第三話 moving soul その5
來奈:
えっと遅れてゴメンさい…
咲夜:
ひぃ…
ソニア:
…‥
レイ:
ご主人様、ご苦労様です♪
ソフィア:
來奈お嬢様、わざわざお迎えありがとうございます。
仁香:
この方が…新評議会側に所属するエンパイアクラブのオーナー
悠名:
咲夜~遅い~! ソフィアが一緒なら経過観察ができるからすぐにお外に行っても良いって朝決まったのに! 來奈お嬢様、ソニアさん、お迎えありがとうございます
咲夜:
いやさすがに疲れて寝坊しまして…お嬢様におこされて…
悠名:
ぅ~ん…どうせ咲夜の事だからそういう時は來奈お嬢様に抱き着いてお胸で甘えて寝てたんでしょう? 今は來奈お嬢様の『恋人』だもんね。
咲夜:
ギクっ! 悠名は千里眼でもあるんですか? いやいや…そんな事ありませんよ!
悠名:
図星…変わったのは性別と容姿だけじゃなくて心もか…甘えれば誰でも良いとか…
咲夜:
そ…そんな事ないから!
悠名:
咲夜がハーレムね…まあ私を護れなくて失意のどん底になった咲夜の事を支えてくれたし、それ以前にわたしも來奈お嬢様の事は好きだし…認めるけど…ハーレム…
咲夜:
悠名さん‥?
仁香:
悠名、アレ大丈夫なんですか?
レイ:
痴話喧嘩は犬も食わないのでほっといて大丈夫です
來奈:
ソフィア? なんでそんなに他人行儀? 親友だよね。
ソフィア:
ふっ!
ソニア:
君がドクターソフィアのメイドの橋本仁香さん?
仁香:
えっ! 私が? ドクターのメイド?
ソフィア:
君を治療するのにどうしても本マスター権限の書き換えが必要でキミの本マスターになった。 チップの認証情報見て見て。
仁香:
!? 本当だ…ご…ご主人様? 所属クラブ情報? エンパイアクラブ…シェルムーン? このレイさんから渡されて着替えたメイド服ってもしかして…そういう意味ですか?
レイ:
ようこそシェルムーンへ仁香さんを弊クラブは歓迎いたします♪ 弊クラブのメイド秘書を拝命しておりますレイ・アーデラです。
仁香:
メイド秘書? 隊長みたいなものですか?
レイ:
どちらかというと参謀長かしらね?
ソフィア:
それでメイド持ったけどわたしクラブ持ってないから。
ソフィア:
私のメイドの仁香の為に、クラブシェルムーンを所属しているメイド事、買収する事にしたから。
仁香:
えっ? 私の為に? クラブを買収する?
悠名・咲夜・ソニア:
へっ?
レイ:
だそうですご主人様。
來奈:
ソフィアが私の事をお嬢様呼びする時はロクデモナイ事考えついた時なのよね…
ソフィア:
來奈オーナー、たぶん本業の方がトンデモナク大変な事になってるでしょ? 私にクラブうっちゃえ。 そしたら本業に集中できるじゃない? 悪い話じゃないでしょ?
レイ:
ご主人様、どうします買収をお受けいたしますか?
ソフィア:
來奈お嬢様、あなたは本気でクラブを守る覚悟があるの?
來奈:
……え?
ソフィア:
今朝から流れているニュース。 本業の方で今、とんでもない事態になってるのも予想できるわ。なのに、クラブのことまで全部背負って、本当に大丈夫なの?
來奈:
そ、それは……
仁香:
來奈お嬢様、そしてご…ご主人様? あの……私は普通のメイドとして何もできませんし…
メイド服も今、初めて着たばかりなのに、そんな事で揉めないで下さいませ? どうせ私なんて……収容所にでもぶち込んでいただければ……
ソニア:
仁香。そんな事言わないの。 私も瑠莉閣下に作戦中に保護されるまでは、ただの使い捨ての戦闘メイドだったから。 仁香は今、何がなんだかわからないよね?
來奈:
えっ
ソニア:
ご主人様、この仁香は、ロンゴミリアドがヴィクトリア基地防衛線で唯一生存して、保護に成功した正統評議会側のアーマーメイドパイロットメイドなんです。
ソフィア:
仁香は私のメイドで、ご主人様として、この子にちゃんとした家を与え、仲間を与え、幸せにする義務があるの。わかった?
來奈:
……決めた。
ソフィア:
ふふっ……で、どうするの?
來奈:
クラブは私の家よ、そしてみんなの居場所だから。私は手放さない。
ソフィア:
まあ、そう言うと思ったわ。じゃあ……決まりね。
來奈:
決まりって?
ソフィア:
共同オーナーってことで。私も手伝ってあげるわ。
來奈:
……はぁ!? ちょっと待っ――
仁香:
ご…ご主人様はソフィア様なので…お…お嬢様、よろしく…お願いします。ご主人様と一緒にお世話になります。
ソフィア:
仁香、世話するのは私だけど!
レイ:
では、來奈オーナーとソフィア共同オーナーの元、シェルムーンは新体制へと移行しますね♪
ソフィア:
來奈達はこれからForestの楓オーナー代行と紅葉マネージャーの所に行くんでしょ? 私達は先にクラブへ戻るから。レイさん、メイド秘書として出資比率の調整や今後の運営方針について話し合いをお願いします。あと、今日からの部屋の手配も頼むみます。その前に車の手配をお願い。
レイ:
はい、畏まりました、ソフィア共同オーナー。 仁香さんはソフィア様付の専属侍従メイドということで、これからよろしくね♪
仁香:
専属? 侍従メイド? えっと…そういうメイドもいるんですね…。そこから教えてもらわないと…。 レイ・メイド秘書、とにかくよろしくお願いします。
(このメイド服を着て、ここで生きるっていうのも……悪くないかもしれない。)
その6 へ続く