Shell moon のえんぱいあな日々 第四話 UNDER/SHAFT その10
SE:
カチカチカチカチッ!
來奈:
由美恵っ、今よ! 一気に決めちゃって!
由美恵:
はいっ、ご主人様〜っ! それっ、それっ♪
蘭子:
ひ、ひぃぃぃぃぃっ!? また落とされたぁぁ!
ソニア:
いやあああああっ!? 由美恵、それは反則ぅぅ!
由美恵:
ふふっ、ご主人様のために負けられませんからっ!
來奈:
由美恵、右上からくる! 一緒に挟み撃ちよっ!
來奈:
よしっ、來奈&由美恵ペアの勝ち~! イエーイ!
由美恵:
いぇ~い♪(來奈と軽く拳コツン)
TVゲームって初めてやりましたけど、すっごく楽しいです♪ さっきのカートのも面白かったですし!
來奈:
次、桃鉄に変えてあげようか?
ソニア:
初心者に…ボロ負けするとは…。
蘭子:
まだ……まだ終わらんよぉ……。
來奈:
ふふっ、それ完全にフラグだよ、蘭!
來奈:
みんな、ちょっと待って。AURORAに着信。
(端末を開きながら)
……はい、梨音先輩、お疲れさまです。えっと、蘭子は今、総会中ずっとソニアと一緒に、私の警護ということでいます。
――夕食? 予定は特にないですけど……
ソフィア保全機関本部長が、梨音先輩と私とで会食をしたいと? はい、構いません。
……中華料理? 由美恵、大丈夫?
由美恵:
変なものじゃなければ、なんでも食べられます。
來奈:
了解です。ソニアと蘭子も一緒に、ですね? 場所は二人が知ってる――あの行きつけの中華飯店?
ソニア:
これは……!
蘭子:
ソフィア本部長オゴリの……高級中華!?
來奈:
開始予定時刻は……20時を少し過ぎてますね。
たしかに、集まり遅れてましたし……。
來奈:
明日の総会、ちゃんと開けそうなんでしょうか?
……午後から開始ってことは、朝は少しゆっくりできそうですね。
由美恵:
オーナー様方も、わざわざこの極東の日本まで、急ぎ足で向かってこられるんですもの。無理もありませんね。
來奈:
というわけで、悪いけど夕食には警護の都合もあるから、ソニアと蘭も一緒に来てね。
ソニア:
はいっ!
蘭子:
ご案内は私にお任せくださいっ!
來奈:
……なに? そんなに嬉しそうな顔して。
由美恵:
……(くすっ)
梨々衣:
会場で偶然の遭遇…ですか。それで梨芽さんが梨音に反応を?
ソフィー:
ああ。こちらが仕組んだ訳じゃない。ただの偶然だった。梨音もまったく事情を知らないまま会って…それで今、機密事項も含めて急いで事情を説明したところだ。
梨々衣:
橋本家としては、梨芽も正式な「橋本シスターズ」ですから……保護の責任はあります。
梨花:
……はぁ。まあ、うちであれば最適な保護環境は整ってるとは思いますし、梨音なら――うん、理想的な保護者であり、マスターであり、ご主人様にはなるとは思いますけどね。
問題は……
アリエル・ルシフェル:
はうぅぅぅぅ!
向日葵:
か、可愛いでしゅぅ……はぁはぁっ♪
梨芽:
ひぃぃぃぃぃぃぃ!(本気の悲鳴)
クロートー:
ちょっ、向日葵様! アリエルメイド長! 先代まで!
正気に戻ってください! それと――梨乃! ちょっとは止めるの手伝いなさいよ!
梨音:
向日葵! アリエルお姉ちゃん! ルシフェル姐まで揃ってどうするの!?
梨芽が怯えてるでしょ!
「汝、サタンよ、我が前より退け」――新約聖書より(マタイ16章23節)
……って、わたし神父じゃなくアテーナだけどぉ!
梨音:
梨乃、梨緒。ここは私とクロトでどうにかする。
今のうちに梨芽を連れて、私の私室まで退避して。
梨乃:
了解、お姉さま。梨芽、立てる?
梨芽:
……はい……た、立てます……
梨緒:
……ダメだこりゃ。
その11 へ続く