第五百九十八話 アヴァロンの王冠 前編 その1
花恋:
それで先生、秘密裡に緊急に重要なお話と言うのは?
哲也:
うん…
哲也:
あのな…オレが生前は花恋ちゃんの命を狙っていただろ? AVARONの組織として。
花恋:
そうだったみたいですね。まあセレーネのパイロットである花恋がよりによってエンパイアクラブミリタリアに所属、下手したら当時のエンパイアクラブオーナー連合評議会議長であったヴィクトリア女史の命令でセレーネを使い全世界に侵攻するかもしれない。そんな危険人物は排除しかありませんよね?
哲也:
そうなんだが…花恋ちゃん、あのな? オレは花恋ちゃんの命を狙っていたんだぞ? まあ部下であるウリエルから始まり、機動部隊の隊長の鈴音や、副官の桃子にまで裏切られていたから、花恋ちゃんは無事だったが…
花恋:
さすがすみれのセンパイの鈴音先輩。 そして育ったお屋敷のメイド長。そして剛史お兄ちゃんの愛人のトリオ。 総司令官を裏切るとは言語道断ですよね。 最初聴いた時は花恋も驚きました。 先生のご苦労理解できます。
哲也:
そうじゃなくて…
哲也:
謝ってすむものではないが、他に手が思いつかなかったとはいえ、花恋ちゃんの命を狙う命令を下していた事を謝る。
花恋:
えっ? なんで先生が謝るんですか? 花恋は気にしてませんよ? あの状態で先生のお立場なら仕方がないと思います。花恋が先生のお立場なら同じ事をしたと思います。
それにヴィクトリア前議長が追放されてからは花恋の抹殺命令はすぐに取り消されたと聞いておりますし。 謝罪をしていただく必要性はありませんのでお顔を上げて下さい。
花恋:
ただ一つ花恋から先生に言いたいのは、抹殺命令を出しておきながら、花恋を仕留めきれなかったこと。 それは問題だと思います。
哲也:
えっ?
花恋:
花恋なら、花恋が自ら出向き多くの人々の平穏な生活を破壊する危険分子である花恋を必ず抹殺、排除する事を完遂していたと思いますので。 ですから今後は軍事作戦などは専門家に…といっても今はすみれなので、花恋なみに容赦はしないので心配しませんが。
哲也:
そうか‥花恋ちゃんもすみれも梨音ちゃんもフランソアちゃんも、そろいそろって怖いな。
哲也:
それでな…エリシアは許してくれたんだが、アリエルは未だに許してくれなくてな、直接口を聞いてくれないんだ。 DMで送れとか、文字チャットでなら良いとか…。
花恋:
えっ? アリエル姐さんが?
哲也:
とても困っていてな。 花恋ちゃんからアリエルに言ってくれないか
花恋:
わかりました。花恋は怒っていないので。では直接謝られたとアリエル姐さんには伝えて説得してみます。
哲也:
スマンな。 それと…
SE:
コンコン♪(ノック音)
哲也:
入ってくれ。
女の子の声:
し…失礼! 致しましゅ! ああぁ‥噛んじゃったぁ‥
アナエル:
えっと…その…お飲み物をお持ちしました。
哲也:
おい気持ちは解るが手が震えてるぞ? 落ち着け。
アナエル:
ひぃ…だ…大丈夫です…どうぞ…
花恋:
おぉ~緑茶と桃饅頭だありがとう。 先生この子は?
哲也:
自己紹介させる。 ほら。
アナエル:
えっと…ご…ご当主様。 わ…わたくし…は…
哲也:
ちょっとまて、なんだその「ご当主様」とは? 花恋様で良いし。口調も無理せず普通でした方が良いぞ?
アナエル:
はぁいぃ。 花恋様、私はアナエル・スカリジェと言います。
花恋:
スカリジェ? もしかしてアリエル姐さんやエリシアの妹? スリエルとかエリアルとか。
アナエル:
はぁいぃ。エリアルお姉ちゃんの妹になります。
花恋:
ほへえ~そうなんだ。エリアルの妹。
哲也:
それでな、もう一つ重要な案件というより、こちらが本題なんだが、このアナエルを花恋ちゃんの専属メイドとして託したいんだ。
花恋:
えっ? こんな可愛い子を花恋の専属メイドに?
アナエル:
かっ…可愛い?!
哲也:
良かったなアナエル可愛いって。
アナエル:
ひぃぎぃっ!
その2 へ続く