Shell moon のえんぱいあな日々 第四話 UNDER/SHAFT その11

 
悠名:
特製カツレツ。ライスのセットで。

梨樹:
メイドハンバーグを…パンのセットで…。
あの…ご注文、これで…合ってます…よね? えっと…お揃い…で♪

梨樹:
あ、あのっ……追加で……わたしと悠名ちゃんのチェキサービス、ですか?
一枚ずつ……?
(小声で)……悠名、チェキってなに……?

悠名:
二人で撮ったチェキを、お客様おふたりに一枚ずつお渡しするってことですね。
すぐ撮影メイドを呼びます。少々お待ちくださいませ。
ミーサ、チェキサービスお願い!

ミーサ:
お客様ぁ、ちょっと顔が真っ赤ですよ? ビールのせいですかぁ?(笑)
はい、笑って〜! こら梨樹、もっと可愛く〜! 自然にね!

梨樹:
ひ、ひぃぃ……っ!

ミーサ:
あらっ、「初々しいのがいい」って? お客様、やさしいですね〜♪

悠名:
チェキにメッセージ書いてくるので、それまでゆっくりお食事をお楽しみください。

梨樹:
えぇ…梨樹ちゃんが…可愛い推しに……ありがとうございますぅ……

ミーサ:
初日から推し宣言きました〜! やったね、梨樹♪

悠名:
オレは…昨晩から「悠名ちゃん推し」って…ありがとう! がんばる!

ミーサ:
あっ、昨日も来てたんですね! なるほど〜、悠名目当てで!
……えっ? ミーサちゃんも可愛いって? ありがとうございますっ! 今日からなので、がんばりますっ!

ラケシス:
あのお客様、さりげなくチェキ撮るときに梨樹の腰、回してたよ。

咲夜:
鼻の下、伸びてたし…

シンディー:
ラケシス部長、咲夜マネージャー! そんなこと言ってないで、6番テーブル片付けてきてくださいっ!

梨音:
どう? 食べられそう?

梨芽:
タレ…つけなければ、食べられる。

梨音:
あー、分かる。北京ダックのタレって、ちょっと大人の味だもんね。

由美恵:
EHDENの梨音オーナーって…すごく母性愛にあふれた方なんですね……。

ソニア:
おい、蘭……今の梨音オーナー、完全にエスエル議長とか、すみれ隊長のクラブの祥子メイド秘書とか、なみの“ちょろいお姉さん”系のオーラ出してるけど?

蘭子:
母性欲で、完全に目がイッちゃってる…

來奈:
あの……梨音先輩、さっきから雰囲気がまるで違うんだけど……どうしたの?

ソフィー:
命の糸って、私はあると思うよ。
でもね、その糸って時々ほつれて、切れることもある。
でもまた、それは何かに繋がっていく。
──中島みゆき。

ソフィー:
いやいやいや、ソフィーお姉ちゃん、もう意味が全然わからないから!

(小声で由美恵に)この人が、保全機関極東本部長のソフィー・バルリエお姉ちゃん。
私や咲夜、ソフィア、悠名が公私ともにお世話になってるお姉ちゃんで、ソニアや蘭の上司さん。
本業は歴史をベースにしたフィクション作家さんでもあって、その界隈では結構有名なんだよ。

由美恵:
はじめまして。どうぞよろしくお願いします。

ソフィア:
うん、由美恵くん。來奈くんの専属侍従メイドとして、ぜひ一番近くで支えてあげてほしい。
困ったことがあったら、何でも言って。すぐにでも駆けつけるから。

由美恵:
はい……ありがとうございます。
來奈ご主人様のこと、精一杯お支えするつもりです。

來奈:(AURORA通信ソフィア)
ソフィア、そっちは本当に大丈夫そう? ……ううん、心配ってほどじゃないけど、なんかさ、私がいなくても全部上手くいってるって聞くと……オーナーとしてちょっと複雑というか……。
あ、でも外とのやり取りは私の担当だし、例の大量受注の件も、臨時総会でオーナーたちの協力が得られないと進まないんだもんね。そこは、私の役割。……うん。わかってる。

新人の子たちも、がんばってくれてるんだ?
へぇ……悠名とミーサが中心になって動いて、こずえと千沙がうまくフォローしてるって……ノーラが感心してたってことは、ほんとにしっかりやれてるんだね。なるほど……。

由美恵:
ご主人様、お風呂のご準備が整いました。

來奈:(軽く手をあげる)
うん、ありがと。明日の朝、起きたら連絡するね。……まあ、ちょっとゆっくりになるかもだけど……由美恵がいるから寝坊はしないって信じてる。
じゃあ、また明日ね。はいはい~♪


その12 へ続く