Shell moon のえんぱいあな日々 第四話 UNDER/SHAFT その2
二人とも來奈と電脳通信
美紗季:
ふーん、今夜は確実にお泊まりで、明日も未定? 何日になるかも分かんないんだ。
ソフィア:
こっちは予想外のトラブルでてんてこ舞いなのに…そっちは優雅に豪華なお部屋でのんびりですか?
千沙:
えっ、由美恵ってご主人様とソニアさんと一緒に臨時総会に行ったの? もう現場で働いてるなんて、すご〜い! さすが由美恵だね。
こずえ:
でも仁香もさ、さっき美紗季さんが言ってたけど…昨晩サロンでお仕事したんだよね? メイドになったばかりなのに。
仁香:
あ…うん。悠名やマーニー、パニーたちがずっとそばにいてくれたから…。私はただ、飲み物を運んだり、オムライスに絵や文字を描いたり、お客様を席にご案内しただけなんだけど…
千沙:
えぇ〜!? メイド学校どころか、研修もまだなのに…初日でそれって、由美恵よりすごいかも!
仁香:
だから…ご主人様のお役に立ちたくて…つい、必死になっちゃって…
こずえ:
その気持ちをすぐに行動に移せるのがすごいのよ! ドクターソフィアの専属メイドになるくらいの子だもん、納得かも。
仁香:
はぅ…っ(真っ赤)
千沙:
ドクターに助けられたメイドって多いし、憧れて専属になりたいってお願いした子も何人もいたけど、全員断られてるんだって。私が直接してるだけでも三人ほど断られてるし。
仁香:
やはり…ご主人様は…モテルんですね…
こずえ:
千沙はね、私たちと同じで保護されてそのままクラブ入りした子たちとも仲良しなの。メイド学校って行く子の方が少ないし、行かなくてもメイドにはなれるし。
千沙:
友だちは多い方が楽しいしね!
仁香:
そ、そうですよね…はぁ〜…
モニカ:
ここが…本物のエンパイアクラブのサロンなんだ。やっぱり、メイド学校の練習用サロンとは全然違うね。
ミーサ:
当たり前でしょ? でも…想像以上に豪華だね。
アニエス:
ここが…エンパイアクラブ・シェルムーンのメインサロン…
パンパンっ♪(綾子が手を叩く)
綾子:
みなさーん! 注目です!
スザンヌ:
今から引率の梨花先生からこれからの予定についてお話があります! 先生お願いします!
梨花:
スー、なんで私が先生なのさ…
ソフィア:
昨晩、仁香が働いたのが向日葵さんに伝わったらしくて、サロンでのウェートレスとかキッチン担当なら新人研修にもなるからって、梨花さんが引率して連れてきたのよ。
美紗季:
でも宿舎の部屋がまだ用意できてなくて、それも研修の一環として自分で整えさせる予定なの。
……おかげでこっちの段取りはもうメチャクチャ。
そのぶんEHDENにはForestのさな料理長と花梨副料理長、それに亜美総務部長と陽菜乃副部長が来てくれるから、まあ交換条件ってことで。
研修自体は、EHDENで不要になった梨花営業本部長と、大使館だとこういう時は邪魔でしかないスーが担当するって話よ。
梨花:
おい美紗季、何てこと言うのよ! 聞こえてるってば!
スザンヌ:
美紗季お姉ちゃん、ひどすぎ!
綾子:
ふふっ、でもあのForestの亜美総務部長と陽菜乃副部長がいれば、梨花さんがいなくても何とかなっちゃうのも、スーがこういう時に大使館で浮いちゃうのも、まあ事実ですし。
スザンヌ:
綾子! それは口に出しちゃダメなやつ!
新人メイド達・仁香:
……(苦笑)
來奈:(電脳通信)
まあ…がんばってね。
由美恵:
あの……蘭子さん……私の下着、やっぱり大胆すぎませんか? ほとんど透け透けでしたけど……
蘭子:
それは普段用じゃなくて、お泊まり用の勝負下着だから。そういうのは何枚か持ってたほうがいいのよ。
由美恵:
そ、そういうものなんですか…
ソニア:
私なんて今、相手もいないしね……そういうのは、ちゃんと恋人がいる蘭子の言うこと聞いとくのが正解だよ。
由美恵:
蘭子さんって……グレイスさんのお姉さん、エミリーさんとお付き合いしてるんですよね? エミリーさんって、どんな方なんですか?
蘭子:
一言で言うなら、「白髪の死神」ってあだ名がついてた衛生メイド。でも本性は、カメリアコンプレックスとシスターコンプレックスの合わせ技な、ちょっと異常な人。
ソニア:
エミリー先輩、グレイスのいる家のクラブと、フロリーがいるすみれさんのクラブには出禁だからね。妹ふたりが「命の危険がある」って判断されたらしいし。
由美恵:
カメリアコンプレックスは、なんとなく衛生メイド系に多そうな……属性っていうか。でも、実の妹が危険って……それってシスコンの域、超えてませんか……?
蘭子:
次は夜の道具のお店ね。急なお泊りで、持ってきてないでしょ? 一緒に使う相手と相談しながら選んだほうが失敗しないし、今後買い足すときの参考にもなるから。
來奈:
そ、そうだね……。実物見て買うのって、もしかして初めてかも……
ソニア:
わ、私も実はちょっと興味あります……ご一緒します。ええ、もちろん警護として、ですけど!
由美恵:
えっ? 夜に一緒に使う……って、な、何のお店なんですか……?
その3 へ続く