第三話 moving soul その11

 
仁香:
(急いで営業前のサロンに色々配置したのは、この式のためだったんだ…)

グレイス
これより、準メイド・橋本由美恵の正規マスター認証式を執り行います。

マスター認証式の主催および認証管理は、この私、衛生メイドのグレイス・バートンが責任をもって監督いたします。

認証の見届け人として、
エンパイアクラブ本部より、エンパイアクラブ・シェルムーン メイド秘書 レイ・アーデラ、並びに同クラブ メイド長 ノーラ・ステファニー が列席いたします。

仁香(超小声)
橋本由美恵…? うそ…生きてたんだ…。でも、なんでここに…? それに、正規マスター認証って…?

悠名(超小声)
由美恵のこと、知ってるの?

仁香(超小声)
…うん…。

グレイス:
立会人として、エンパイアクラブオーナー連合評議会より、エステル・フィルサイド・ド・ヌヴェール議長。そして、エンパイアクラブ・クウェーサの鹿苑寺信久オーナーが参列されます。

グレイス:
マスターの後見人として、美月家の美月咲夜ご当主と筆頭メイドの橋本悠名。そして、メイドの保護後見人として、ウェールズ家のソフィア・ウェールズご当主と、その筆頭メイドの橋本仁香が立ち会います。

仁香:
(ひぃっ…!)

由美恵:
えっ…!? 橋本仁香…!?

來奈:
由美恵?

グレイス:
準メイド、橋本由美恵――面を下げい。

由美恵:
はっ…! 申し訳ございません!

悠名:(超小声)
由美恵も、仁香の名前を聞いて驚いてたね。

仁香:(超小声)
うん…やっぱり、私の知っている由美恵だった…。

悠名:(超小声)
認証式が終わったら、時間をもらって話せばいいよ。認証式後にニューロチップの負荷で体調変化があっても、衛生メイドがついていれば問題ないし。悪化したら、ソフィアもいるしね。

仁香:(超小声)
そうだね…。

グレイス:
よろしいですねマスター候補、月空來奈。

來奈:
はい。よろしくお願いします。

グレイス:
準メイド橋本由美恵よ面を上げよ。


その12 へ続く