第三話 moving soul その20

 
由美恵:
えっと……
私が、ご主人様のお付で……エンパイアクラブオーナー連合臨時総会に……?
あの……それって、咲夜さんの代わりに……って、ことですよね?

……私で、大丈夫なんでしょうか……?

咲夜:
そう。今回は、由美恵──あなたにお願いしたい。
私と悠名は、Forestで行われるアーマーメイドの実演の中継に参加するから。

悠名:
ロンゴミリドでアーマーメイドを動かせるメイド達は、みんな前線展開中で。オーナー達は当然今回の総会に参加するし、 だから私と咲夜が実演をすることになったの。──由美恵、がんばれっ♪

ソニア:
私は現地警備に入るから、同じ会場にいるし。
もし何かあっても、すぐ対応できるから心配いらないよ。

レイ:
お付のメイドといっても、基本は隣に立って、ご主人様の動きに合わせて行動するだけです。
何か発言を求められることも、まずありません。

ノーラ:
でも、今回の目的はね──
ご主人様の“お仕事”を間近で見て、メイドとして体験して、経験を積むこと。
専属侍従メイドとしての、大事な新人研修ってわけ!

由美恵:
ソフィア副オーナーも、今回の総会に参加されるんですよね? なら仁香も一緒だし…

來奈:
・・・・・・・・・(決まづく顔を背ける來奈)

由美恵:
えっ…? ご主人様?

由美恵:
あれ……ソフィアさん、そういえば、何故どうしてメイド服?

ソフィア:
ふっ!

來奈:
………

ソフィア:
……ええ、そうね。どうしてかしら。

──「貴女のご主人様」が、このクラブの運営を「丸ごと放置」してくれたおかげで……

由美恵:
ご主人様が「丸ごと放置」ですか…? 本当ですか?

來奈:
‥‥スイマセン…

ソフィア:
この私が、
派遣「鬼・サロンフロアチーフ」の美紗季さんに、來奈オーナーが美紗季に迷惑かけた分を「副オーナー兼、サロン接待メイド兼、ウェートレス・メイド」として

身を粉にして働け!」って命令されたからよ!!

由美恵:
副オーナーがメイドとしても働く…そんな事態に…ご主人様…

來奈:
‥‥本当にスイマセン…

仁香:
本当に大変なんです……。
全部、運営の方は本当に「放置」されてたみたいで……。
総会でお越しになる御客様が増える本日の夜までに、
クラブのサロンの接待やサービスを抜本的にゼロから組み直さないと
今夜の営業が不可能だと言われまして…

由美恵:
一日で抜本的にゼロから組み直す? でないと今夜の営業が出来ない?

仁香:
この朝のメイド長会議が終わったら、ソフィアご主人様──
美紗季さんにすぐ来るように「呼び出し」を食らっております……

來奈:
‥‥ホントウニスイマセン…

由美恵:
……わかりました。

ご主人様の専属侍従メイドとして、

この「初任務」、全力で務めさせていただきます……!

來奈:
由美恵クラブに着任してすぐなのに申しわけ無いお願いします。 ソフィアさんよろしくお願い、いたします…。

ソフィア:
──由美恵。そんなに緊張することないって、大丈夫。
みんな信じてるから、安心して。

咲夜:
由美恵頼りにしてるよ、お嬢様をお願いする。

悠名:
会場でカチコチになって棒立ちしてたら──レポートの他に、反省文も提出させるからね♪

ソニア:
現地での支援は、このわたくしに任せてください!
(座ったままで、胸に手を当てて丁寧に挨拶)

白山市 / 白急篠山ビル / 国際会議場付近歩道

ソニア:
大丈夫よ、由美恵。どんな場面でも私たちがついてるから、落ち着いていこう。

由美恵:
ありがとうございます、ソニアさん。少しでも自分に自信を持てるよう、頑張ります。

由美恵:
(私は、まだメイドとしては力不足。だとしても、今はこの一歩を踏み出すしかない。)

ガチャ♪ドアを開く

ビシ! 兵士が來奈に敬礼する。 そしてそれを返礼する來奈。

由美恵:
(この道が、メイド(わたし)達にとってどんな未来を持っているのか、少しずつでも確かめて行かないとイケナイから・・・・・・)

第三話 moving soul 終わり


第四話 UNDER/SHAFT へ続く