Shell moon のえんぱいあな日々 第四話 UNDER/SHAFT その14

 
來奈:
すぴぃ~♪

由美恵:
ぅぅ……ん……

由美恵:
(7時20分……今日は遅くてもよかったのに……でも……)

來奈:
ぐぅ〜……すぅ〜……♪

由美恵:
(早起きは三文の徳なんてもんじゃない…これは三千両の価値!
ほんとに役得すぎる…私のご主人様ぁ…大好きです…)

來奈:
うぅ…ぐぅ……

由美恵:
(起こさないようにしないと…寝顔、ほんと可愛い…
蘭さんの言ってた通りだわ…ご主人様を独り占めできるなんて…
しかも私の胸の中で…こんなに幸せでいいのかしら…♪)

由美恵:
(この気持ち…誰かに伝えたくてたまらないけど、
同じご主人様を仰ぐ仲間にはさすがに申し訳ないし…
でも、ソフィア様の専属侍従になった仁香なら…きっとわかってくれるかも。
それに、昨晩連絡なかったし、もう起きてる頃だよね…ちょっと気になるし…)

仁香:(AURORA通信 仁香⇔ノーラ)
(やっぱり…ご主人様、かなりお疲れかと。
昨日は新人メイドたちを盛り上げようと、ずっと頑張ってはしゃいでましたし…。
その前は、最前線での治療活動からそのままクラブの運営ですから、
まともに休まれてないと思います。私との移動も、エジプトから直行でしたしね…)

(はい、昨日、美紗季さんとラケシス部長とで必要な決定は済ませたので、新人研修の間はこの体制でなんとか回せるかと)

(理想は…一日か二日でも、ご主人様にしっかり休んでもらうことなんですが――)

(それにしても…)

仁香:
(きっと、「休んでください」なんて言っても素直には聞いてくれないですよね…。
責任感の塊みたいな方ですし、それに「できるかじゃない、やるんだ」って本気で言って、そのままやっちゃうタイプですから…はい、本当にその通りだと思います。
でも…私もソフィア様のメイドとして、少しくらいは頑張らないとですね。
だから…何かうまく理由をつけて、クラブから少し離れて、1日か2日でもゆっくりできる場所へ――

…ノーラメイド長、ちょっと待ってください。AURORA通信に新しいアクセスが…)

仁香:
(由美恵…? 來奈様のことで何かあったのかしら…。
ノーラメイド長、通信取ってもよろしいですか?
もし緊急なら、このままこちらのルームに呼んでも問題ないと…はい、了解です。)

仁香:(AURORA通信 仁香⇔由美恵)
……はぁっ?! 由美恵元特務大尉!?
こっちはノーラメイド長と一緒に、疲労MAXでも休もうとしない問題ご主人様をどう騙してでも休ませるかって作戦立ててる最中なんですけど!?
なんでこの早朝から、來奈様とのノロケ話を聞かされなきゃいけないのよ!?
いくら戦友で、階級上だったとはいえ…っ、小官でも怒るわよ!?
いい加減にして!!

ビクンっとソフィアが目を覚ます。

ソフィア:
ひぃっ……! 問題ご主人様で、申し訳ございませんっ!

仁香:
ご…ご主人様、おはようございます。

ソフィア:
おはよう。……あのさ、もしかして私のことで、ノーラと相談してた?

仁香:
えっと…はい、まあ…その、そうです…。

ソフィア:
それで、由美恵にとばっちりがいったってわけ?

仁香:
……寝起きなのに、状況の断片から分析するとか……さすがですね…。

ソフィア:
今ね、由美恵も來奈もラブラブだから、許してあげて?
そのかわり、ちゃんと仁香とノーラの言うこと聞くからさ。

仁香:
……はい。そうします…。
……もう、ほんとに……そういうところが……ご主人様は……うぐっ……。


その15 へ続く