Shell moon のえんぱいあな日々 第四話 UNDER/SHAFT その6
ラケシス:
今日は……そっちのクラブが忙しいって聞いたから。
わざわざ迎えに来なくていいって言ったの。
向日葵様にまで迷惑かけたくなかった。
クロート:
うっ…
梨樹:
ラケシス。
クロトお姉さんは、たぶん向日葵様に言われて──
ソフィア様に「姉として」「クラブとして」きちんと挨拶してきなさいって、お願いされたんだと思いますよ。
クロートー:
そ、そうなの。
梨樹はほんとに、よくわかってる……。
本当なら、EHDENとして──ご主人様が直接お伺いするべきだけど……会議で来られないから、代わりにって……
ラケシス:
…うぅ。
SE:
ガチャ♪ ガチャ♪
こずえ:
どうぞ、お降りください。
クロート
びっくりした……ドア開けてもらうの、慣れてなくて……なんか、恥ずかしいね。
ノーラ:
クロト先輩──そして!
ラケシス総務部長っ! お待ちしておりましたぁ!
ラケシス:
ひぃっ……そ、総務部長って……(小声)
ごほんっ……うん、来たよ。
千沙:
お荷物、お持ちしますね。
ラケシス:
あっ、キミ、それは……ラケシスが……
ノーラ:
総務部長、ダメですっ!
今は新人研修中ですので!
ラケシス:
あっ……そっか……お願いする。
研修中……なるほど……
この子たちが、新人メイドなのね。
ノーラ:
では──改めまして。
ラケシス総務部長、梨樹さん。
エンパイアクラブ・シェルムーンへようこそ!
弊クラブは、おふたりを心より歓迎いたします!
ラケシス:
……よろしく。
梨樹:
……精一杯、務めさせていただきます。
どうか……よろしくお願いいたします。
クロートー:
ノーラメイド長。ふたりを、どうかよろしくお願いしますね。
……ふたりとも、がんばってね。
ノーラ:
クロト先輩──
あの、向日葵先輩と幸から伝言です。
「どうせそっちへ行くんでしょうから、着いたらすぐ戻るように」
「それとAURORA通信を開けなさい」
そして──
「こんな大変な時に、よくもまぁ逃げ出せたものね?」とのことです。
私は……ちゃんと伝えましたからね、先輩。
クロートー:
ひぃっ……は、はい……。
ラケシス:
……やっぱり、お昼食べてくるって言って抜け出したんだ。
梨樹、うちの姉は──こういう人。
覚えておいてね。
梨樹:
……はい。
クロートー:
向日葵様っ、すぐ戻りますっ!
ディオーネ……幸様もっ、いえっ! 決して逃げ出そうなんて……っ!
資料の件、はい!帰り次第すぐに揃えますので……!
ヘーラー……梨々衣様っ!?
えっ、そっちの資料……!? わ、わかりました、今すぐ戻って、すぐに……!
こずえ:
……(ふふっ、と苦笑)
梨樹:
……クロトお姉さん、がんばってください……
ノーラ:
千沙、おふたりを宿舎のお部屋へ案内してあげて。
その後、サロンにいらっしゃるソフィア副オーナーのところへ。
ラケシス:
……サロン?
千沙:
千沙、承知いたしましたっ!
総務部長、梨樹──さん?
梨樹:
……私は、まだ新人メイドですから。
同期として、お互い“さん付け”は無しにしませんか? 千沙。
千沙:
……うん、わかった。
梨樹、よろしくね!
それじゃあ──ご案内します!
千沙:
ここがおふたりのお部屋になります。
お手洗いとお風呂は共用ですが、勉強部屋とバルコニーがついてます。
お隣はノーラメイド長のお部屋です。サブオーナールームに隣接していて、ソフィア副オーナーと仁香さんが住んでます。
梨樹:
……ソフィアが、専属メイドを取ったんだよね。
会ってみたいな……
千沙:
このあと、すぐ会えますよ。
今サロンにいらっしゃいます、副オーナーとご一緒に。
それと、ラケシス総務部長の新しいメイド服が届いてますので、お支度ができたらサロンへ向かいましょう。
ラケシス:
……新しいメイド服、ね。
着替えるから、手伝って?
梨樹:
──はい。
ラケシス:
……変じゃない? なんか、こういうの……慣れてなくて。
梨樹:
ううん、すごく似合ってるよ。
ね、千沙もそう思うでしょ?
千沙:
はいっ! ラケシス部長、とっても可愛いです♪
ちゃんと、部長ってわかる雰囲気もあるし!
ラケシス:
……可愛いって……そんなの……。
(小声で)…でも、ありがとう。
…案内、お願いしてもいい?
千沙:
もちろんですっ。さあ、行きましょう♪
その7 へ続く