第五百九十六話 UniVerse 前編 その1
フランソア:
この世のモノとは思えない美味しさ!
エステル:
このオレも美味しいですわ!
ルスラン:
ママのコーヒーもケーキも愛情の入り方が違うんだな。毎日ありがとうママ。
白髪のDrフィッツジェラルド(以後Dr):
どうしたしまして! 愛するアナタと娘達の為ですもの!
ルゥナ:
あの多感な時期の娘達の前で見せつけるのは勘弁してほしいんですが‥‥
ルスラン:
それで話が変わるがルゥナ。さっきまでフランソアとエステルちゃんと遊んでたそうだが、パパがチェックする約束の学園の宿題はどうした?
ルゥナ:
あの・・・もうちょっとたったらやろうかと思って・・・
フランソア:
ほうなるほど。宿題しないでお姉ちゃん達と遊んでたと?
エステル:
あらあら♪ これはわたくし達にも責任がありますわね。 どうしましょうか…? ねえルゥナさん♪
ルゥナ:
エステル様、笑顔なのに目が笑ってない・・・
ルスラン:
ママ。夕食の準備の前に少しルゥナの勉強を見てもらえないかな?
Dr:
はいわかりましたわ。
ルゥナ:
マモンに勉強を・・・?
フランソア:
フランソア達の方が良い?
ルゥナ:
マモン、ごめんお願い。
ルスラン:
今日は仕事に余裕があるんでね。折角エステルちゃんが来ているから見たいと言っていた私の例の装置の試作品がレンヌの第二研究所にあるんだ。フランソアと一緒に見に行かないか? 社会科というより科学科見学だ。
エステル:
まあ叔父様、嬉しいですわ。フランソア良いですわよね。
フンラソア:
うん良いよ。
この後、二人と少し出て来る。帰りにマーケットでソーセージを買ってくるから。夕食はそれにしよう。
ルゥナ:
パパとお出かけ?! マーケット! ルゥナも・・・
Dr:
ソーセージにするなら、わたくしはサラダだけ作ればよろしいですわね、楽できますわ。その分、ルゥナは宿題がんばりましょうね♪
ルゥナ:
・・・はい・・・うぅ…
Dr:
マーケットに行って下さるならマスタードがそろそろ切れるのでいつものを瓶で買って来て下さいませ。
ルスラン:
解った。
エステル:
あのこれ本当にサイバースペースなんですの? カラダが今のわたくしの半分の年齢の時に変わっていなければ区別がつかないのですが…住民も普通にいますし
フランソア:
あれもマモンと同じでプログラムだと感じる。 しかしお屋敷の敷地の外も有るとはね。
エステル:
フランソアはココに来た時も感覚的にサイバ-スペースの中と言ってましたけど、わたくしには区別がつかないのですが‥‥何故解るのです?
フランソア:
理由はワカラナイけど「感じる」の。あのマモンも住民もこの景色も良くできた偽モノ。 写真で写った模型と本物の風景を撮ったモノとの違いみたいな?
エステル:
本当に感覚的に言いますわね…
フランソア:
それでデルポール博士の幽霊。本当にレンヌまで行くの? この「箱庭」そこまであるの?
ルスラン:
行くよ。まあ私の箱庭もそこまでしか創ってないがね
エステル:
箱庭? 幽霊? フランソアのお母様や優樹子博士が言う、電子の幽霊と言う事ですの?
フランソア:
生身の肉体が無いからねコレ。
ルスラン:
コレとは失礼ではないか? コレでもキミのパパだぞ。
フランソア:
ふざけない、フランソアにパパはいない!
ルスラン:
ふざけては無いんだがな。
フランソア:
フランソアはマモンの生体パーツで!
エステル:
フランソア、相手に飲まれてます、この方は瑠莉さんと一緒の人種ですわよ
フランソア:
!?
フランソア:
むぅ…ここにはもうマモンもルゥナもいない話しよう。
ルスラン:
別にそれだけの為に屋敷を出て来たのではない。 キミ達に会わせたい人達がいるんだが、あの屋敷ではマズイのでな。
エステル:
会わせたい人達ですの?
ルスラン:
そうだ。
その2 へ続く