるだけのリソースを供給してもらう事になりました。属国として生きながらえることに決めたのです。スプンタ・マンユの各神殿が地域ごとに管理する体制を行う自治は認められています。とっていっても今は貴女様のスプンタ・アールマティー神殿以外は無くなってしまいましたが。リソースが乏しいので子供もあまり生まれませんし。AVALONGRIDが繋がったので希望者は他のGRIDへ移住を決めて移った人も多いので。

ティシュタル:
しかしマティー様がこのガロー・デマーンGRIDの至高電脳神として顕現しスプロールコアからのリソースが回復したから以前のこのGRIDの本来の姿に戻ったのです。

今は農作地も肥沃に戻り、家畜を脅かす獣もいなくなり。電脳市民に意識不具合が起き妖魔化するなどこれで起きません。

ミーナ:
ふむふむ、大体解った。 零細企業のガロー・デマーン社の前の社長が無くなって後つぎももなくて従業員は困ったあげく、大手企業のディーヴァ・ローカグループの下請けになることでどうにか生き残った。 会社運営の自由はあるけど、倒産寸前、会社も従業員も生活困窮だった。 しかし! 大手取引先と資金を大量にもった社長がガローデマーン社に登場!企業価値が爆上がりした! 魅了的に変貌したガローデマーン社はもしかしたら今のグループ企業からの強制買収が行われ、従業員の自由が失われたり、今の従業員が解雇されたりする企業戦争に巻き込まれるかもしれない!
ここは零細企業の社長になぜかなったこの私がどうにかこの危機を乗り越え、会社の発展!従業員の生活の向上!そして買収などが行われない企業としての強さをもった企業に導くしかないってことですね!

ティシュタル:
マティー社長…そうですね。商いでいえばそうなりますね。

ミーナ:
ティシュタル副社長! まずは何事もこの世はコネだ! コネは借りれるときに借りた方が良いと私のご主人も良く言っている! 

ティシュタル:
はぁ~まあ村へ今回の報告の後、ペルセポリスに向かうのですね。

ミーナ:
そう! でわフラワシユニット! パージ!

ミーナ:
カモン! フラちゃん!

フラちゃん:
くわぁあああ!

ミーナ:
従業員の諸君! 私の大事なトモダチや先輩! そしてご主人様にどうしたらいいかすぐに相談しに行こう! 零細企業の一つくらいどうにかしてくれるよ!
まずは村へゴブリン討伐の報告によってからだけどね。


ティシュタル:
それに乗るんですか?

ミーナ:
背中に乗れると解説ドキュメントに書かれていたから大丈夫です‥多分!歩くよりは速いと思います!それに楽だし! でも本神殿があるペルセポリスまでの道案内はよろしくお願いします! ナビとかついてないのかな…

ドルリ:
あれに乗るの?

マフター:
みたいですね…

ティシュタル:
記憶失う前もそうだったけど、うちの主神様って大人しそうな見た目なのに意外と大胆不敵というか計画ややることが大雑把というか。 

バハーラク:
そうですね。

ティシュタル:
まあ従者だから従うしかないけどね… そうですよね? ボルール兵長

ボルール:
さあみんな行こうか…アレで飛ぶのか…


その8 へ続く