Ring of Fortune 第一話 その3

 
咲夜:
これはつけなくても…

來奈:
ダメ着けるの!

咲夜:
なんでこんなモノを着けるんですか?

來奈:
女の子はブラを着けないとクーパー靱帯という所が伸びちゃうの! いっかい壊れちゃうと胸が垂れちゃう! それに動くたびに痛かったりするし

咲夜:
そうなんですね…

咲夜:
あのお嬢様! ワイヤーが食い込んで痛いというか…すごくキツイですけど

來奈:
そう? えっカップ私より一つ大きいのもってきたのに…(小声)。

來奈:
ちゃんとカラダのサイズ図ってもらった方が良いわね。ドレスも用意しないといけないし。

咲夜:
それって女性の店員さんに裸を見せたり、触らたりするってことでしょうか? 恥ずかしいですよ‥‥男の店員さんを呼んできてもらえませんか?

來奈:
何言ってるの? 相手が男性だった犯罪でしょ? 今は咲夜は女の子なんだから! 呼んでくるから、大人しくまってて。

咲夜:
は…はい…お…お願いします。

來奈:
似合う! 可愛い! 綺麗! 可憐!

咲夜:
お嬢様、何なんですかコレわぁっ!
なんていうか、下がスースして不安というか‥それにガータースットキングっていうんですか? それが違和感すごくて‥‥

來奈:
すぐ慣れるって!

咲夜:
慣れたくないんですが…

來奈:
エンパイアクラブのオーナー評議会議長にお会いするのにドレスコードはちゃんとしないとクラブの沽券に係るよね? それに咲夜は、もう執事でなくて月空の人

咲夜:
うっ…そうですね。 ドレスコード…

來奈:
さあ行くわよ

咲夜:
はいお嬢様‥‥。 何でこんな事に…

〇回想

咲夜:
ツインニューロチップシステムですか?

アンナ:
そう。 もともと咲夜くんに搭載されていたアドバンスドバイオバトラーのニューロシステムをこちらで開発していたφシリーズのバイオメイド素体に丸ごと移植して同期稼働させているの。 だからこそ咲夜くんの事故前の人格や記憶など全てがそのカラダでも損なわずにすんでいるのさ

ベティー:
咲夜さんは人工バトラープロジェクトのプロトタイプ素体で、その計画そのものが咲夜さんの素体の成功例以外はバートン社内でも成功せず技術的問題で頓挫してるし、現在では男型の素材は製造してないから。無理やり女型のそのエグゼクティブバイオメイドの素体にシステムを乗せたの。

咲夜:
現在は男のバイオメイドは造られてないってことですか?

アンナ:
男性のXY染色体は女性のXX染色体より短いから乗せられる情報量が少ないからね。
もともと計画に無理があったのさ。

來奈:
と言う事はカラダは女性でチップ的には女性用と男性用のチップが両方載っていると?
先生、それで咲夜のカラダは大丈夫なんでしょうか?

ベティー:
咲夜さんが目覚めてから、この一週間経過を観察していたけど肉体的にもチップ的にも今のところは順調よ。 このまま退院してもらって構わないわ。


來奈:
良かった。

アンナ:
手続き的にはまさか男が女になるわけにはいかないので、形式上はバイオメイドとして新しい身分を作り、來奈さんがマスターとして、月空家にメイドとして入れた事になっている。 年齢的には同じ歳。名前は月空咲夜さんという事

咲夜:
技術が進歩して男に戻れるまでの仮の身分って事ですよね。

ベティー:
そうね。 バートン社本部でも男性型のアドバンスドバイオバトラー素体の研究はプロジェクトを再開するよう、すみれちゃん‥花路総帥から許可もらっているから。 あとで花路総帥には挨拶してね。

アンナ:
後で二人でエステル議長の所で会えるように手はずを整えてある。

咲夜:
はいわかりました。ありがとうございます

アンナ:
もし、カラダに違和感などが発生したら、すぐに診察するので連絡をして来てね。

咲夜:
はいわかりました。

ベティー:
本当にお姉ちゃんの素体設計で大丈夫なのかな…心配だわ。

來奈:
……………


その4 へ続く