第五百九十七話 UniVerse 後編 その19
幼い姿の花恋:
ぴよ吉ここ?
ぴよ吉:
ピヨ
幼い姿エリシア:
そうみたい
幼い姿アリエル:
あれは…
哲也:
良くは出来ているが。 所詮デジタルの偽物だな。 本物とは違う。
源三:
そうか? オレにはお前とプエルトリコで観たものと変わらないようにしか見えんが。
どう違うんだ?
注:『アーサー王のアヴァロンでの最後の眠り』
(エドワード・バーン=ジョーンズ画、1898年)
瀕死の重傷を負ったアーサー王とアヴァロンを守護する9人の姉妹とタリエシンたち。
プエルトリコ・ポンセ美術館所蔵
哲也:
深みや絵から伝わって来る感情。そういうものを感じない。
源三:
おいオマエ科学者だろう? なんだその非論理的なモノは。
哲也:
絵画は二次元ではない。絵の具は立体なんだ。これはその部分までたしかに情報になっているが、それでも細かさには限界がある。所詮最後は0か1かになってしまう。しかし本来物質には限界が無い、最後の素粒子以下になるとエネルギーの揺らぎまで細かくして揺れている…
源三:
もう良い! わからん!
哲也:
おい! 折角オレが説明しようとしてるのに聞けよこの戦争屋。
源三:
好きで戦争屋してるんではない。
アリエル:
元帥閣下のオジサンですの?
エリシア:
紅葉パパさん何故サイバースペースに? それもここに?
花恋:
閣下失礼いたします!
哲也:
おい、まさかと思うがこの馬鹿弟子と同じでアリエルやエリシアや花恋くんに何も話してないんじゃないだろうな? 剛史、馬鹿弟子だろ? ゲス野郎も追加しようか?
源三:
う~ん話して無かった方かな? 俺が電脳ウィーザードというのは特殊作戦群としての最高機密指定にしてあるかな?
花恋くん、敬礼は無しでお願いできないかな? 対応が困る。
花恋:
閣下が…
アリエル:
スプロール監視機構観察軍…
エリシア:
統合幕僚長? 監察軍で一番エライ人?
花恋:
エンパイアクラブミリタリア特殊作戦群の総司令だけじゃなく、スプロール監視機構観察軍の総司令官だということですか?
源三:
規模的には観察軍の方がずっと大きいのでこっちがオジサンの本業かな?
エリシア:
今度から元帥閣下と統合幕僚長のオジサンで紅葉パパと呼ぶ事になると?
アリエル:
そうなりますわね
哲也:
なんだすみれやフランソアちゃんだけじゃなくて、花恋くんたちにもそう言われてるのか?
源三:
なんか定着してしまったみたいで。 でも結構その呼ばれ方、気に入ってるんだ
哲也:
どうにもならんな…。
花恋:
剛史オーナーはい。紅葉さんにメーですか? を格納してもらって、小さくなった後、ここに送ってもらいました。 その後はぴよ吉の言う通りにここまで来ました。 それでこんな地上世界みたいな所星界にあるんですね…
アリエル:
はい、周りの人は私達の事を全く気付いていませんでした。 はあ、凛空さんと穏海さんの張った結界はうまく機能している?
エリシア:
凛空さんだけじゃなくて、穏海さんも?
哲也:
まずこんな所にわざわざキミ達を呼び出してスマンな。
花恋くん‥‥いや花恋ちゃん。 キミと二人で話をしたいんだ。
花恋:
櫻糀先生とですか?
アリエル:
ご主…いや元ご主人さま。 先生と話して下さいませんか?
花恋:
うんわかった。
源三:
アリエルちゃん、エリシアちゃん、ぴよ吉くんその間は隣室でオジサンとこのお兄さんと飲み物とケーキでもどうだ?
エリシア:
ケーキ!
アリエル:
頂きます
ぴよ吉:
ピヨ!
哲也:
源三は…流石にこの二人ならメイドに引き抜かないから心配ないが。
おい剛史、絶対にデートとかに誘うなよ? すみれと凛空ちゃんに言いつけるからな。
花恋:
この世界のすみれや凛空さんは地上よりもずっと怖いですからね、お兄ちゃん♪
哲也:
オマエもすみれも…そして瑠莉ももっとやり方あるだろうが…。 まあ良い。
その20 へ続く