Ring of Fortune 第二話 その19

 
はっ!?

悠美、ふざけるのもいい加減にして!
作戦行動を放棄して、海域を戦略自衛軍に明け渡せですって?
そんなこと できるわけないでしょう! 戦闘は終結しているけど……!

優香:
こっちは今、撃沈した敵艦の乗組員と敵戦闘員のバイオメイド、
それに……アーマーメイドを積載している敵艦に、勝手に手を出して、勝手に撃沈された戦略自衛軍のイージス艦の乗組員の救助で手一杯なのよ!

そんなことより、メイド達はこちらで回収する から、一般乗組員の救助は、戦略自衛軍でも海上保安庁でもいいから手伝うように要請して!

しゅぅぅぅう~♪
ユーラナスが着艦してくる

真理愛:
うわ~……どんな時もニコニコして温和な優香司令が……。

すみれ:
あんな優香お姉さん、見たことないよ……。これ、八つ当たりされないかな?
艦橋、上がりたくない……。

真理愛:
わたし 副官 だし……。隊長、一人で行ってきて。
マリはくま太と待ってるから。

すみれ:
イ・ヤ・ダ! 真理愛も来る! 総隊長命令!

真理愛:
不当な命令は拒否します!

すみれ:
お願いだから……! すみれを 見捨てないで……! 一人で行きたくない……!(涙)

真理愛:
……泣かないの。 ……わかったわよ。

來奈:
沖合で……海戦になったの?

ソニア:
ご主人様たちが出発された後、偽装したタンカー群 が、アーマーメイドとリフレクターミサイル を使って こちらの艦隊を攻撃してきました。
まあ、そもそも 優香艦隊司令 も 攻撃を予期していて、事前に 艦隊を出航させていた みたいですね。
……港に停泊している船では、機動力が意味を成しませんから。
こちらは イージス艦二隻、攻撃潜水艦、さらに 里穂特務大尉 と ロッテ大尉の守人 で、
ホワイティーガーデン と 航空母艦EHDEN を防御しながら戦闘を行いました。

途中、警告を無視して戦略自衛軍のミサイルイージス艦が攻撃に参加……敵の反撃を受けそのまま轟沈しました。

こちらの被害はそれのみ。敵艦船群とアーマーメイド部隊は、すべて撃破・轟沈です。

ノーラ:
船が燃えて人が海へ飛び降りてました‥‥怖かったです。

ソニア:
それで、戦闘が終わったので、フレデリカたちと一緒に VTOL でここに来ました。
フレデリカたちは、海上の救助活動 があるため、航空母艦EHDEN へ向かいました。
ホワイティーガーデン は、アーマーメイドの回収 のために 松崎人工島 へ向かっています。 もうそろそろ、現地に到着しているはずです。

來奈:
報告、ありがとう。

ノーラ:
……わたし……震えているだけで……何もできませんでした。
じっとしていることしか……。

咲夜:
ノーラ、よくパニックにならずに頑張ったな。

ノーラ:
でも……ご主人様のメイドなら、こういう時にお手伝いできないと……。

來奈:
そういうのは、私やプロに任せておけばいいの!

ノーラ:
……でも……。

ソニア:
メイドだって適材適所。
たとえば、私がノーラの代わりにメイド長やクラブの一般業務をすることはできない し。
それと同じよ。

ソニア:
一般業務といえば、ご主人さま、咲夜に由美恵の事、お話しました?

ノーラ:
そう! ご主人様の専属侍従メイド!

咲夜:
専属・侍従・メイド…?

來奈:
まだそこまでは話…してないかな…?

咲夜:
ほう……。
先ほどのハーレム云々の話は、ご自分のハーレムを作るための前振りだったと?
理解しました。

來奈:
由美恵は、咲夜にとっても、性格も容姿も好みだと思うよ?

ノーラ:
咲夜! とりあえず写真見よう?
可愛い子だから!

ソニア:
写真、出しますね。
ちゃんと保存してあるので。


咲夜:
そんなに……優秀なんですか……?
それが……お嬢様に……そんなに……?

ソニア:
ええ、本人の強い希望で……。

ミリタリア本部の特務隊、それも 詩織さんの部隊のスカウト を蹴ってまで、ご主人様に惚れ込んで専属メイドになりたい って。

すべてを捧げて、お仕えしたいそうです。

ノーラ:
新人の仲間たちにも 好かれている みたいで……。
この写真は、仲間が撮ったものなの。

來奈:
クラブとしても、私としても、由美恵は優秀だし、必ずプラスになると思うんだ……

咲夜:
そういう性格の子なら、悠名とも相性が良さそうだな……。

……いいですよ。

來奈:
良かった……!
朝になったら、さっそく由美恵に連絡するね。

(シュンッ…… ドアが開く)

ソフィア:
あっ、みんなも来てたんだ。
もうすぐ悠名が目を覚ますから、入って。

來奈:
うん! みんな、入ろう。


その20 へ続く