Ring of Fortune 第二話 その21
ソフィア:
ゆっくり動いてね。
悠名:
うん……。
お嬢様と……、ノーラ? 遊びに来たの?
ノーラ:
悠名、久しぶり!
悠名:
お嬢様……なんで泣いて……?
それに……コンバットスーツ……?
來奈:
悠名が無事で……安心したら、つい泣いちゃっただけだから。
ソフィア:
來奈の、いつものやつ。
ノーラ:
うん!
ソフィア:
今、自分の状態をどう認識してる? 話してみて。
悠名:
私……ボイベーに乗っていたのは覚えてるんですが……。
でも、記憶が曖昧で……。
もしかして、私、何か失敗して……事故を起こして……みんなに迷惑かけました?
あっ……そういえば、ボイベーの外から咲夜が声をかけて……「ハッチを開けてくれ」って……。
それで……私は暴走させて、お二人を放り出してしまった……?
とにかく、ボイベーの動きを止めなきゃって思っていたら……。
他のアーマーメイドが……評価試験で模擬戦中だった……のかな……?
それなら、お嬢様がパイロットスーツを着ているのも納得できます……。
試験中にボイベーが暴走して……咲夜さんとお嬢様を放り出した……?
暴走は……あのアーマーメイドが止めて……そしてソフィアが、私の治療を……?
ソフィア:
なるほど、今のところはそう認識しているのね……。
悠名:
咲夜!? ソフィア、お嬢様、咲夜は……無事なんですか!?」
來奈・ノーラ:
…………
ソフィア:
……それは……見てもらったほうが早いかもね……
咲夜
悠名、私は無事だよ……まあ、見た目も性別も変わっちゃったけどね。でも、これは悠名のせいじゃないから、気にしないで
悠名
この……美少女が……咲夜? 本当に?
ソフィア
後でちゃんと説明するけど、咲夜が言ってることは本当だよ!
悠名
それで、あなたは?
ソニア
私は今、月空來奈様の護衛メイドを務めております、ソニア・ベーデンブルグと申します……
悠名
ソニアさん……お嬢様の新しい護衛メイド……。私は咲夜の専属侍従メイドであり、來奈お嬢様の補佐メイドを務める橋本悠名です。悠名で構いません、呼び捨てでお願いします
咲夜
それより……まずは何か服を着ようか。悠名が気にするだろうし、私もどこを見たらいいのか困るからね
ソニア
うむ……お風呂場でもないのに、こんな美少女が裸なのは、さすがに私でも少し困惑するな……
悠名
……裸?
悠名
きゃああぁああああ! 咲夜のエッチ! 変態! やっぱりさっきから感じてた、あの舐めまわすような視線……犯人は咲夜だったんだ!
咲夜
ちょっ……違う! 悠名、そんな風に見てないから!
來奈
嘘は良くない。咲夜なら見る。
ソニア
性別がどうであれ、そのような視線はセクハラです。警備部として見過ごせませんよ?
ノーラ
クラブや学園でも、注意が必要ですね……。
ソフィア
もう! 今すぐ患者着持ってくるから!
來奈:
ねえ咲夜、悠名の病室に泊まっていかなくていいの? 付き添い用のソファー、ベッドにもなるって説明されたし。
咲夜:
ソフィアからきちんと説明を受けた上で、悠名には少し考える時間が必要だと思いますので。
來奈:
……ほんと、女心が分かってないよね。
ノーラ:
こういうところ、ありますよね。男って。今は中身だけですけど。
來奈:
こういう時こそ、女の子は一緒にいてほしいのに……ダメだ、この執事。
咲夜:
ふんっ……。
ソニア
ご主人様、見てください! レイメイド秘書がお迎えに来ています!
さすがに私も疲労がたまっていて、運転に不安があったので……助かりました。
來奈
そうだよね? レイメイド秘書! こんな深夜にお迎え、ありがとう!
ノーラ
うふふ♪ 先ほど現状の報告をしたついでに、ソニアの疲労も心配だったのでお願いしておきました!
咲夜
さすがノーラ…メイド長。頼りになるな!
ノーラ:
ふふっ、元執事の「メイドモドキ」には負けていられませんから♪
咲夜:
ひぃぐっ! 聞いてたの!?
來奈:
ひぃっ……塩漬けの首……
ソニア:
あの会話、作戦中のロンゴミリアド全体に流れてましたから♪
ソニア
さあ、我らが家――シェルムーンに帰りましょう。
第二話「Red Liberation」おわり
第三話 「moving soul」 へ続く