第五百九十七話 UniVerse 後編 その4
エステル:
ここに置いて充電するのを忘れないで下さいませ。
フランソア:
うん‥解った。
エステル:
先ほどからずっとお顔がすぐれませんが…どうしましたの?
フランソア:
寂しい・・・
エステル:
何を言っておりますの?
フランソア:
だって、マモンはパパに取られちゃうし、ご主人様はこの世界でもいつものように仕事が忙しくてフランソアの事なんか構ってくれないし。 けれどもこの世界で紅葉はいないし…。
エステル:
それは仕方ないことでございましょう? ほら明日もございますし寝ますわよ。
フランソア:
エステルこそ無理してない? エステルは本当はそんなに強い子じゃないことフランソアは知ってる。みんなの強い指導者であるように、ヌヴェール家の当主でありフォーシスターズグループの総裁である事を求められて、そう「振舞って」いるダケ。
エステル:
‥‥
いつも楽しそうにしているのも周りの人に「どんな時でも大丈夫だ」って安心させるためにそう「振舞って」いるだけだってフランソアは知ってる。
エステル:
‥‥うっ・・・
フランソア:
フランソアと違って、初めて本格的なネットダイブをして不安でないわけがない。それに本当は、マリアンや綾愛が待ってるからって自分に言い聞かせてダイブしたはず。 なのにこんな所にきて…大丈夫なはずが無い。
エステル:
‥‥うっ・・・
フランソア:
フランソアの前では…親友の前では昔の泣き虫のエステルに戻っていいんだよ?
エステル:
うぐぅ…ぐすぅ…(嗚咽)‥こ…怖いです‥なんですか此処?
現実にしか思えない…マリアンや綾愛がいるわたくしの世界、わたくしの現実が存在するのか…これが夢なのかそれとも今までの全て夢で…この世界が現実だったのか‥頭がおかしくなりそうです…
本当に怖いです…マリアンに会いたい…(嗚咽)
フランソア:
大丈夫…大丈夫だよ・・・フランソアがいるから。 それに紅葉や里緒菜やヴェルが昔、フランソアが飛ばされた時だって救いに来てくれたように、今回だって多分来てくれるし。
それに今回は理由があってここにいるんだし時がたてばみんなに必ずあえる。ご主人様もいるし。
エステル:
・・・はい。
フランソア:
いつもは多分マリアンがしているんだろうけど。久々にフランソアがしてあげるね。
ほらよしよし…大丈夫、大丈夫
エステル:
フランソアの香りが、昔と違って、今のフランソアの髪の香りですわ…地上世界での貴女の髪の香り。
フランソア:
うん普段つかっている香水をご主人様が買って来てくれてて、帰る前にプレゼントされたの。同じ銘柄を再現したモノがこの世界にもあるんだって。
エステル:
私達がいたあの世界は本当にある・・・この香りがするフランソアは、むかしのあのフランソアとは違う今のフランソア。
フランソア:
そう。 いまのフランソア。
エステル:
ならわたくし達はあの世界もこの世界も守る方法を見つけないといけませんわね…。
フランソア:
そうまあとっていてもまずはこの世界を理解しないとね…最初は社会科見学かな? この世界に慣れないとね。
エステル:
まるで新人メイドがクラブに配属されたときにする新人研修ですわね。
フランソア:
そうだねまったく同じ。この世界を理解する第一歩…。 でも今は、マリアンと会えるまでは夜はフランソアが抱っこしてあげるから寝よう。 エステル。 おやすみ
エステル:
はいおやすみなさいませ・・・
エステル:
すぅ…すぅ…
フランソア:
それに今回はフランソア達のメイドの仲間達が一緒‥頼むよみんな…
その5 へ続く